このところスポーツの世界では、女性ファンの存在感が増している。たとえば球界。広島東洋カープの「カープ女子」、オリックス・バファローズの「オリ姫」などが注目され、球団と若い女性たちが良好な関係を築いている。以前にこのコーナーで取り上げたところでは、イケメンレスラーに夢中の「プロレス女子」も話題だ。

 女性の支持を受けることで、その業界全体としても盛り上がっていく。スポーツに限らず、昨今のエンターテインメントの興行全体における潮流だが、これが角界でも起こっている。すなわち、国技館にお気に入りの力士目当ての「スージョ」(あるいは「リキジョ」と呼ばれる)の姿が目立つようになって、相撲人気を牽引しているのだ。

 八百長問題などの影響もあって土俵際に追いつめられていた角界だが、2015年の大相撲初場所では、連日の満員御礼が朗報として伝えられた。「若・貴ブーム以来」ともいわれる盛況っぷりだ(が、少し大げさな表現という気もする)。横綱が3人いることに加え、逸ノ城(いちのじょう)、照ノ富士といった若手力士が頭角を現しつつあり、未来はそれなりに明るいように思える。

 スージョたちが増えた背景には、日本相撲協会の女性職員の働きが大きいようだ。イケメン力士との「お姫さま抱っこ」企画など、従来にないアイディアで地道に支持を増やしていったという。公式ツイッターでの情報発信も、稽古の合間のお茶目な画像を掲載するなど、女子に向けたツボをよく心得ている。きものなど「和」の文化が、若い世代にも好印象となっている状況とあいまって、相撲人気はしばらく続くのではないだろうか。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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