「ぬいぐるみのよう」とも形容される、かわいらしいイヌが「シバラニアン」。といっても、犬種ではない。ポメラニアンの毛を柴犬のようにカットしたものを指す。あくまで俗称である。

 ポメラニアンといえば、欧州の厳しい寒さに対応するよう改良された種であるため、豊かな毛が特徴だ。ゆえに、基本的には日本の蒸し暑い夏が苦手で、サマーカットを行なう飼い主が多い。だが「もふもふは苦しかろう」と考えるのはいささか早計だ。毛には熱をさえぎって体温を一定に保つなど、プラス面も多い。愛犬家のあいだでは、むやみに切ることについて異論がある。また毛の質がデリケートで、切ったはいいがなかなか生えてこない場合もあるという。

 だが、飼い主の愛情の注ぎ方というものは人それぞれ。いたずらにリスクばかりを指摘するのも野暮というものだ。ネット上に散見されるシバラニアンの画像は、いわゆる「豆柴」、小型の柴犬の雰囲気が出ていて、人気が出るのもうなずける。愛犬の体調とも相談しながら、すこやかな関係性を築いてほしいものだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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