「フレンド(友だち)」と「エネミー(敵)」を合わせた造語で、「仲が良いと思っていたのに、じつは裏では敵だった」という人間関係のことを指し、なぜか2015年の『ユーキャン新語・流行語大賞』(『現代用語の基礎知識』選)にもノミネートされている。

 なぜ「なぜか〜」なのかと言えば、この「フレネミー」なる言葉は、「五郎丸ポーズ」や「あったかいんだからぁ」……に代表される従来の大賞候補語と違って、その出どころやブレイクの時期が特定できないから。表現を変えれば、数年前からすでにじわじわと浸透してきて、「そろそろ今年あたり、いいんじゃない?」みたいな感じでピックアップされた(っぽい)、流行語大賞史上では、なかなか珍しいケースであるからだ。

 とくに女性同士の恋愛絡みのいざこざで勃発しやすいネガティブワードとされているが、このような関係性は男性社会の出世競争や国家間のかけひきにおいても日常茶飯事であり、ゆえにライトなテイストでメジャーな流行語として世に出回るには少々ポップさに欠ける印象が筆者的には強い。もっとベタに「テキトモ」くらいにとどめておいたほうが、LINEとかでも気軽に使用できるのではなかろうか?
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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