現代人はお寺との関係が希薄になっている。当然にして、法事の費用の見当がつかないし、誰にたずねたらよいのかもわからない。そもそも、このたぐいの相場というものはあいまいに過ぎる。ならば、金額を明確化して、ネットで申込みができるようにしてはどうだろうか? このようなアイディアがかたちとなり、話題を呼んでいる。株式会社みんれびが提供している「お坊さん便」である。

 「全国へ定額・追加料金なしでお坊さんを手配する」という、このお坊さん便。12月8日からAmazonマーケットプレイスに出品され、一気に知名度を増したようだ。もともと、2013年から企業サイトで展開していたが、「アマゾンで頼める」はやはりインパクトが高かった模様。具体的には、四十九日や一周忌などの法要での読経を請け負う。価格は税込35,000円となっている。葬儀に関しては扱いが異なるようなので、気になる場合はサイトをのぞいてみてはいかがだろうか(http://obousan.minrevi.jp/)。

 このサービスには賛否両論ある。お布施をカード決裁することにはありがたみが感じられない、などの意見はごもっとも。ただ、昨今は僧侶の側でも不景気で「仕事」がなく、お坊さん便に登録したいという問い合わせが多いらしい。「否」の意見は、仏教界でも経済的に安定している層から来ているだろうし、ここは企業側の運営の誠意に一度期待してもよいのではないだろうか。

(編集部注:2015年12月24日全日本仏教会がAmazonの「お坊さん便」に対し、宗教行為を商品化しているとして反対声明を出した)
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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