少しずつ、いろんな味をつまみたいという女性型のニーズに合っているからだろうか。ここ数年、知名度が高まっている「スライダー」。日本においては「ミニチュアのハンバーガー」と紹介されることが多い、アメリカではおなじみのファストフードだ。直径7㎝ほどのバンズを用いるので、胃の中に滑り落ちる=スライドするように食べられる、というのが名前の由来である。

 その歴史は、アメリカ最古のハンバーガーチェーン、ホワイト・キャッスルとともに語られる。創業は1921年で、マクドナルド誕生が1940年(フランチャイズ化は1955年)であることを引き合いに出すまでもなく、かなりの「老舗」である。そんなホワイト・キャッスルが現在に至るまで看板メニューにしているのがスライダーなのだ。なにかにつけビッグなアメリカンフードのイメージとはうらはらに、「ハンバーガーは昔、小さかった」というトリビアめいた表現もできよう。

 ハンバーグだけでなく、何を挟んでもいいので、スライダーには「見た目がハンバーガー的なミニサンドイッチ」という理解もある。機を見るに敏な日本の飲食業界では、パーティーフード、あるいはカフェなどで、こじゃれた軽食としての展開が期待されているようだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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