「がん登録推進法」が2016年1月、施行された。同法の施行により、全国の医療機関に対し、がんと診断した全ての患者情報を国に届けることが義務づけされた。

 高齢化に伴い、国民の2人に1人ががんにかかり3人に1人ががんで死ぬ時代だ。その意味で「全国がん登録」の意義は大きいものがある。米国では「がん登録」のシステムが機能し、データの解析により、地域単位でより効果的な対策がとられているという。

 では、「全国がん登録」は具体的にどんなシステムなのか。

 全国約8500の病院と一部診療所が都道府県を通じて国に報告する形をとる。データの受け皿は国立がん研究センターに設置された「がん登録センター」である。

 全国から集まった種類別、生存率、進行度、患者の年齢などのデータを地域ごとに分析し、その結果を国のがん対策に活用する。

 たとえば胃がんはピロリ菌感染と因果関係があるが、胃がんが多い地域ではピロリ菌駆除対策に注力するなどの対策が求められる。

 また、早期発見率が低ければ、その地域でがん検診の受診率を高めるなどの対策が取られることになる。

 もっとも患者からすれば、データ提供には個人情報保護の面で抵抗感があるかもしれない。運用の際は、情報の漏えいにはくれぐれも注意してほしいものだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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