「同一労働同一賃金」は、同じ仕事に対しては、正社員、非正規にかかわらず賃金に格差をつけない、という考え方。欧米の雇用現場では普及している。しかし、長く「終身雇用」「年功序列」でやってきた日本ではほとんど定着していない。

 安倍政権はこの「同一労働同一賃金」の法制化を打ち出した。5月を目途にまとめる「ニッポン1億総活躍プラン」に盛り込み、関連法案を2017年通常国会に提出する予定だ。

 法制化は、安倍晋三総理の肝いりの政策である。「アベノミクスで確かに雇用は増えたが、増えたのは非正規労働者で、その分、賃金は低く抑え込まれている。結果として消費が増えない」といった批判に応えるためだ。

 ただ、その実現性に関しては?がつく。

 労働政策の法整備には労使代表などで構成する政府の「労働政策審議会」の議論が必要だが、まず経営者側から反発の声が必至だからだ。「同一労働同一賃金」が実現すれば、その分、人件費が増えて経営を圧迫しかねない。また労働者側も非正規の賃金が上がれば、正規社員の賃金が下がることにつながる。不満が募るのは言うまでもない。

 政府がいくら旗を振っても実現のハードルは高いわけだ。そのため、結局は参院選に向けたアピールで終わるのではないか、との見方も出ている。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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