昨年からのラグビー人気と相まって、岐阜県関市の宗休寺(そうきゅうじ)、通称「関善光寺(せきぜんこうじ)」のとある仏像が注目されている。五郎丸歩がキック前に見せる集中の儀式、いわゆる「五郎丸ポーズ」をとっているというのだ。

 このユニークな像は、境内の大日堂で見られる「宝冠(ほうかん)大日如来」。高さ約3メートルの銅製で、中国・明~清代のものとされるが、正確な製作過程などはわかっていない。ちなみに、仏像の指の組み方のことを「印相(いんぞう)」といい、これが五郎丸ポーズになっている例は、とりあえず国内ではほかに見当たらないらしい。基本的に印相はそれぞれ仏教的な意味を持つが、こちらに関しては意味不明ということで、なにやらミステリーめいている。

 もともと、寺の住職がフェイスブックで紹介したことから情報が拡散された。おかげで参拝客が増えているとか。関善光寺は「五郎丸ポーズ」仏像だけでなく、暗闇の中をロープをたどって歩き心身を清める「卍型(普通はコの字型)の戒壇巡り」でも有名だ。寺巡りがブームでもあるいま、いちど訪れてみてはいかがだろうか。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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