2016年5月、バングラデシュのとある家族が、娘の病気のために立ち上がった。まだ12歳の少女は、「狼男症候群」と呼ばれる症状に苦しんでいる。この病気は、からだが濃い体毛で覆われてしまう多毛症の俗称だ。手術を受ければ日常生活を送れるようになると、高額な費用の支援を呼びかけたことがニュースで報じられた。

 狼男症候群は英語の「werewolf(人狼) syndrome」から、「WWS」とも略される。その原因として遺伝子の異常などが考えられているが、世界でもあまり症例がなく、詳しい研究が進んでいない。アジア地域で報告されることが多いようだ。特に有名なのがインドのサーングリ三姉妹(一家の娘6人のうち、3人に多毛症が現れた)で、その三姉妹の一人にあたる長女が生んだ子もまた、多毛症であった。ショックもあったろうが、それで娘に対する愛が変わることはないと発言している。母は強し、当然であろう。

 毛が濃いだけでも精神的苦痛は相当なものだろうが、先のバングラデシュの少女の場合、歯茎が腫れる、胸が肥大化するなどの症状も出ている。まだ未来のある身、なんとか普通の生活が送れるようになることを願うばかりだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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