国産バターの不足が言われて久しいが、その原因の一つとされているのが生乳流通制度である。

 現行制度は半世紀前に導入された。政府が生乳の安定供給を目的に、農協が母体となっている全国10団体を指定。その10団体を通して出荷しないと国からの補助金を受け取れない仕組みだ。そのため、生乳の流通量の97%が指定の農協団体経由という。つまり、農協が生乳の集荷・販売をほぼ独占しているわけだ。これが生産量を拡大させたい酪農家たちの意欲を削ぐ形となっている。

 農家の高齢化、跡継ぎ不足も加わって、近年酪農家の数が減り、生乳の国内生産量は減少している。また生乳を集荷する農協団体は単価が高く、利益を得やすい牛乳向けを優先するため、加工用の生乳を十分確保できない傾向がある。これが国産バターの不足を招いているという。

 こうしたことから政府の規制改革会議では、酪農家が指定団体を通して生乳を売らなくとも補助金を受け取ることができるように「指定団体制度の廃止」が議論されている。農家が出荷先を自由に選び、乳業メーカーと直接取引できるようになれば、酪農家の競争力が高まり、生産量も増え、酪農家の所得も増えると期待されている。

 これに対し、農協側は、指定団体で集中集荷することで輸送コストが軽減され、乳業メーカーに対する価格交渉力が強化されるなどとメリットを主張。規制改革会議の動きに反発している。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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