昔ほど「テレビ」というものに夢と華がない時代。コンテンツの王様としての立場は、スマホの台頭によってずいぶんとあやういものになった。こうした状況下で、4月11日にインターネットテレビ局として開局(先行配信は3月)した「AbemaTV」が、識者の予想をはるかに上回る好調ぶりをみせている。6月半ばの時点で、視聴アプリが400万ダウンロードを突破した。

 サイバーエージェントとテレビ朝日の出資による動画配信事業であり、テレビを本職とするスタッフがオリジナル番組を手がけている。これまでの動画サイトと比べ、明快なメジャー感があるのはそのためだ。『みのもんたのよるバズ!』『若槻千夏と生で行ってみた』といった、有名タレントを起用した番組も多い。一方で、「釣り」「麻雀」といったコンテンツに、ネットコンテンツとしてのホビー感も残している。

 テレビが不振の時代に、(ある意味でライバルであるところの)ネット企業がテレビを創った。この構図は非常におもしろい。サイバーエージェントの藤田晋(ふじた・すすむ)社長自身がマスコミの取材を受けることも多く、その語り口から事業に対する本気のほどがうかがえる。スマホで見る24時間無料のテレビというビジネスモデルの、行く先やいかに。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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