土用の丑の日の定番、ウナギの蒲焼。これを食する人が最近、減っているという。理由は、ウナギの天然稚魚の漁獲量が激減し、養殖ウナギの価格が高騰していることがある。

 そうなると、バターに対するマーガリンのように、代用品の登場である。

 近畿大学は2015年11月13日、ウナギ風味のナマズ「近大発ナマズ」の事業化に乗り出すと発表した。同年に設立した養殖の新会社(鹿児島県)を拠点として、年間100トンの生産を目指している。今年の夏、その「近大発ナマズ」を使用したスペシャルメニューが東京と大阪の2店舗で限定発売、蒲焼も一部スーパーで市販された。

 「近大発ナマズ」は近大の有路(ありじ)昌彦教授が研究・開発した。ナマズは食用を目的に一部地方で限定的に養殖が行なわれているが、特有の泥臭さがあり、脂質もほとんどなく、表面のヌルヌル感は同じでも、ウナギの蒲焼の代用にはならなかった。

 「どうしたらウナギと同じような味を出せるのか──」

 有路教授は、実に6年間をかけて、餌の種類を選定し、養殖池の水についてもきれいな地下水を使うなど、工夫を重ね、ウナギ風味のナマズを開発した。

 近大によると、脂質は普通のナマズの3倍、カロリーは国産養殖ウナギより低くヘルシーという。気になる価格は、将来的にウナギの半分以下を目指す。今後、刺身やてんぷらなどに適したナマズも生産できるよう研究開発を進め、年間を通じて需要があるようにする。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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