今上陛下が「生前退位」の意向を示され、にわかに皇室典範が注目されるようになった。

 皇室典範は皇室のあり方を定めた法律で、一言で言うと「皇室制度の基本法」という位置づけだ。

 全37条。(1)皇位継承(2)皇族(3)摂政(4)成年、敬称、即位の礼、大喪の礼、皇統譜及び陵墓(5)皇室会議の5章で構成する。

 1章では、天皇の地位を受け継ぐ、皇位継承の資格や順位などについて明記。たとえば、第1条では「皇位は男系男子が継承する」と規定。つまり、女性が継承することは認めていない。

 明治時代の1889(明治22)年に旧皇室典範が制定され、戦後、新憲法下の1947(昭和22)年に現在の皇室典範が施行された。現在の皇室典範は、旧皇室典範の神道儀礼などの部分を削除したものの、その主要部分は踏襲している。

 今回注目されるのは、天皇陛下が生前退位のご意向を示されたにもかかわらず、皇室典範に、生前退位の規定がないからだ。

 天皇の即位については、天皇が崩じたときに皇嗣(皇位継承順位第1位の皇族)が、直ちに即位することが規定されているだけだ。ただ、天皇が心身の重い病気にかかったり、重大事故に遭遇したりして、国事に関する行為を自らすることができない場合に「摂政」を置くことができると定めている。

 いずれにせよ、今上陛下がご退位されるには、皇室典範の改正か特別立法が必要だ。

 政府は、天皇陛下の「生前退位」の意向が示されたことで、皇室典範の改正を含めた検討を始めた。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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