2016年10月期スタートのドラマで、群を抜く存在感を発揮した『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)。新垣結衣(あらがき・ゆい)、星野源という旬の役者による魅力、主題歌に合わせてキャストが踊る「恋ダンス」など、語るべきポイントは多い。仕事にあぶれた女性が「就職」としての契約結婚をするシナリオ、というとクールな印象を受けるかもしれないが、実際はまるで学生のようなウブな恋愛模様が続く。

 ラブストーリーとしては非常にじれったいもので、「ムズムズするところに胸がキュンとする」。こうした展開を「ムズキュン」と称し、公式ツイッターみずからがキーワード化した。初婚年齢の平均が30歳前後ともいわれる昨今(編集部注:平成27年の調べでは夫は31.1歳、妻は29.4歳)。仕事はできても恋愛ベタという男女はまったく珍しくない。『逃げるは恥だが役に立つ』は時代の空気をよくつかんでいるといえそうだ。恋のもどかしさはなぜ観ている者の心をざわめかせるのか。SNS上を眺める限り、臆病な恋愛を応援したくなる気持ちは、ひとの根源的なところなのだろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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