『週刊ポスト』(1/1・6号)が「政界『失言・珍言大賞』を決定する!」という特集を組んでいる。

 イクメン議員として注目を集めた宮崎謙介議員だったが、ゲス不倫が発覚してあえなく憲政史上初の不倫で辞任。彼が辞職会見の時に言った言葉が「人間としての欲が勝ってしまった」だった。

 弁護士出身の丸山和也参議院議員の人種差別発言もあった。

 「米国は黒人が大統領になっている。これ奴隷ですよ」

 オバマ大統領でなかったら同盟を解除されても致し方ない暴言である。否、戦前なら戦争に発展していたかもしれない。

 当選2回ながら“失言王”とあだ名がついたのは大西英男代議士。衆院北海道5区補選の応援に入った際、神社の巫女さんから「自民党は好きじゃない」と言われたことにブチ切れ、「巫女のくせに」と思い、「私の世話を焼いた巫女さんが20歳くらいだった。口説いてやろうと思って、『補選を知っているか』と聞いたら知らないというから、夜誘って説得しようと思った」

 産婦人科医の赤枝恒雄代議士が、大学生や民間NGOが出席した「子どもの貧困対策推進議員連盟」の会合で、

 「とりあえず中学を卒業した子どもたちは仕方なく親が行けってんで通信(過程)に行き、やっぱりだめで女の子はキャバクラ行ったりとか」

 丸山、大西、赤枝も70代である。安倍が掲げる「女性活躍社会」など頭の中にない古いアホ議員たちである。

 熊本・大分地震が起きた後、片山虎之助おおさか維新の会(当時)共同代表がトンデモ発言。

 「終盤国会になってから熊本・大分の地震が起こりまして、これがずっと長引いていますね。ダブルになるのかならないのか、消費税を上げるのか上げないのか、全部絡んでくるんですね。大変タイミングのいい地震」

 都知事選では、小池百合子候補が「崖から飛び降りる覚悟」をして立候補した。

 対抗馬の増田寛也候補の応援に行った石原慎太郎元都知事が小池候補に対して「厚化粧の女に任せるわけにはいかない」と発言し、一気に小池支持者を増やしてしまった。

 中でも私は、失言の“国家遺産”ともいうべき麻生太郎副総理のこの発言が許せない。

 「90歳になって老後が心配とかいってる人がテレビに出ていた。いつまで生きてるつもりだよ」

 政治家失格というより人間失格である。

 現役時代に「サメの脳みそ」といわれた森喜朗元首相の暴言は枚挙に暇がないが、昨年も口を開けば暴言・迷言だらけである。

 新国立競技場に聖火台が忘れられていた問題で批判を浴びると、

 「日本スポーツ振興センターという少し頭のおかしな連中が、聖火台を忘れた設計図を作った」

と発言。自分の頭のおかしさを忘れて他人を批判するのが、サメの脳みそといわれる由縁である。

 業者から現金をもらったことがバレて辞任に追い込まれた甘利明前経済再生相が辞任会見で漏らしたひと言。

 「政治家の事務所はいい人だけと付き合っているだけでは選挙に落ちてしまう」

 本音すぎて、いい人なのだろうが政治家には向いていないのがよくわかる。

 山本有二農水相の「この間冗談をいったら、閣僚をクビになりそうになった」。萩生田光一(はぎうだ・こういち)官房副長官が、野党の国会対応を「田舎のプロレス」と揶揄。

 安倍首相の奥さん昭恵が小池都知事との対談で「『日本を取り戻す』ことは『大麻を取り戻す』こと」というのもベスト10ぐらいには入るだろう。

 『ポスト』はベストワンを選んでいないから、私が独断で2016年の「暴言大賞」を決定してみたい。

 まずは、政治家ではないが間違いなくワーストワンになるのはこれだ!

 沖縄県・東村高江で強行している米軍ヘリパッド建設をめぐって、大阪府警の機動隊員が反対派市民に「ボケ、土人が」「黙れ、コラ、シナ人」と、呆れ果てた差別発言をした。

 これは安倍首相が沖縄に謝罪し、即刻ヘリパッド建設を中止するほどの「大問題発言」だと、私は思う。

 安倍首相も失言・暴言の宝庫である。

 彼は、過去にも「税金というのは国民から吸い上げたものでありまして」「憲法上は原子爆弾(の保有)だって問題ではないですからね」、自衛隊というべきところを「我が軍」と言ってしまったりと呆れた発言には事欠かない。

 一昨年も「我々が提出する法律についての説明はまったく正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」と国会で答弁して顰蹙を買ったが、私が安倍首相のワーストワンに挙げるのは、この発言。

 環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案を審議する衆院特別委員会で、「我が党においては(1955年の)結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」と言ったことである。

 以前も、五輪招致のプレゼンで「福島第一原発の汚染水はコントロールされている」とウソをつき、日本以外のメディアに袋だたきにあったが、この御仁、自分の発言のおかしさに気がついていないのであろう。

 森元首相とどっこいどっこい、質の悪さでは森を凌駕するのではないか。

 ついでに日本人は忘れっぽいから21世紀最悪の首相の暴言も紹介しておこう。

 小泉純一郎が首相時代に吐いたウルトラ暴言は、これから日本が100年続くとしても、これを超えるものは現れないと思う。ギネスに載せたらいい。

 衆院予算委員会で民主党(当時)の菅直人の質問。小泉首相が選挙で「国債発行額を三十兆円以内に抑える」と公約したのを守れなかったことを問われて、

 「その程度の公約なんか守らなくても大したことではない」

と、言い放ったのである。

 私は国会中継を見ていて、開いた口がふさがらなかった。一国の首相が選挙で公約したことを、守らなくてもたいしたことはないと公言することなど、あってはならないことである。

 これで小泉辞任は避けられないと思ったが、この国のメディアは取り上げはしたが、辞任まで追い込むことはしなかった。あの頃からメディアの凋落は始まったと思っている。

 日本には言論の自由がないと海外メディアにいわれるのは、日本のトップがウソをついても、致命的な暴言を吐いても、言論機関がとことん追及しないからである。

 かくして言論は年々軽くなり、トップはますますその場その場でいい加減なウソをつくことに慣れきってしまう。はて、2017年はどうなるのだろう。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 この世に女と男がいなくならない限り、不倫という“文化”はなくなることはないのだろう。
 昨年も各界の有名人たちの不倫が話題になったが、乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)のケースのように離婚までいってしまったものもある。
 2017年も『文春』の裏切り愛、ゲス不倫報道で幕を開けた。昔の女性誌編集長に聞いた話だが、取材費が潤沢だった時代には、都内の主だったホテルの従業員にカネを掴ませ、有名人の不倫カップルが来たら知らせてくれるよう頼んでいたという。今はどうなっているのだろう。

第1位 「嵐・松本潤 裏切りの“4年恋人”」(『週刊文春』1/5・12号)
第2位 「安田美沙子 デザイナー夫の『ゲス不倫』撮った」(『週刊文春』1/5・12号)
第3位 「香川照之『離婚』」(『週刊文春』12/29号)

 第3位。『文春』に、昨年12月、21年の結婚生活を解消したと発表した俳優・香川照之(てるゆき)のことが載っている。
 『文春』によると、香川は息子を歌舞伎役者にしたいために母親・浜木綿子(はま・ゆうこ)と離婚した三代目市川猿之助に急接近していった。
 11年からは脳梗塞で介護が必要になった猿之助と独断で同居をはじめたが、仕事でいない香川が面倒を見られるわけはなく、妻が向き合うようになった。
 また、妻のほうは息子を歌舞伎役者にするのは、「息子の将来を決めて自由を奪ってしまう」ことになるとして、望んではいなかったという。
 そんなこんながあって、ついに離婚ということになったというのだが、2ページという短さもあって、よくわからない記事である。
 香川という俳優は東大出で、時には神ってる演技をするが、私の好きなタイプの俳優ではない。
 離婚というのは2人にしかわからないものだが、こういう人間と一緒にいるのはさぞ大変だっただろうなと、私はやや奥さんに同情的である。

 第2位。タレントの安田美沙子(34)の夫(37)のケースは正真正銘の「ゲス不倫」
 安田は現在妊娠5か月で、予定日は5月だそうだ。それなのにファッションデザイナーの夫は、都内の病院に勤務する北川景子似の27歳スレンダー美女と食事をした後、新宿歌舞伎町のシティホテルへ入り、出てくるところを『文春』砲にバッチリ撮られてしまったのだ。
 それにこの夫氏、結婚していることはもちろん、フルネームもきちんと名乗っていなかったそうなのだ。
 『文春』の直撃に、夫氏は最初はとぼけていたが、写真を見せられると観念したのか、「出来心というか……。妻には直接話すので時間を下さい」と、認めたのである。
 その話し合いが持たれたのは12月21日の深夜を過ぎた頃だった。
 その後、事務所を通じて安田からコメントが寄せられたという。

 「この度は、私たち夫婦のことでお騒がせして申し訳ありません。夫から事情を聞き、こっぴどくお灸をすえました。反省しているようなので、今回ばかりは許したいと思っています」

 中村芝翫(しかん)の浮気の際の妻・三田寛子もそうだったが、女は強い。母親はさらに強いと思う。

 第1位。昨年はベッキーのゲス不倫で幕を開けた『文春』「怒濤のスクープ」連弾が大きな話題を呼んだが、今年はSMAP解散後のジャニーズ事務所を背負う人気グループ・嵐の松本潤(33)の「裏切り愛」である。
 裏切りというのは、松本には交際中で結婚間近といわれる女優・井上真央(29)がいるからだ。
 『文春』によれば、2人はドラマ『花より男子』(TBS系)で共演してから付き合いが始まり、すでに10年以上になるという。
 だが、ジャニーズ事務所は色恋については本人の自覚に任せているそうだが、常に幹部からは「バレないようにしなさい」と言われているそうだ。
 それに、恋愛はいいが結婚となると、人気に影響が出るので難色を示すそうである。
 井上との逢瀬も、もっぱら松本の自宅か信頼できる友人宅でしか会わないそうだ。
 そのため、ほとんど2人のツーショットは撮られていないという。それに井上がヒロインを演じたNHKの朝ドラ『おひさま』以来、紅白の司会や映画『八月の蝉』で日本アカデミー賞主演女優賞を受賞するなど、仕事に忙殺されているため、会うのもままならないそうだ。
 そんな松本の心の隙間に入り込み、毎週逢瀬を重ねている恋人との決定的瞬間を『文春』が捉えたのである。
 12月18日、ナゴヤドームでコンサートを終えた嵐のメンバーは、JALの最終便で羽田空港に到着した。
 各々ワンボックスカーに乗り込み家路につく。松本も厳重なセキュリティで守られているマンションへ帰宅。
 そこへポニーテールに髪を結ったスレンダー美女が現れたのは、19日の午前4時を回っていたという。
 美女は慣れた手つきでインターホンを押し、松本の部屋へ入っていった。
 『文春』は12月に3度、彼女が松本の部屋を訪れるのを確認しているという。
 彼女は葵つかさ(26)。10年にAVデビューしてこれまでに100本近い作品に出演し、深夜のバラエティ番組にも出演する人気女優だそうだ。
 出会いは、4年前の中村勘三郎のお通夜の席で共通の知人から紹介されたことからだった。
 その後松本から彼女にメールを送り、13年の1月中旬に「薄暗い雰囲気の隠れ家のようなマンションの一室」(『文春』)で会ったという。
 ほかの人間もいたそうだが、散会した後2人きりで過ごしたという。その日以来、毎週のように松本は彼女を自宅に呼び入れるようになった。
 葵は松本が井上と付き合っていることを最初は知らなかったそうだ。
 一度松本に、井上とのことを尋ねたら、それには答えず松本は「それ以上、彼女のことを言ったら殺すよ」と突き放すように言ったという。
 だが、叶わぬ恋に身を焦がし続けた葵は、一度、松本と話し合い、別れることにした。
 別れから3か月後、松本から突然会いたいと言ってきたそうだ。その時松本は彼女にこう言ったという。

 「なんでオレこんなに会いたくなっちゃうんだろう」

 再び葵が松本のマンションを訪れるようになる。
 こうした取材でいつも不思議に思うのは、当事者を直撃するのはわかるが、恋人といわれる井上真央にも話を聞いていることである。
 夫婦ならわかるが、まだ結婚するかどうかもわからない井上にインタビューするのはちと酷ではないのか。
 当然、井上は「ごめんなさい」と笑顔で言うだけだ。葵は、記者の問いかけには答えず、逃げるようにその場を立ち去ったそうだ。
 松本は? 葵つかささんをご存知ですねと聞く記者に、

 「いえ、わかんないです」「その人がわかんないんで」

 と、要領を得ない返答をして、お決まりの「事務所を通してくれ」と言って去って行く。
 『文春』は、井上という恋人がいながら葵とも付き合うのは「二股ではないか」と言いたいのだろうが、若くて人気絶頂のアイドルに、そうした“倫理”を求めるのは無理がある。
 葵も彼氏に彼女がいることは承知で付き合っているのだから、この三角関係がこれからどう進展していくのか、そっちのほうが気にはなるがね。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
ジャパンナレッジとは?
辞書・事典を中心にした知識源から「知りたいこと」にいち早く到達するためのデータベースです。日本語や歴史を深く掘り下げて知識を得られる辞典から、英語だけにとどまらない各外国語辞書や東洋文庫などの叢書まで、あらゆる項目の一括検索が可能です。