司法修習生への給付制度が創設される。月額一人13万5000円を国が支給する。支給開始は2017年の司法試験合格者から。2011年に廃止された司法修習生への「給費制度」(一律約20万円)が事実上復活することになる。従来の「貸与制」も引き続き維持し、給付制と併用の形となる。住居費も必要に応じて月額3万5000円が支払われる。支給総額は年間約30億円の見込み。

 司法試験に合格した司法修習生は、司法研修所や裁判所などで1年間実務研修する。修習の後、法曹(裁判官や弁護士、検事)になる資格を得る。最高裁が任命し、国家公務員に準ずる身分とされ、修習に専念する義務がある。すなわち兼業・兼職が禁止されているわけで、アルバイトは原則としてできない。

 一方で、法律家を教育する法科大学院の授業料は、年間100万円程度もする。多くの司法修習生は借金生活を強いられているのが実情だ。近年、司法試験受験者が減り、「法曹離れ」が進んだ理由の一つに、司法修習生の経済的困窮を指摘する声もあった。

 こうしたことから、日本弁護士会などが給費制度の復活を求めていた。

 給費制の復活を巡っては、「司法修習生だけを特別扱いするのはおかしい」「現行の無利子の貸与制で十分だ」との異論も少なくない。これに対し、メディアの多くは「復活は妥当だ」との論調だ。しかし、その原稿を書いている記者は新聞・テレビの裁判所担当の記者たちで法曹界とは仲間意識が強く、「筆が甘いのでは」との指摘も。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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