大阪府が2017年1月、独自の地方税として、宿泊税を導入した。対象はホテル・旅館の宿泊者。1人1泊につき1万円以上で、3段階100~300円の課税となる。ホテルなどでの食事や会議室の利用、電話代などにはかからない。大阪府は年間800万人分、10億円の徴収を見込んでいるという。

 宿泊税は海外ではパリ、ローマ、ニューヨークなどの大都市で、国内では 東京都が2002年から導入している。大阪府は全国2例目となる。

 導入の背景にあるのが、近年の外国人観光客の爆発的な増加。大阪府によると。大阪府を訪れた外国人は2015年が約716万人。前年の376万人の2倍増で過去最高を記録している。今後も増加が見込まれている。

 大阪府は、宿泊税の目的について「大阪府が世界有数の国際都市として発展していくことを目指し、都市の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に充当していく」と説明。具体的には、観光施設の多言語案内への補助金、「大阪おもてなしステーション」(仮称)整備運営費、国内外からの誘客促進事業など観光分野に特化した事業に充てるとしている。

 これに対し、ホテル業界からは不満も漏れてくる。外国人観光客が利用するのはホテルだけでなく鉄道、百貨店、量販店など多岐にわたり、「どうしてホテルだけを対象とするのか。不公平だ」との思いがあるからだ。そもそも、外国人観光客が増えていることを理由にあげるなら、外国人観光客だけに課税すればよい、との意見もある。

 どこの都道府県も税収不足に頭を抱えており、外国人観光客の激増に乗じて、東京、大阪に続くところが出てきそうだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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