いま全国の小学校で、睡眠に対する積極的な指導が広まっている。もちろん、「早寝早起き」の推奨は昔からあったわけだが、その程度ではまずいと教育現場は認識しているようだ。

 文部科学省が平成26年11月に実施した『睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果』では、次の日に学校がある平日で、小学生の就寝時刻は10時以降が半数を超えている。現代の子どもは睡眠不足に陥りがちなのだ。親世代が遅くまで起きている影響、またスマホに時間をとられる環境などが指摘されている。そこで注目されるのが、「眠育」という言葉だ。

 眠育とは、「睡眠についての知識を伝え、睡眠への意識向上をはかる教育、睡眠教育のこと」である(日本眠育普及協会)。成長ホルモンが分泌される睡眠は、特に幼い時期には重要だ。質の高い睡眠は健康なからだにつながる。勉強による睡眠不足により、昼間の授業で寝ていては、単純に学力が落ちて非効率でもある。

 そうは言っても、習い事など何かと忙しいいまどきのお子さまたち。悪影響を知りつつ、睡眠時間を削らざるをえないこともあろう。ただ少なくとも、それが生活習慣になってしまうと、若くして病気になるリスクが高いという医学的な事実を親は知っておくべきである。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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