SNS上でのやりとりの一手法。昨今は、メッセージの文末に置く絵文字や顔文字の代わりに、漢字や平仮名、もしくは記号などの一文字だけを添えるパターンが、若い世代を中心に増えているのだという。なにも付けないのはそっけない、でも凝るのは面倒というメンタル……なのだそう。

 たとえば、「草」は(笑)の意味で、waraのwの連続、「wwwww」(大爆笑)が「草が生えている」ように見えることが発祥だとされている。

 ほかにも「杉」は「過ぎ」、「乙」は「お疲れさま(それは大変だったね、ドンマイ的な意味でも使われる)」、「み」は「“わかりみ”みたいに、接尾辞を付加しても名詞にならない言葉を無理矢理名詞化する」……ほか、さまざまな一文字メッセージが「ほぼ毎日」と言ってもよいくらい続々と、ちまたに出回っている。

 ただ、コレはあくまで“相互理解”が成立している関係内でのみ通用する一種の暗号のようなものゆえ、まだ知り合って間もない相手へとやみくもに多用すれば「ただの頭の悪いヒト」「誤字も打ち直さないガサツでせっかちなヒト」……と見なされている危険性も高い。

 「草」を(笑)と解釈できない層に「ヤバイ草」なんてメッセージを送ったりしてしまった日には、いろんな意味で「ちょっと危ないヒト?」のレッテルを貼られ、挙げ句の果てには半グレ扱いされてしまうことだって充分にあり得るのだ。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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