私はこの原稿を東芝のパソコンdynabookで書いている。重厚長大型企業の東芝だが、PCや液晶テレビも優れた製品を出している。その東芝が倒産の危機にある。

 東芝の歴史は古く、創業は「1875年(明治8)田中久重(ひさしげ)が設立した田中製造所にさかのぼる」(「ニッポニカ」より)。東芝の名を高めたのは、財界総理といわれた第4代石坂泰三であるが、メザシを好み質素を旨とした土光敏夫(どこう・としお)第6代社長も国民的人気が高かった。

 半導体分野でもリーディングカンパニーであり、重電機、軍事機器、鉄道車両分野でも、日立、パナソニック、三菱電機とともに重電4社といわれている。

 その東芝が昨年12月末時点で2256億円の債務超過に陥った。その後も、東芝が06年に買収したアメリカの原発会社ウェスチングハウス(以下WH)の幹部が損失を少なく見積もるように圧力をかけていたという問題が発覚して、米監査法人と対立し、4月11日に綱川智(つなかわ・さとし)社長が会見し、監査法人が「意見不表明」という異常な形での決算発表に踏み切った。

 最終赤字は1兆円を超えるといわれているが、その損失の最大要因は、約6600億円を投じて先のWHを買収したことに端を発している。

 WHは原発推進を掲げる政府と経済産業省の「国策」に乗る形で東芝が買収したが、11年の福島第一原発事故で、原発事業に大きなブレーキがかかった。

 その時点でWHを手放していれば傷はここまで深くはならなかったはずである。だが、佐々木則夫社長は、福島第一原発事故以前、経産省が原発を自動車や電機に代わる輸出産業にしようと目論み、日本から原子炉を持っていくだけでなく、現地で原発を動かして必要な燃料もパッケージで輸出するという構想に固執し、「原発を欲しがっている国はいっぱいある」と強気の姿勢を崩さなかった。

 この重大な経営判断ミスが、東芝の赤字を膨らませ、倒産の危機に追い込んだのである。

 だが、WH買収に関わってきた東芝の田窪昭寛(たくぼ・あきひろ)と原発推進で手を組んできた安倍晋三首相、その秘書官・今井尚哉(いまい・たかや)にも、東芝崩壊の責任があるはずだと、『週刊文春』(4/13号、以下『文春』)で、ジャーナリストの大西康之が追及している。

 これは、今の大新聞やテレビが報じていない、東芝問題の核心を抉(えぐ)るレポートである。

 大西がある東芝社員のビジネスダイアリーを入手したことがきっかけだった。これは東芝電力システム社の首席主監だった田窪昭寛のもので、彼は78年に茨城大工学部を卒業後東芝に入社、主に原子力畑を歩み、06年のWH買収では現場を取り仕切った。

 09年には電力システム社首席主監に就任して、今年3月までWHの傘下企業である原子燃料工業の社長を務めていた。

 田窪は各国の政府高官などに東芝の原発を売り込むのが仕事で、佐々木社長から大きな権限を与えられていたという。

 彼は、こうと決めたら周囲が何と言おうと突き進むため「暴走機関車」と言われていたそうだ。

 田窪が「東芝製原発の海外輸出」へ突っ走るために接近したのが、今井だった。今井は82年に東大法学部を卒業後、旧通産省に入省している。今井の叔父は旧新日鉄社長、会長を務め経団連会長になった今井敬である。

 今井は安倍首相の覚えめでたく、第一次安倍政権で首相秘書官を務め、12年に第二次安倍政権ができると、安倍に懇願されて再び首相秘書官に就任している。

 今井は経産官僚時代、長年手掛けてきたのがエネルギー政策で、民主党政権時代にも資源エネルギー庁次長として原発再稼働に奔走していた。

 だが、今井が秘書官に返り咲いたのは3・11が起きた後である。常識的には、あれだけの大事故を起こした日本の原発を輸出しようなどという「妄想」は出てこないはずだが、原発輸出に活路を見出したい田窪と、トルコやアラブ首長国連邦に原発や関連技術の輸出を可能にする政府間協定の締結を推進していた今井が、無謀な事業に突き進んでいったのである。これには当然ながら安倍の後押しもあった。

 「アベノミクスの第三の矢『成長戦略』のうち、数少ない具体策と言えるのが原発輸出戦略です。首相も今井氏の進言に乗っかりました」(官邸関係者)

 先ほどの田窪の手帳には頻繁に今井の名前が出てくる。ディナーを一緒にしたり、帝国ホテルのフランス料理店で朝食をとりながら、田窪は今井の協力と安倍首相のGOサインも得たのである。

 「田窪氏の口癖は『国策だから』。周囲が『本当に大丈夫か』と不安視する案件でも、佐々木社長の後ろ盾があり、今井氏とも繋がっている彼に『国策だ』と言われると、誰も言い返せません。財務部門もストップをかけられなかった」(東芝関係者)

 そのころ、アメリカではシェールガス革命の結果、電気料金が急激に下がり、東芝がテキサス州で計画中の原発も、発電しても売り先がない状況に陥っていたのである。

 それでも佐々木社長は取締役会で、この原発を減損する必要はないと主張し続けていたという。

 東芝幹部たちの先を見ない愚鈍経営に、安倍首相とその側近が手を貸して、東芝崩壊へと導いたのである。

 WHを買収した当時の西田厚聰(にしだ・あつとし)社長は『文春』のインタビューにこう答えている。

 「残念ながら福島でああいうことが起き、環境が激変した。それに合わせて手を打つのが経営だが、佐々木君にはそれができなかった」
 国の顔色を窺ったのかという問いには、

 「それが間違いでした。僕の時代はそんなことはなかったが、佐々木君が社長になってからは、そういう部分もあったのだろうね」

 東芝は福島第一原発の廃炉という役割もあり、社員が17~18万人もいる日本を代表する大企業である。巨額赤字や粉飾決算にもかかわらず、潰せないため、公的資金(血税)の注入も検討されているといわれる。

 東芝の歴代トップたちの責任はもちろんのこと、安倍首相と今井秘書官にも、国民に「原発輸出事業は失敗だった」と説明する義務があること、言うまでもない。

 トップがアホだからと、東芝社員の多くは嘆いていることだろう。『週刊新潮』(4/13号)は「『東芝』30代社員のトホホな『転職活動日記』」を掲載している。

 「綱川社長が3月29日に記者会見を開きWHの破産法申請と同時に、その処理で赤字が最大一兆100億円になると発表。2年前だったらビックリしたかもしれないが、これまで数々の問題が起きて数千億円単位の損失などが明らかになったからだろう。危急存亡のときに立たされても、もはや驚愕しなくなった自分の感覚は、完全に麻痺している」

 筆者は有名国立大学を出て、当時勝ち組中の勝ち組で旧財閥色も薄い自由な社風だと感じた東芝に入った。

 支社勤務を経て本社の企画部門に「栄転」した中堅社員で、独身。年収は700万円台だったが、ボーナスカットにより2年間で100万円近く減っているという。

 日記では、次々に去っていく同僚がいるが、転職ができるのは引く手あまたの技術職で、彼のような企画畑では転職先もなかなか見つからないと悩みを綴っている。

 1月には東芝京浜事業所品質保証部の社員が、水力発電機器の安全検査データをねつ造していたことが報道された。2月にはWHの幹部が、米国で建設中の原発を巡り、部下に建設費の圧縮を指示していたことが発覚し、原子力事業を統括する会長と、社内エネルギー部門のトップが退任した。

 そのエネルギー部門のトップであるダニエル社長が部下に出したメールが、同僚から彼のところへ転送されてきた。それを読んだ彼はブチ切れる。

 「“短い間でしたが、みなさんと一緒に仕事ができて幸せでした”と。ふざけるな。お前と志賀会長が“チャレンジ”と称して、部下に圧力をかけたんだろ。同僚の話では、ダニーの給与は億単位だとか。この泥棒猫!」

 東芝が倒産すれば、当然ながら株主代表訴訟が起こるはずだ。本社、子会社を含めて、トップたちには賠償責任が生じるのではないか。そうしなければ、東芝社員たちが可哀そう過ぎると思う。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 私は横山やすしが亡くなってから漫才は見も聞きもしなくなったが、あれほどの天才でなくとも、喋りがそこそこできる芸人なら見てみたいと思う。だが、テレビに出てくる連中は、いたずらに大声を出し、裸になったり、バカ騒ぎをするだけで、芸無しである。最大の元凶はテレビ局だ。ギャラが安い、一歩間違えば大ケガをしかねない企画でも断らないから、芸NO人がテレビに溢れてしまう。どうだろう、お笑い芸人はテレビには出さず、ラジオだけに出すというのは。そこでリスナーから認められた芸人だけをテレビに出すのだ。そうすれば、話芸だけで勝負せざるを得ない。そうしないと、日本のお笑い芸はそっぽを向かれ、廃れると思う。

第1位 「香取慎吾20年恋人と“謎の少年”」(『週刊文春』4/13号)
第2位 「正直言って、つまんない『笑えない』お笑い芸人ワースト実名30人」(『週刊現代』4/22号)/「ブルゾンちえみに“パクリ疑惑” を聞いてみた」(『週刊文春』4/13号)
第3位 「『余罪』が発覚『核兵器解体』詐欺師との『ただならぬ関係』!」(『アサヒ芸能』4/13号)/「安倍昭恵首相夫人と『元暴力団組長との親密写真』」(『フライデー』4/21号)

 第3位。森友学園問題で渦中の人になった安倍首相夫人・昭恵だが、『アサヒ芸能』(以下『アサ芸』)と『フライデー』に詐欺師と元暴力団組長とも“交流”があったと報じられている。
 『アサ芸』が名指しするのは40代の米国人平和活動家、マット・テイラー。08年に車の中で練炭自殺した元TBSアナウンサーの川田亜子(享年29)の最後の恋人として、メディアに取り上げられたことがある。
 山口県出身者で占められている後援会「長州友の会」は、昭恵が運営委員を務め安倍首相も何度も講演に訪れている。そこに映画監督としての顔も持つマットが入り込み、広島の原爆を題材にしたドキュメンタリー映画を製作すると吹聴し、昭恵はそれに共鳴して、「事あるごとに上映会を開いては、彼の活動のための募金箱を設置して、参加者から集金していました」(地元有力者)
 中には信用して一度に10万円も募金した人もいるという。カネは彼が代表を務めるNPO団体「GNDF(世界核兵器解体基金)」の活動費になったそうだが、今に至るまで核のひとつも解体していないどころか、こうした高尚な名目を立て、カネを集めるのがマット流だそうで、98年には「タイタニック引き上げ品展」をやったが、イベント運営費を払わず、「収益をネコババした過去もあります」(NPO関係者)
 大手芸能事務所幹部は、マットが核兵器を解体する瞬間を映像に撮らせるからという条件で1000万円出資したのだが、出資金詐欺だと知り返還を求めたところ、逆に活動妨害で訴えられたそうだ。反訴してマットの詐欺行為が認定され、返金命令が出たという。
 それ以外にも、マットが付き合っていたミス・インターナショナル・吉松育美が、件の幹部をストーカーだと訴えたとき、昭恵は支援者として名乗りを上げ、彼はストーカーだと断定した騒動があった。
 だが吉松が、昨年2月にその発言を撤回してしまったのだ。後に昭恵は、その幹部に平謝りしたそうだが、「総理夫人という立場をあらためて自覚し、周囲の人間を疑うことを覚えなければ」(地元有力者)
 『フライデー』によれば、最近「アキエリークス」というサイトが開設されたという。そこに、動物愛護団体「J-Taz’s」の代表と彼女が写っている写真が掲載されている。 その代表は元暴力団組長だった人間で、そこが昭恵の名前を使って寄付金集めをしているという情報が流れているそうである。
 『フライデー』の取材に代表は、昭恵の友人が渋谷で犬を保護したことがきっかけで連絡を取り合うようになったと話している。自分が元暴力団の組長で、指がなく入れ墨があるのも事実だが、昭恵の名前でカネ集めをしたことはないと否定した。
 飲み会のとき、酔った昭恵から「代表、入れ墨見せて!」とよくせがまれたが、「こんなもん人に見せるもんやない」と断ったという。天真爛漫なのかバカなのか。「大麻容認発言」など、一歩間違えれば大スキャンダルになりかねない妻の行動や発言に、夫は気が気ではないだろう。

 第2位。キャリアウーマン風のいで立ちで「花は~自分からミツバチを探しに行きますか? ……探さない。待つの」と上から目線の恋愛指南をするネタでおなじみのお笑い芸人に、ブルゾンちえみ(26)というのがいるそうな。
 『文春』は、先の言葉が、某占星術師の本からのパクりではないかと、ネットで話題になっていると報じているが、そんなことはどうでもいい。
 どうせ今の芸人にオリジナリティなどあるわけがない。私はお笑いを見なくなって久しいが、ときどき、チャンネルを間違えて芸人が出ていることがあるが、まったく笑えない。笑えないお笑い芸人など、何とかのないコーヒーより始末が悪い。
 そんな芸無し芸人をもてはやすテレビ局やファンがいるから、さらに彼らを増長させるのだ。
 先日も、お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建(44)と俳優の佐々木希(29)が結婚することをテレビ番組で公表したとスポーツ紙が報じていた。
 何が悲しくてこんな年上のオジンと、可愛い盛りの女が結婚しなくてはいけないのだ。
 忠告しておく。才能のある芸人は家では面白くもなんともない。外面は仮面だ。女だって通りを歩いている犬だって笑わせることができるが、家ではうんともすんとも言わないのが当たり前なのだ。
 渥美清を見なさい。彼は仲間に自分の住所さえ教えなかった。ビートたけしを見なさい。家にあんな顔の男がいたら、子どもはひきつけを起こす。
 昔、私が付き合った萩本欽一だって、舞台を降りれば、タダの無口な人間だ。外でも家でも、ヘラヘラしている奴にろくな芸人はいないのだ。
 『現代』が、笑えないお笑い芸人ワースト30をやっているが、これは企画間違いだと思う。笑える芸人のほうが圧倒的に少ないのだから、ベスト3を選んだほうが読者の役に立つ。
 このワースト1にもブルゾンちえみが選ばれている。ただの素人の宴会芸だと評されているが、そんなのばかりだろう。
 2位にはオリエンタルラジオの中田。3位が昨年200本以上のテレビに出たという永野。続いて品川庄司、芥川賞のオマケといわれるピース綾部が5位。
 30位まで挙げても何の足しにもならないからここでやめておく。
 芸無し芸人がテレビを席巻しているのは、安く使えて便利だからで、テレビのディレクターにも芸のわかる人間などいないからだ。
 元吉本興業の木村政雄が言うように、今は籠池(かごいけ)のような濃いキャラクターのほうがはるかに面白い。心から笑いたかったら、バラエティ番組を消して報道番組を見るべきである。

 第1位。今回の「文春砲」は、元SMAP香取慎吾(40)の“家族”についてである。
 3月5日、後楽園遊園地・東京ドームシティアトラクションズに香取の姿があった。一緒にいるのは中学生ぐらいの少年。
 モノクログラビアに後楽園のゴンドラに2人して乗り、香取が自分と少年を自撮りする写真が載っている。
 どこにでもいる父と子どもという風情だ。だがなぜ『文春』は香取の子どもと書かずに「謎の少年」としたのか。
 香取が2歳年上の彼女との「熱愛」を『フライデー』で報じられたのは97年早々。その年の6月には、彼女との「婚前旅行」も同誌で報じられている。
 当時、彼女は会社勤めをしながら歌や踊りのレッスンをしていた「アイドルの卵」だったという。『フライデー』が報じる2年ほど前から交際していて、香取はテレビ局に、彼女の家から出かけることもあった。
 香取は祖母の葬儀にも彼女を同伴し、香取の両親が経営していた雑貨店でも働いていたそうである。事実婚のような状態だったのだろう。
 だが、05年に、2人は鶴見区の一軒家から六本木のマンションに引っ越してしまう。そのころこんな噂がファンの間で流れたという。
 「慎吾に子どもができた」
 そして熱愛報道はぴたりと止み、それから10年以上ツーショットが撮られたことはない。 だが、昨年3月末に、ハワイで香取が少年と一緒に歩いている写真がツイッターに上げられた。
 彼女とは事実婚ではなく、結婚しているのではないか。少年は2人の子どもで、SMAPが解散して時間のできた香取が、子どもと一緒に後楽園へ遊びに行き、ファンに気づかれても気軽に握手していたそうだ。
 だが、ジャーニーズ事務所に、この件を問い合わせても「結婚の事実はない」と答え、香取本人を直撃しても無言。
 香取を可愛がっていた元マネージャーの飯島三智氏に聞いても、彼女のことは知らない、子どもはいないでしょと否定した。
 香取が彼女と暮らし始めた頃、アイドルが同棲や結婚するなど、事務所ではご法度だった。木村拓哉が工藤静香とできちゃった婚を発表したのが2000年11月。だが、香取には好きな彼女がいることも、結婚したいと公言することも許されなかった。
 SMAPの解散を強く主張したのは香取だった。結婚を公表したキムタクへの「思い」もあっただろうが、自分たちの仲を公にできない事務所への長年の不信もあったのではないか。
 『文春』は「二十年以上に及ぶ“悲恋の物語”に終止符を打つことができるか」と結んでいる。
 今、香取は新規の仕事のオファーを受けていないという。彼は絵が得意で、芸能界を引退してアーティストとして生きていくという見方もあるようだ。
 一方、香取は4月8日放送のテレビ朝日系列『SmaSTATION!!』で、「隠し子じゃないんです。友達の子どもなんです。困っています」と隠し子報道をキッパリと否定。今週発売の『文春』(4/20号)で続報はなかった
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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