設問の全ての例文に「うんこ」という言葉が盛り込まれ、正解を書き込むマス目もうんこの形状をしている、小学生向けの漢字学習用ドリルのこと(小学1~2年生向けは『うんこかん字ドリル』)。発売当初は買うことを躊躇する親も多かったそうだが、「うんこを交えた珍問に接する子どもの集中力が半端じゃない」との噂が口コミやネット、さらにはマスメディアを通じて爆発的に広がり、出版社文響社によると発行部数が3月下旬の発売から1か月半でシリーズ累計100万部を突破するメガヒット作となった。

 幼年期から小学生あたりの子どもたちは、得てしてうんこだとかおしっこだとかゲロだとかヒカキン(ユーチューバ―)だとか……の「気持ち悪いモノ」がとくに大好物だったりするが、これはこの世代の子たちの“下ネタ”(※ヒカキンは下ネタではない)に、まだ「エロ」がないから、糞尿や吐瀉物に特化する傾向が強いのではないか、と筆者は推測している。つまり、人間とは老若男女問わず“下ネタ”が大好きなのだ。

 とはいえ、もう大の大人である筆者ら世代のあいだで開催される男子会でも、いまだ“ウンチちょい漏れ話”はけっこう盛り上がったりもするので、もしかすると、やはり老若男女問わず(男女は問うような気もするが)、「うんこ」は、素朴な意味で(=特殊な性癖などが絡まないという意味で)永遠の“テッパンネタ”なのかもしれない。ちなみに、筆者も“ウンチちょい漏れ話”だけをテーマにした短編小説集をいずれは世に出してみたいと前々から目論んでいるのだが、残念ながら現時点で出版社からのオファーはひとつもない。最後の手段は自費出版?
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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