新米のママは、寝かしつけや夜泣きに悩まされるもの。最近の若い世代は親戚づきあいなどが少なく、育児の知恵が継承されにくいようで、昔ながらの「おくるみ」もよく知らない世代が増えた。

 赤ちゃんはそれまでずっとママのお腹にいたので、少し動きにくいほうがかえって安心するという。だから、全身を布で包んであげると、眠りに誘いやすい。突然ビクッとなる「モロー反射」を抑えて、夜泣きを止める効果もある。

 こうしたテクニックは日本だけの話ではない。欧米版のおくるみは「スワドリング(swaddling)」と呼ばれている。赤ちゃんの腕が下がった状態で、スワドルと呼ばれる布をしっかりと巻き込み、腕を動かなくするのがコツだ(見た目が可哀想だからとゆるくしては意味がない)。近年ではaden+anais(エイデンアンドアネイ)のスワドルが人気となっている。イギリスのキャサリン妃がロイヤルベビーに用いてからだ。

 ちなみにいま、このスワドリングのオトナ版が健康法として話題を呼んでいるという。その名も「おとなまき」(おくるみの一種、「おひなまき」から来ている)。育児中のママは肩や腰の痛みに悩まされるということで、その解消をはかるものだ。おとなが全身布にくるまれてユラユラする様子は、さながらミイラのようで一瞬ギョッとしてしまう。が、そのユニークさは海外でもちょっとした話題になっているらしい。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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