クワガタがリングの上でバトルする「クワレス」など、昆虫イベントを全国の子どもたちに届けているヒーローがいる。その名も「ミヤマ☆仮面」。ミヤマクワガタの化身であるマスクマンで、若き「クワガタ忍者」を従える。

 その生き様は、まさにヒーローと呼ぶにふさわしい壮絶なものだった。ミヤマ☆仮面こと垣原賢人(かきはら・まさひと)氏は、2006年に首のけがで現役を退いた元プロレスラー。幼少期からの趣味を活かして、ミヤマ☆仮面として新たな人生に踏み出すも、2014年に「血液のがん」といわれる悪性リンパ腫が発覚。病魔と闘う中で、筋骨隆々の体もどんどん衰えていった。だが希望は捨てない。ヒーロー不在の中、昆虫イベントを支えたのは、なんと垣原氏の中学生の息子であった。父のようなキャラクター、クワガタ忍者に姿を変えて。

 抗がん剤治療を終えた垣原氏は、いまだ闘病中ではあるが、再びミヤマ☆仮面のマスクを被った。息子との昆虫イベントのステージは、アイドルグループ「バクステ外神田一丁目」のメンバーである娘のMCで進む。それだけではない。今年8月には驚くべきことに、プロレスのリングにも舞い戻った。「藤原組長」こと藤原喜明(ふじわら・よしあき)と対戦し、敗北にほぞをかむその様子は、いまを生きる輝きに満ちている。家族にも、プロレス仲間にも愛されているといえよう。ひと昔前のヒーローと違い、ミヤマ☆仮面に孤独は無縁のようだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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