2012年、ポプラ社より発刊されて以降、幼児から小学校低学年を中心に絶大な人気を誇り、シリーズ累計150万部を超える大ヒットとなっている児童書のこと。漢字で表記すれば「お尻探偵」。

 臀部に似ている顔をもつ名探偵「おしりたんてい」は「フーム、においますね」が決め台詞。ユーモアたっぷりの見かけによらず、とても上品、かつレディーに優しい紳士で、そのうえ、難事件をププッと解決しちゃうほど推理はキレキレの人気探偵……なのだそう。

 あまりの話題沸騰ぶりにアニメ化プロジェクトまでが今年5月末からスタートしており、すでにYouTubeから全世界に向けて「3分でププッとわかる!『おしりたんてい』予告編」が無料配信されているらしい。

 それにしても、『おしりたんてい』にせよ『うんこ漢字ドリル』にせよ、子どもはなぜこうも「お尻まわり」が好きなのか──を考える前に、児童書とは元来「子ども本人が買うものではなく、大人が買い与えるものである」という点に筆者は注目したい。

 もしかすると、子どもは内心、お尻より「お○んちん」とかのほうが、もっともっと好きなのかもしれない。が、“そこ”にはやはり、大人の検閲の目が光り、結果として“それ”よりは多少無難な、しかし子ども受けする「お下劣」の許容ラインギリギリ、すなわち「お尻まわり」へと、ヒットのコンセプトがおのずと行き着いたのではなかろうか? 単純に言葉尻が可愛いというのも売れている要因の、間違いない一つではあると思うが……?
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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