教育(文学・文化・歴史)〈NDC10版:377.1〉
羽田貴史/広渡清吾/水島朝穂/宮田由紀夫/栗島智明
日本で世界で「学問の自由」が揺れている.旧来の「アカデミア」対「外部(政治)」の関係にとどまらず,拡大した経済・産業界からの影響を受け緊張関係の顕われが多様化する一方で,国際機関や非政府組織により,権利保障の規範づくりや情報共有が進んでいることはあまり知られていない.現在必要な知識を凝縮した1冊.
環境学(理学(数学・物理・化学・生物・地学))〈NDC10版:519.4〉
枝廣淳子
気候危機と海洋環境の危機,私たち人類が直面するこの二つの大きな危機の進行に歯止めをかける切り札として,世界的に熱い注目が集まるブルーカーボン.藻場などの「海の森」は陸上生態系の最大一〇倍ものCO2を吸収・貯留する.そのしくみや可能性,海の豊かさを守り育てることの大切さとその身近な取り組みなどを徹底解説.
工学(機械・電気・建築)(環境学)〈NDC10版:543.5〉
尾松亮
福島原発事故から一〇年余り,政府・東電は「四〇年廃炉」に向け着実に進行中と言うが,そもそも事故炉の廃炉とは何をすることで,一体それは可能なのか.スリーマイルやチェルノブイリの例も参照しながら論点を提示する.あわせて,大量廃炉時代に突入した今,老朽原発を含めた原発廃炉のもつ人類史的重要性を指摘する.
哲学・心理学・宗教学(福祉)〈NDC10版:371.42〉
斎藤環/内田良
いじめ加害者は学校に居続け,被害者の側が外に居場所を求めざるを得ない――こうした歪な現状をどう変えていくべきか.ひきこもり・いじめに関わり続ける精神科医と,教育問題にエビデンスから迫る社会学者が,いじめを取り巻く人々の意識データ,スクールカーストの構造等から迫り,被害者優先のケアのあり方を議論する.
社会学(国際・メディア)(法律・政治・行政)〈NDC10版:518.8〉
五十嵐太郎
寝そべれないベンチ,禁則事項だらけの公園….建築物が本来の目的外に使用されないようにする,「排除アート」.これらは公共空間が特定層に対して臨む,厳しい態度の表れである.なぜ排除アートは設置されたのか.果たしてアートと呼べるのか.その歴史・背景をひもとき,日本の公共空間づくりの問題点を浮き彫りにする.
福祉(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:369.27〉
藤木和子
障害児者とともに育ち,親よりも長い一生の関係となる「障害児者のきょうだい」.幼少期から差別や偏見を受け,身近な支援者としての役割を期待される一方で,自身のことは後回しにされてしまいがち…….「ヤングケアラー」としての自らの切実な悩みや体験も交えて,さまざまな新しい取組みを紹介,支援の必要性を訴える.
経済・経営・商学・観光(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:366.89〉
今野晴貴/岩橋誠
これは一部の「酷い」経営者の問題ではないーー.コロナ禍により日本で働く外国人の立場の弱さが鮮明になった.働く留学生,技能実習生,インバウンド雇用者など,かれらが苦しんでいる要因とは何か.急増した労働相談の現場から,辞めさせやすく転職しづらい労働の実態を描き出し,現状の法的枠組みからの脱却を訴える.
社会学(国際・メディア)〈NDC10版:369.36〉
豊田直巳
福島第一原発事故から一〇年が過ぎた.多額の復興予算は,当事者不在の公共事業や検証なく繰り返される除染などに費やされ,さらに原発事故の傷跡を覆い隠す「復興五輪」が強行された.地元住民を置き去りにする偽りの「復興」は福島に何をもたらしているのか.住民らの苦悩と闘いをカラー写真とルポで描く好評シリーズ第4弾.
社会学(国際・メディア)(経済・経営・商学・観光)〈NDC10版:335.6〉
日本労働者協同組合連合会
暮らしや地域に必要な仕事は自分たちで立ち上げよう! 働く者たちが自ら出資して仕事をおこし,経営にも携わる.労働者協同組合法が成立し,いま「協同労働」という新しい働き方が広がろうとしている.行き詰る日本の雇用や労働の問題を浮き彫りにしながら,「協同労働」の意義や具体的な実践を検証し,その可能性を探る.
福祉(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:369.27〉
好井裕明
健気に頑張る,あるいは尊敬すべき障害者ーーメディアや映像作品でおなじみのイメージは,健常者の感動の道具として消費するだけの「感動ポルノ」なのではないか? 最近のそんな批判に対し,名作とされる映画からドキュメンタリー,パラ五輪まで個々の表現に分け入り,何が語られていないか,その可能性まで含めて考える.
社会学(国際・メディア)(体育学・スポーツ)〈NDC10版:780.69〉
小笠原博毅/山本敦久
なぜ開催してはならなかったのか.オリンピックおよびIOCによって歪められるスポーツと,犠牲を被るアスリートの姿.そしてわれわれ市民に遺された有形無形の負の遺産を徹底追及.東京2020を「終わったことにさせない」ため,オリンピックの問題性にいち早く警鐘を鳴らし一貫して批判を続けてきた研究者が総括する.
社会学(国際・メディア)(法律・政治・行政)〈NDC10版:319.8〉
川崎哲
核兵器禁止条約が,ついに発効した.非核の世界を求める国際社会,NGOやヒバクシャの長年の運動が実を結んだこの画期により,新たな国際秩序への歩みが,確実に進んだ.一方,核武装国家による抵抗も続いている.「核の傘」を奉じる日本政府も批准を否定する.核廃絶に向けた次の一歩を,どう展望するのか.
文学・文化・歴史〈NDC10版:209.74〉
リリアナ・セグレ/中村秀明訳
一九四四年一月,アウシュヴィッツに送られた少女は,壮絶な日々の末に生きのびる.戦後,長い沈黙を経て,三〇年にわたり自らの体験を語り続けた.九〇歳を迎え,活動に幕を下ろした年に行った最後の証言を,インタビューとともに収録.そこには差別,憎悪,分断がはびこる現代への警告と,未来への一筋の希望が見える.
社会学(国際・メディア)(福祉)〈NDC10版:369.4〉
田沼武能
写真家・田沼武能氏はユニセフ親善大使の黒柳徹子さんに同行し,35年以上にわたり毎年のように世界各地を訪れ,子どもたちの写真を撮り続けてきた.戦争や自然災害,貧困にもめげず懸命に生きる子どもたちの姿を生き生きと捉えた写真と,現地での生の印象を綴った文章からなるフォト・エッセイ.(「はじめに」=黒柳徹子)
教育〈NDC10版:377.21〉
駒込武
近年加速する大学の「ガバナンス改革」.学長を中心としたトップダウン型経営は,教育現場に果てしない混乱をもたらしている.教育・研究の実態からかけ離れた独善的な改革が推し進められ,果ては学内制度や人事までが一部の人間の意のままに改められてしまう――.変わりゆく国公立大学のいまを,七つの大学の現場から報告する.
環境学(農学(農・獣・畜産・水産))〈NDC10版:519.81〉
永幡嘉之
栗林に群生するカタクリ,斎藤茂吉の好んだオキナグサのある風景….失われようとしているのは生物多様性だけか? 土地の生産力を最大限に引き出して利用されてきた自然環境――数十年来,東北の地を調査してきた著者が里山を再定義.数々の風景写真と静かで熱い言葉で,民俗知としての文化の重要性を語る.オールカラー
環境学(家政・生活科学)〈NDC10版:518.85〉
藤井英二郎/海老澤清也/當内匡/水眞洋子
灼熱のコンクリート道に,緑の日傘があったなら.待ったなしの気候変動対策に取り組むなか,世界の諸都市は≪樹冠最大化≫を目標に掲げ,IT技術も駆使して,身近な緑を豊かなものにしている.枝を短く伐られ,電柱のような街路樹が目立つ日本は,どうしたら変われるのか.米・独・仏,また国内都市の最前線を紹介.
文学・文化・歴史〈NDC10版:319.8〉
日本原水爆被害者団体協議会編
ふたたび被爆者をつくらないために――一九四五年八月の原爆投下によってこの世の地獄と化した広島と長崎.その苦難の中から立ち上がった被爆者たちは,原爆が心身にもたらす苦しみとたたかいながら,被害の実相を訴え,原爆投下の責任を問い続けてきた.核のない世界の実現を願い,次世代に伝えるメッセージ.
環境学(教育)〈NDC10版:519〉
宇佐美誠
「気候崩壊」は防げるか? 世界でいま何が起こっている? 今後は何が起こる? 本当の原因は? 世代や国を越えたルールとは? 若者とともに気候変動のいまを学び,私たちの倫理まで踏み込んで議論する.渋谷教育学園渋谷中学高等学校での特別講義をもとに,中高生の意見も多数収録.大人世代にも手にとってほしい一冊.
社会学(国際・メディア)(文学・文化・歴史)〈NDC10版:316.81〉
細見和之/松原薫/川西なを恵
かつて陸軍歩兵第七十連隊が置かれ,戦争の拡大とともに硅石とマンガンの鉱山で栄えた丹波篠山.その歩みは近代日本の縮図そのものだった.しかし,鉱山で働いていた朝鮮人たちのことは,なぜか公的な記録に残されていない.新聞記事や鉱山跡,慰霊碑,民族学校の資料などの調査から,見失われた彼らの足跡を掘り起こす.
農学(農・獣・畜産・水産)(環境学)〈NDC10版:615.71〉
香坂玲/石井圭一
欧州において有機農産物はいまや「日常」的なものとなり,消費・流通・生産の現場は大きく様変わりし,「食」や「環境」への意識も変化した.本書ではドイツ,オーストリア,フランスの現場と,それを支える公共の役割を考察し,欧州での地殻変動の原動力を解明するとともに,日本における有機農業の将来像を提示する.
教育(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:375.199〉
佐藤学
三十年におよぶ経済停滞に加え,コロナ禍のダメージを受けた日本では,「未来の教室」事業に急速に期待がかかるが,その成否は? また,現在の労働の多くがロボットに代替される未来予測のもと,教育の役割が重みを増すなか,各国の政策対応は? 学校改革の第一人者が,豊富なデータとともに検証する.
社会学(国際・メディア)〈NDC10版:365〉
日本弁護士連合会消費者問題対策委員会
若者が「大人」になる年齢が一八歳へ――明治時代からずっと二〇歳だった成年年齢が,二〇二二年四月,一八歳に引き下げられる.これまでより二年早く大人になるだけ? ところが,たった二年の引下げにより,若者たちに消費者被害が広まるおそれが指摘されている.リスクの説明と,未来を創る若い人たちへのヒント集.
福祉(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:369.16〉
朝比奈ミカ/菊池馨実
子ども,高齢者,障がいのある人,そして生活に困窮する人たちを日々地域で支えている民間や自治体などのソーシャルワーカー.コロナ禍の各地での実践,法的な裏付け,よりよい暮らしのための新たな試みを具体的に語る.
社会学(国際・メディア)(文学・文化・歴史)〈NDC10版:385.3〉
田中治彦
民法改正により二〇二二年度から成人年齢が一八歳となるのに伴い,各自治体主導で行われてきた二〇歳での成人式をどうするかが課題になっている.そもそも成人式は必要なのか.戦後七〇年続いた歴史を振り返るとともに,「成人とは何か」「大人とは何か」を含め多角的に検討,成人式に関わる多くの人々への手引きともなる一冊.
社会学(国際・メディア)(経済・経営・商学・観光)〈NDC10版:365〉
村上稔
超高齢社会と過疎/都市の過密問題が凝縮した現象が「買い物難民」で,さまざまな対策が展開されている.巨大資本も参入するなか,地域の仕入れ先と高齢者との生の関係にこだわる移動スーパー事業の先駆者が,ピンチをチャンスに変える逆転の発想を開陳.読むと元気が湧いてくる一冊.
医学・歯学・薬学・看護学(理学(数学・物理・化学・生物・地学))〈NDC10版:493.87〉
岡田晴恵
このままでは次の大流行の波を乗り切れない! 若くても,重症化も合併症も可能性あり.後遺症も怖い「常識破り」の感染症.原因ウイルスの正体とは? 対抗・防衛手段の検査方法とは? 抗体検査でわかってきた免疫の新常識,ワクチンや薬の開発…….経済活動と感染拡大抑制の両立を目指し,最新の科学的知見を基本から解説.
社会学(国際・メディア)(法律・政治・行政)〈NDC10版:318.3〉
竹信三恵子/戒能民江/瀬山紀子編
児童虐待やDVや年金の相談・支援,図書館司書,保育士,学校給食調理員,女性関連施設の職員,非常勤教員等々,待遇は劣悪なまま,体よく「やりがい搾取」される女性非正規公務員たち.私たちの暮らしを直接支える人たちの生活がこのまま脅かされていていいのか? 現場からの切実な声を届け,いま何が必要なのかを考える.
社会学(国際・メディア)(福祉)〈NDC10版:368.6〉
阿部恭子
軽微な犯罪から重大事件まで,被害者と加害者が生まれる狭間で,時にバッシングの矢面に立ち,助けもなく放置される「加害者家族」.家族ゆえに連帯責任を問われることも多い.支援団体を設立し10年になる著者が,豊富な実例に基づき,かれらの置かれる苦境やプライバシー問題など,海外との比較を踏まえ,支援の必要性を訴える.
医学・歯学・薬学・看護学(理学(数学・物理・化学・生物・地学))〈NDC10版:493.87〉
岡田晴恵
2019年末,中国で新型コロナ感染症COVID-19発生.世界中に感染が拡大しているけれど,どんな病気? どうしたら感染を予防できる? かかったと思ったときにはどうする? そもそもこのウイルスの特徴は? 今後の見通しは?….感染症対策の第一人者が,ウイルス学の専門家や臨床医からの確かな情報も得て,イラストとQ&Aで簡潔に語る.
社会学(国際・メディア)(福祉)〈NDC10版:367.68〉
斎藤環/畠中雅子
ひきこもり状態にある人は全国で一〇〇万人以上,そのうち四〇─六四歳は約六一万人と言われる.若者問題と思われてきたひきこもりは,今や中高年の問題になっている.親が高齢化するなか,親の死亡に伴うひきこもりの人たちの困窮が懸念される.本書は親の資産を最大限に活用して,ひきこもりの子を生涯にわたって経済的に支えるライフプランを指南する.
教育(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:374.37〉
内田良/広田照幸/高橋哲/嶋崎量/斉藤ひでみ
2021年度より公立学校教員への導入が可能になった「1年単位の変形労働時間制」.この制度は教員の多忙化解消につながらないどころか,さらに多忙化を進展させる可能性すら含んでいる.本書では,学校がおかれている実情や法制度を踏まえつつ,この制度の持つ問題点について,現場教員を含む様々な視点から論じる.
社会学(国際・メディア)(福祉)〈NDC10版:369.7〉
猪瀬浩平
私たちはなぜ,なんのためにボランティアをしているの? いっけん自明に思えて,実は難しい問題に,「自発性」「無償性」「公共性」を切り口としつつ,ゆるく非真面目に考える.これから始めたい人,続けてきたけど疲れ気味の人,そしてまったく興味がない人にも読んでほしい,ボランティアという営みの奥行きと面白さ.
環境学(理学(数学・物理・化学・生物・地学))〈NDC10版:519〉
山本良一
気候変動から気候危機へ――.スウェーデンの一五歳の少女の訴えが世界の若者を動かし,世界各地の自治体や国も次々に「気候非常事態」を宣言し始めた.平均気温上昇を一・五℃以内に抑えることは可能か.パリ協定の本格始動を機に,科学者の立場から問題の本質と最新の科学の知見を押さえつつ,我々はいま何をすべきかを説く.
環境学(理学(数学・物理・化学・生物・地学))〈NDC10版:519.8〉
鷲谷いづみ
SDGs(持続可能な開発目標)達成のためには「生物多様性の保全と持続可能な利用」が必要.それはヒトの衣食住や文化が「生態系サービス」に依存しているから.では将来への課題はどこにある? 生物多様性の大切さと問題を確認し,消費者にできること,教育現場での実践例,国内外でのユニークな取組みを知ろう.【オールカラー】
哲学・心理学・宗教学(家政・生活科学)〈NDC10版:367.7〉
沼野正子
齢40が「不惑」だって!? 倍以上生きても惑うことばかり.絵描き屋稼業50年,未だ現役マツノマツコ.亡き母の介護に後悔あり.夫の突然死,自身のめまい,うつ,パニック障害….数々の原因不明の病気と共に日々は続く.この年でわかったこと,わからないこと,後半生の泣き笑いをシニカルに描く,大人のコミックエッセイ.
社会学(国際・メディア)(経済・経営・商学・観光)〈NDC10版:366.89〉
宮島喬/鈴木江理子
2018年末の改定入管法により,外国人労働者の受け入れ拡大が進められている.だが,そこでは彼らは労働力として扱われ,人として受け入れる視点が欠けている.移住女性の状況やヘイトスピーチの問題などにも目配りしながら,いま日本で暮らす,そして新たにやって来る外国人と共に生きる多文化社会への途を考察する.改定法を踏まえて見直した新版.
社会学(国際・メディア)(法律・政治・行政)〈NDC10版:366.99〉
森岡孝二/大阪過労死問題連絡会
「過労で人が死ぬはずがない」といわれた当初から,遺族の声なき声に耳を傾け続けてきた無料電話相談.今や「KAROSHI」は,英語の辞書にも載る日本発の言葉となった.だが依然として過労死・過労自殺が減る兆しは見えない.「過労死」を死語にするための一歩として,その救済のための闘いの歩みをたどり,今後の課題を見据える.
福祉(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:369.17〉
結城康博
超高齢化社会が進む中で介護人材を増やしていかなければ,介護サービスの質の低下を招き,利用する高齢者やその家族は安心して暮らしていくことはできない.ブラック化する介護労働の実態,利用者からのセクハラ・パワハラ,管理職の指導力・養成力の欠如,外国人介護士の受け入れなど,介護現場の課題を明らかにし,解決策を提示する.
医学・歯学・薬学・看護学(福祉)〈NDC10版:490.154〉
安藤泰至
安楽死や尊厳死をめぐる議論はなぜ混乱するのか? 知っておくべき歴史や背景,言葉のからくりを指摘し,「死の自己決定権」「延命治療」といった言葉も吟味し直しながら,その議論が陥りやすい落とし穴を明らかにする.「よい死」を語る前に私たちが真に議論すべきことは何か.人間らしい尊厳ある生き方を求めて,医療文化,社会のあり方を問い直す.
文学・文化・歴史〈NDC10版:210.7〉
中村政則/森武麿
「昭和」「平成」合わせて九四年間の政治・経済・社会の主要な出来事を,一年一頁にまとめたコンパクトな年表.アジア太平洋戦争から日本国憲法公布,高度成長,バブル崩壊,東日本大震災,そして安保法制成立まで,時代の動きが一目で分かる.内閣一覧や世相を映す写真も収載.ブックレットのベストセラー年表の最新版.
環境学(工学(機械・電気・建築))〈NDC10版:519.4〉
枝廣淳子
安価で便利な素材として過剰に生産・消費され,大量に捨てられているプラスチック.特に海洋プラスチック汚染は二一世紀最悪の環境問題の一つと言われる.この問題の全体像を提示し,産業政策の側面にも光をあてて解決策を検討する.
社会学(国際・メディア)(法律・政治・行政)〈NDC10版:518.1〉
橋本淳司
安心・安全・安価な水――.水道水の「当たり前」は,もう通用しないかもしれない.水道管は老朽化し,人口は減少.対策として民間企業の水道事業参入が可能な水道法改正もなされたが…….水道の基本知識,「民営化」の懸念材料,小規模自治体でも持続可能な実践例などを,わかりやすく説明.住民・自治体双方に役立つハンドブック.
社会学(国際・メディア)(法律・政治・行政)〈NDC10版:329.39〉
高遠菜穂子
「平和憲法」を掲げながらも,軍事化が進行し,戦争に加担する国へと変貌しつつある日本.それでも,国際社会で起きている戦争は他人事でよいのだろうか.イラク戦争以後,暴力の連鎖が続く現地で人道支援活動を続ける著者が,自らの体験をもとに,戦争のリアルな実態を伝え,平和をどう築くかを問う.護憲の,さらにその先へ.
社会学(国際・メディア)〈NDC10版:367.68〉
土井隆義
近年,若者たちを取り巻く社会環境は悪化している.格差の拡大や貧困が深刻化し,それらに起因するいじめや児童虐待も目立つようになっている.ところがその一方で,各種の意識調査によると若年層における幸福感や生活満足度は,逆に高まっている.この相反現象の秘密とはいったい何だろう.「宿命」をキーワードに考える.
教育(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:371.3〉
尾木直樹/木村泰子
いま,学校は子どもの力を育んでいるか.大人に都合のよい教育に,子どもを押し込めていないか.どんな子にも居場所をつくる教育を実践する大阪市立大空小学校の日常を追った映画『みんなの学校』で話題の元校長・木村氏と,人気の教育評論家・尾木ママが熱く語り合う.誰もが主役となって社会をつくり,未来を拓くための教育とは.
社会学(国際・メディア)(医学・歯学・薬学・看護学)〈NDC10版:498.14〉
植山直人/佐々木司
医師にはなぜ,過労死ラインの倍の残業時間が許されるのか? 連続30時間を超える労働や夜間診療の恒常化はわたしたちに何をもたらす? 万人に共通な睡眠不足による悪影響を科学的にふまえたうえで論じる.問題の解決は医療過誤をなくすだけではない.厚労省で医師の働き方が検討されている今こそ未来のための国民的議論を求む!
福祉(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:369.36〉
豊田直巳
原発事故で人・地域が負った傷を回復させるはずの「復興」.しかし,その名のもとに,放射能汚染の実態や加害の責任が隠蔽されようとしている.避難区域の解除と帰還推進一辺倒の政策で,住民たちは岐路に立たされている.原発事故直後から現地を取材し続ける著者が,カラー写真とともに住民らの声を伝える好評シリーズ第3弾.
哲学・心理学・宗教学(医学・歯学・薬学・看護学)〈NDC10版:493.764〉
海空るり
多忙なある日,突然うつと診断される.その七年後,今度は「双極性障害」だとわかる.試行錯誤の中での,薬や自分の症状とのつきあい方,子育ての悩み,医療者との関係,他の患者との交流,そして寛解に向けての日々を,患者に必要な情報と共に,具体的に綴る.
教育(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:374.37〉
内田良/上地香杜/加藤一晃/野村駿/太田知彩
国際比較でも突出した長時間労働で知られる日本の教師に重くのしかかる部活動指導.9割以上が部活顧問を担当しているが制度上は義務ではなく,解放を求める声も上がる.では,どんな世代,専門,経験をもつ教員の負担になっているのか.一方で「やりがい」は何に由来するのか.勤務と意識の実態を,独自の全国調査データから描き出す.
農学(農・獣・畜産・水産)(経済・経営・商学・観光)〈NDC10版:601.1〉
金丸弘美
新たな観光資源と持続的な地域経済を生む方法として,地域の食に付加価値をつけて都市部に売り込む,「食のブランド化」に注目が集まっている.その基礎となるテキストの作り方や,バイヤー・消費者・マスコミ向けのプロモーションの具体的な方法を紹介.多彩な事例から,地域おこし成功のポイントや地域創生のヒントを提案する.[カラー16頁]
農学(農・獣・畜産・水産)〈NDC10版:645〉
枝廣淳子
「動物たちは,その動物本来の行動をとれる幸福な状態でなければならない」――欧米で畜産動物にも取り入れられているアニマルウェルフェアの考え方とその取組みを紹介,日本の畜産の現状を報告し,東京五輪を迎える日本でも対応が急務であることを説く.
社会学(国際・メディア)(文学・文化・歴史)〈NDC10版:304〉
加藤典洋
犬も歩けば,棒にあたる――一度何もかもを手放し,徒手空拳の犬になる.すると,何かにぶつかる.コツンと乾いた音がして周囲が一瞬明るくなり,そこから次の展開が生まれてくる.それが「開かれたかたちで,考える」ということの指標だ.幕末から戦後,そして現在を貫いて,紋切り型の「正しさ」を内側から覆す,新しい思考の流儀.
情報学(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:070.14〉
立岩陽一郎/楊井人文
「ポスト・トゥルース」が指摘される時代.意図的/非意図的に流通されるニュース・言説の「ファクト」を客観的に検証することが急務である.そのジャーナリズムの新たな手法が「ファクトチェック」であり,ウソの情報によって分断や拒絶が深まることを避け,事実を積み上げることで民主主義の力を底上げする.日本初の概説書.
教育(文学・文化・歴史)〈NDC10版:372.106〉
教育史学会
1948年,教育勅語は公教育から排除された――それは教育勅語のうたう理念と,勅語がもたらした現実が,自由と民主を掲げる戦後社会に根本的に馴染まないからだ.学校教育に,社会に,そしてアジアに大きな歪みをもたらしたその歴史を,教育史研究の成果を結集して解説する.一冊で論点がわかる必携の書.
経済・経営・商学・観光(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:331.86〉
馬奈木俊介/池田真也/中村寛樹
2012年の国連持続可能な開発会議(リオ+20)で提示された「新国富指標」.GDP(フロー)では見えない,我々とその先の世代が受け取る富(ストック)を試算し,真の豊かさを測る.資源が乏しく,人的資本が豊かといわれる日本の目指すべき姿,地域ごとの特徴を活かした持続可能な発展の道を探る,画期的試み.
環境学(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:519.04〉
尾関周二/環境思想・教育研究会
環境問題に取り組むための学問として1980年代以降,環境学は発展し様々な分野に細分化されていった.こうしたなかで,そもそも「環境を守るとは?」という根本をまず考えるために,自動車,カブトムシ,イルカ,原発!?といった「身近な話題から哲学する」視点で,若手研究者がわかりやすく読み解く環境思想の入門書.
社会学(国際・メディア)(哲学・心理学・宗教学)〈NDC10版:369.27〉
保坂展人
2016年7月に起こった相模原事件は,重度の知的障害者が襲撃され,19名が亡くなるという戦後最悪の被害を出した.怒りと悲しみが渦巻くなかで,加害者の障害者抹殺論を肯定する声も聞かれている.日本社会に蔓延する差別意識が最も残酷な形で現れたのが相模原事件だったのではないか.事件の本質を探り,障害者差別の根を断つ方途を考える.
文学・文化・歴史(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:210.75〉
共同通信「戦争証言」取材班
コレラに罹った兵士を見殺しにした衛生兵,真珠湾攻撃に参加し仲間を次々と特攻で失ったパイロット,風船爆弾の製造に従事した女学生…….戦後70年の大型企画として,若手記者たちが67人におよぶ戦争体験者を取材.多様な証言から,浮かび上がる戦争の残酷な実態とは.安保政策の転換が進められるいま伝えたい戦争証言集の決定版.
教育(法律・政治・行政)〈NDC10版:375.314〉
新藤宗幸
選挙権年齢が一八歳に引き下げられるのを機に,全国の高校生に副読本が配布され,「主権者教育」が進められている.同時に,教育における「政治的中立性」の確保が強調され,高校生の政治活動への制限が議論されている.この動きをどう考えるのか.政権の思惑を批判しつつ,民主政治を豊かにする教育とは何かを考える.
社会学(国際・メディア)(経済・経営・商学・観光)〈NDC10版:318.6〉
小田切徳美/広井良典/大江正章/藤山浩
Iターン・Uターン者が地元の力を再発見し地域がみがかれれば,新たな移住者を呼びこむ.外部依存の経済から地産地消へ,量的成長から地域循環型の暮らしの結び直しへ.現場発,現在進行形の,地方創生のあるべき姿と具体策.
環境学(法律・政治・行政)〈NDC10版:519.2194〉
高峰武
2016年5月1日で「公式確認」から60年を迎える水俣病.私たちはどこまでこの問題の実像を知っているだろうか.今もなお,多くの人たちが救済を求めているのはなぜなのか.世界に例をみない健康・環境破壊をもたらした水俣病事件の軌跡を,様々な人物を織り込みながらたどり,この問題が現在の私たちに何を問いかけているのかを考える.
環境学(経済・経営・商学・観光)〈NDC10版:501.6〉
レスター・R.ブラウン/枝廣淳子
世界のエネルギー転換から取り残される日本.この構図を変えたい.レスター・R.ブラウン他『大転換――新しいエネルギー経済のかたち』の好評を受け,訳者であり環境ジャーナリストの著者が日本の現況と展望を加筆し,原著の各種データを一目でわかるようにグラフ化したブックレット版を緊急出版.授業の副教材に是非.
社会学(国際・メディア)(文学・文化・歴史)〈NDC10版:319.8〉
高畑勲
「ここで負けるわけにはいきません!」絶叫は,オリンピックの試合でも,戦争中でも,日本にこだまする.一致団結を求める日本人の同調気質こそ,もっとも恐るべきもの.この日本気質への最後の歯止めが憲法九条である.今,漫画映画の世界的カリスマが語る,平和の重さとそのリアリズム.ナンセンスなことを「ナンセンス」と言うために.
福祉(工学(機械・電気・建築))〈NDC10版:369.18〉
星川安之
シャンプー容器側面のギザギザ,ONスイッチ上の凸点,振動で計測終了を伝える体温計…….これらは,アクセシブルデザイン(AD)と呼ばれ,目や耳が不自由であるなど,「マジョリティ」に属さない人々が日常を暮らしやすくするための工夫である.その開発・普及活動の中心にいて国際規格化でも世界をリードしてきた著者が,ADの可能性を語る.
社会学(国際・メディア)〈NDC10版:367.5〉
多賀太/伊藤公雄/安藤哲也
「男性から女性への暴力をなくす」世界最大規模の啓発活動は,痛ましい殺人事件への国家的追悼から始まった.男性が男性に呼びかけるスタイルで,今や各国の学校や職場の啓発プログラム,行政や企業のイメージ戦略に展開している.男性の「力による支配」に価値をおく社会を,男性が変えるため,いま日本の男性たちへ.
社会学(国際・メディア)(法律・政治・行政)〈NDC10版:310.4〉
浜矩子/柳澤協二/内橋克人
強者のためだけの経済政策,自衛隊員の命を顧慮しない安保法制,民意が反映されない政治――いずれも憲法の基盤をなす人権の問題である.すなわ ち,聞く耳持たず,弱者切り捨てを断行するアベ政治そのものが“憲法違反”なのだ.しかし,私たちは決して,切り捨てられる“弱者”たり得ない. この憲法のもと,民主主義のある限り!
社会学(国際・メディア)(文学・文化・歴史)〈NDC10版:385.6〉
小谷みどり
少子高齢社会の日本は,これから本格的な多死社会に突入する.墓の需要は増えるが,家族意識の変容により代々の家の墓を維持しようという意識は薄れつつある.多様な墓が自由な感覚で作られる一方,全国に広がる無縁墓の問題は深刻化している.死者を無縁化させず,死後の安寧が平等に保証されるにはどうすればよいのか.墓の現在とこれからを考える.
社会学(国際・メディア)(文学・文化・歴史)〈NDC10版:302.2799〉
古居みずえ
世界の注視を集めた二〇一四年夏のイスラエル軍のガザ侵攻時,何が起こっていたのか.この六年にみたび戦火を経験した子どもたちは,日々をどう生きているのか.事態は悪化し,「安全なところはどこにもない」(著者)――.悲劇が繰り返される土地・パレスチナに二〇年以上通うジャーナリストが伝える現地の声.写真多数.
福祉(医学・歯学・薬学・看護学)〈NDC10版:369.17〉
木下大生/藤田孝典
最近注目されている「ソーシャルワーカー」という職業.現状の福祉制度では対処しきれない相談者が増えるなか,解決を編み出すには?その仕事の実際,さまざまな職場環境,資格,課題など多様な側面から迫る.現場と理論をよく知る気鋭の若手2人による,最適の入門書.
教育(語学・コミュニケーション)〈NDC10版:375.893〉
柳瀬陽介/小泉清裕
間違った方向で進めると,公教育の信頼失墜,格差の固定や疎外感を抱く子どもの増加にもつながりかねない英語教育改革.グローバル化に踊らされず,多言語・多文化社会で生きる力を子どもに育むにはどうしたらよいか.英語力ではなく,子どもを育てるのだということに立ち返りつつ,目指すべき教育を保護者や教師と一緒に考える.
医学・歯学・薬学・看護学(理学(数学・物理・化学・生物・地学))〈NDC10版:493.195〉
白石草
1986年に発生したチェルノブイリ原発事故から28年が経つウクライナを現地取材.現在も,多くの子どもが白血病やがんなど様々な疾患を抱える.子どもたちの命と健康を守るために,学校と医療機関の連携や定期的な保養など,国・自治体による多様な取り組みが行われている.いま日本は,チェルノブイリの経験をどう活かすべきか.
社会学(国際・メディア)(福祉)〈NDC10版:369.4〉
共同通信「虐待」取材班
親から虐待を受けた傷を抱えながら成長し,今度は自らが子どもに虐待をしてしまう――.そんな不幸な事件が後を絶たない.身体への暴力,ネグレクト,産み捨てなど,実際の事件を丹念に取材.虐待する親の心理や社会的な背景を追いつつ,「負の連鎖」を断ち切るため社会に何ができるかを問う.反響を呼んだ新聞連載を一冊に.
社会学(国際・メディア)(文学・文化・歴史)〈NDC10版:210.76〉
本田由紀
日本社会が露呈しているほころびとはどのようなものか.どんな方向に軌道修正をしていけばよいのか.教育・仕事・家族という三領域がきわめて強固で一方向的な矢印で結合し,循環していた従来の日本的社会モデルが破綻するまでのプロセスと要因を分析し,それにかわる新しい社会像をうち出す.「社会を結びなおす」ための見取り図.
教育(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:372.107〉
志水宏吉/伊佐夏実/知念渉/芝野淳一
「ゆとり教育」から「確かな学力」路線への転換以降,学力格差は縮小されたのか.男女差や通塾・家庭環境による違いは.格差を克服する学校のタイプとは.「学力の2こぶラクダ」(二極化)状況を解き明かし大きな反響をよんだブックレット『調査報告「学力低下」の実態』(2002)の後継調査から,最新の状況を検証する.
社会学(国際・メディア)(経済・経営・商学・観光)〈NDC10版:366.12〉
牛久保秀樹/村上剛志
日本の労働者が抱える様々な問題に対して,ILO(国際労働機関)をどう活用しうるのか.非正規労働者の正規化,女性差別の撤廃,大量解雇の撤回,教員の地位の確保,労働者の安全衛生などについて,実際にILO条約を用いながら事態を動かしてきた著者が,数々の実践を紹介.日本が条約の定める国際労働基準を達成することを訴える.
法律・政治・行政〈NDC10版:323.149〉
自由人権協会編
「今の憲法はアメリカに押しつけられたのだから,変えたほうがいいのでは?」「国が自衛権を行使するのは当然.それを否定する9条は変えるべきでは?」「時代の変化に合わせて憲法を変えてもいいんじゃない?」――憲法をめぐる様々な疑問に答え,日本国憲法の本質を分かりやすく解説します.憲法を変えようとする動きが強まるなかで,必携の一冊!
環境学(農学(農・獣・畜産・水産))〈NDC10版:614.5〉
佐藤正典
海辺はプランクトンの“大草原”であり魚の“ゆりかご”です.近代日本は,海辺の自然を失ってきました.「宝の海」を失った象徴的な例が有明海・諫早湾です.しかし,海の再生力は大きく,自然保全が社会経済的にも利益を生む実例もあるのです.有明海をよみがえらせて自然の価値をみつめることは,日本の再生にもつながるでしょう.
医学・歯学・薬学・看護学(理学(数学・物理・化学・生物・地学))〈NDC10版:498.6〉
外岡立人
2013年春,中国東部で突然発生したH7N9型.中東・欧州では新型コロナの死者が発生し,予断を許さない.これまでも人類に猛威をふるってきた新型ウイルスだが,人の移動の広域化高速化によって警戒が最重要となったパンデミック(感染爆発)をどう封じ込めるか.必要な正しい情報を簡潔に伝える.
教育(医学・歯学・薬学・看護学)〈NDC10版:367.99〉
池上千寿子
性について語るなんて恥ずかしい? でも,そもそも性ってなんだろう? 性別のこと? セックスのこと? 性とは,人が生きることそのもの! この本では,思春期の悩みから多様な性のありようまで,「いのちと自尊感情」をキーワードに,基本的な理解を育むためのヒントを提供する.豊かな人間関係を築いていくための性教育.
社会学(国際・メディア)(文学・文化・歴史)〈NDC10版:369.31〉
池澤夏樹
東日本大震災と原発災害から2年.この間,私たちは何をしてきたのでしょうか.そして,何がわかったのでしょうか.ボランティアとして,また取材者として被災地を歩き,被災者とともに,涙し,悩み,考えてきた作家が,この大災害の意味と原発を生んだ文明について,根底から問い直します.信州岩波講座での講演の記録.
環境学(工学(機械・電気・建築))〈NDC10版:501.6〉
小野善康
脱原発と再生可能エネルギーへの転換は,電力料金の値上げによって日本経済に悪影響を及ぼすのか.複数の具体的な転換シナリオを想定し,それぞれのコストと,雇用と経済への影響を試算.産業構造転換への道筋も提示する.不況にあえぐ今こそ,転換が経済を活性化させ,豊かで安心・安全な社会構築の切り札になることを示す.
教育(情報学)〈NDC10版:375.199〉
新井紀子
紙をデジタルで置き換えることは,良いことばかりなのだろうか? デジタルに移行することで失うものはないのか? 教育現場での情報技術活用に早くから取り組んできた著者が,デジタル教科書と呼ばれるのはどのようなものか解説し,紙の教科書と比較したメリット・デメリットを論じたうえで,拙速な導入の危うさを指摘する.
福祉(家政・生活科学)〈NDC10版:369.3〉
竹信三恵子/赤石千衣子
先進国の中でも,女性の社会進出が遅れている日本では,日頃から政策決定に女性の声が反映されにくい.そのため災害時の被災者支援も男性基準で進められ,女性被災者にしわ寄せがいきやすい.また被災地でのセクハラやDVなどの被害も表面化しにくい.東日本大震災の女性被災者たちの実状を報告し,多様な支援のあり方を考える.
社会学(国際・メディア)(経済・経営・商学・観光)〈NDC10版:318.6〉
香坂玲
地域衰退が深刻化しているなかで,自治体と住民,企業が知恵を出し合い,自然環境や伝統文化を大切にした個性的なまちづくりに挑戦する地域が現れている.過疎や財政破綻,あるいは公害や環境破壊など「負の要素」を抱えた八つの地域における再生の取り組み.[カラー写真16頁]
教育(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:370.4〉
佐藤学
一人残らず子どもの学ぶ権利を保障し,一人残らず教師が専門家として成長する学校は,どのようにして実現するのか.日本はもとより海外でも近年,爆発的に普及している「学びの共同体」の学校改革とは.その哲学,授業の進め方,教師間の連携,保護者との関係づくりまでを開陳する,学校改革の第一人者による待望の入門書.
医学・歯学・薬学・看護学(哲学・心理学・宗教学)〈NDC10版:493.937〉
冨永良喜
教師やカウンセラー,保護者は災害・事故後の子どもの心をどう支えるべきか.著者はこれまで,阪神淡路大震災やインド洋大津波,四川大地震などの現場で活動し,東日本大震災後,岩手県教育委員会のスーパーバイザーとしてケアシステムの構築を行っている.授業例も含め,ストレスやトラウマへの対処法を実践的に教える.
社会学(国際・メディア)(情報学)〈NDC10版:361.453〉
白石草
マスコミが信用できないなら,自分たちでメディアをつくろう! インターネット放送局Our Planet-TVを立ち上げ,独自の取材・発表を続ける著者が,激変するメディア状況の意味を読み解き,反貧困を訴える若者や,福島の子どもの健康を守るために立ち上がった親たちなど,多様な人々の情報発信の試みを報告する.
文学・文化・歴史(社会学(国際・メディア))〈NDC10版:369.36〉
小沢節子
広島・長崎への原爆投下と福島の原発事故とを結ぶ出来事として,アメリカの水爆実験により漁船第五福竜丸が被爆した1954年の「ビキニ事件」へ注目が集まっている.長い沈黙を経て唯一の語り部として知られるに至った,元乗組員・大石又七氏の人生を辿り,人間と核との問題を考える際の根元的な視座を浮彫りにする.
医学・歯学・薬学・看護学(哲学・心理学・宗教学)〈NDC10版:493.937〉
宮地尚子
未曽有の災害が刻んだ心の傷(トラウマ)は,時とともに思わぬストレスや人間関係のトラブルとして表れる.なぜ生き延びた被災者が罪の意識に苦しみ,支援者が燃え尽き,遠くにいる人までが無力感にとらわれるのか.震災のトラウマが及ぼす複雑な影響を理解し,向き合い,支え合うための一冊.
社会学(国際・メディア)〈NDC10版:543.5〉
豊田直巳
収束の兆しが見えない福島原発事故.数々の紛争地を取材してきた著者は,震災直後から福島に入り取材を重ねる.生活の痕跡を残しながらも人影の消えたまち,放射能汚染や行政の対応に翻弄される住民たち,作業員の語る原発労働の内実…….被災者たちの生の声とともに,原発震災下の実態をカラー写真とルポで描き出す.
社会学(国際・メディア)(家政・生活科学)〈NDC10版:367.3〉
柏木惠子
いま,育児に熱心な父親=「イクメン」が注目されている.しかし実際には,「イクメン」は依然として少数派にすぎず,父親の役割に関する社会の誤解や思いこみも多い.そもそも父親とは何なのか.父親による育児はなぜ必要なのか.父親をすることが家族や男性自身にもたらす意義とは.家族心理学の豊富な研究成果をもとに考える.
社会学(国際・メディア)(工学(機械・電気・建築))〈NDC10版:543.5〉
飯田哲也/鎌仲ひとみ
世界最悪の事故の一つとなり,いまだ終息のめどが立たない原発災害.この大災厄は,明らかに人災だ.私たちの努力と世界中の英知を結集し,なんとかこの事態を収めよう.そして,自然エネルギーで地域を再生し,安全で公平なエネルギーによる未来をつくりだそう.電力と暮らしは直結している.決めるのは,私達.今こそ!
哲学・心理学・宗教学(語学・コミュニケーション)〈NDC10版:361.454〉
貴戸理恵
学校や就職,仕事など様々な場面で重視される「コミュニケーション能力」.しかし人と人の関係性や場に応じて変化するコミュニケーションを,個人の能力のように考えてよいのか.そこから現在の独特の「生きづらさ」も生まれてくるのではないか.自らの不登校体験もふまえ,問題を個人にも社会にも還元せずに丁寧に論じる.
社会学(国際・メディア)(哲学・心理学・宗教学)〈NDC10版:159〉
香山リカ/江川紹子
出口の見えない不況,きつい人間関係などで悩む人は多い.そのことが,さらに他者を排除していく.このようなきびしい時代を,どのようにして生きぬいていったらいいのか.困難に直面した人達が絶望せずに生き続けたのは,なぜか.人間の心の中の回復していく力とは.誰もが「弱者」になりうる時代に届けたい1冊.
社会学(国際・メディア)(法律・政治・行政)〈NDC10版:543.5〉
吉岡斉
原子力発電は,「危険」なものから一転,温暖化対策の切り札として「クリーン」なものへとイメージチェンジを遂げた.14基の新設が見込まれ,インドへの輸出が決まり,プルサーマルがはじまる.再処理は,最終処分場は,そして環境負荷は.多くの課題を抱える日本の原発政策およびエネルギー政策を問う.
文学・文化・歴史〈NDC10版:209.74〉
中谷剛
ナチス・ドイツにより110万人以上の人びとが殺されたアウシュヴィッツ強制収容所.その跡地に建つミュージアムは,1947年の創立から現在に至るまで一貫してホロコーストの歴史を伝達してきた.唯一の日本語公認ガイドである著者が,日々の活動や見学者たちとの対話を通して,今の時代に歴史を伝達することの意味を考える.
社会学(国際・メディア)(哲学・心理学・宗教学)〈NDC10版:371.42〉
尾木直樹
親や教師に告白できずに死に追い込まれる子どもたち──.なぜ,いじめは深刻化するのか.教育現場への競争主義の導入など,急速に変わる子どもや学校の現状を詳細に分析.今日のいじめの実態や学校がいじめを止められない要因などを解明し,「子ども主体の防止策」など,学校や家庭,社会に何ができるのかを具体的に提言する.
福祉(医学・歯学・薬学・看護学)〈NDC10版:493.64〉
「生きる力」編集委員会
突然の告知の衝撃,呼吸器をつけるかどうかの「決断」,「生きる」ことを再発見していく日々……難病中の難病といわれるALSの患者たちが,日本で初めて体験記を募集して編集した本.多彩な文章は心に響き,力強いことばからは元気をもらえる.珠玉のエッセイ集.
文学・文化・歴史(芸術(音楽・美術・演劇))〈NDC10版:319.8〉
中沢啓治
ピカドン一閃――1945年8月6日,広島に落された原爆によって,父姉弟を失ない,さらに妹と母も死んでいった.残された一少年は,忘れ得ないあの惨劇をやがてマンガに描き出し,戦争責任を問い続けてやまない.