(しょうぼうげんぞうずいもんき)
孤雲懐奘
鎌倉仏教のひとつ、曹洞宗の開祖・道元の法語を平易にまとめる
中国(宋)での修業を終え、悟りを開いた道元は、最初の曹洞禅の道場を京都深草の興聖寺に開く。そこで語られた法語を、弟子の孤雲懐奘(こうんえじょう)が聞くに随(したが)って筆録したもので(ゆえに「随聞記」)、仏道修行についての心構えや覚悟が、平易に説かれている。懐奘はのちに道元のあとを受け、曹洞宗の本山・永平寺の二世となった。
[鎌倉時代(1235~38年ごろ成立)][法語集(仏書)]
《校注・訳者/注解》 安良岡康作
(たんにしょう)
作者未詳
浄土真宗の開祖・親鸞の「悪人正機説」の教えを説く
親鸞の死後、親鸞の意図に沿わない信徒たちを見て嘆いた直系の弟子が、親鸞の本意を改めて語ろうとした。〈善人なほもつて、往生を遂ぐ。況んや、悪人をや〉(善人でさえやはり、往生を果すのだ。まして、悪人は言うまでもないことだ)の一文は特に有名。作者は、親鸞に師事した唯円といわれる。しばらく禁書扱いされていたが、今では浄土真宗の重要な聖典のひとつ。
[鎌倉時代(1288年ごろ成立)][法語集(仏書)]
《校注・訳者/注解》 安良岡康作