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炎症や腫瘍(しゅよう)が組織や臓器の内部に広がっていく、あるいは侵入していくことで、本来その組織に存在するはずのない細胞が現れる。炎症などがおきたときは局所性に炎症性細胞が増多し、また腫瘍では局所に腫瘍細胞が増える。結核菌などが侵入した際に、X線所見で肺に陰影として認められる病巣は肺浸潤とよばれる。菌やウイルスなどの病原体に感染して炎症がおこったときは、生体の防御反応として、好中球やリンパ球などの炎症細胞浸潤がおこる。炎症細胞浸潤とは、炎症細胞が病巣へ向かって集中的に移動(遊走)することである。炎症がおきた初期には、炎症部位に好中球(白血球)が遊走して集まり、異物を排除しようと働くが、これを好中球浸潤とよぶ。その後は、体内の免疫機能を担うリンパ球などが入り込み生体を防御するように働くが、これはリンパ球浸潤とよばれる。ほかに貪食(どんしょく)細胞であるマクロファージや形質細胞などが入り込む。また、腫瘍性浸潤あるいは癌(がん)細胞浸潤とは、腫瘍細胞が周囲の組織や臓器に入り込み広がっていくことである。転移性腫瘍において、腫瘍が転移していく初期段階でも浸潤がおきている。
[編集部]