ジャパンナレッジ
元来スコットランド高原地方で、住民が使っていたチェックの紡毛織物。男子はこれを短袴(たんこ)(キルトkilt)や肩掛け(プラッドplaid)に、女子はスカートやドレスに仕立てて着用していた。この地方では各種族がそれぞれ特有のタータンを定め、これで種族・階級を表す紋章や儀式用の飾章としていた。その種類は数百種に及ぶといわれているが、いずれも縦・横の縞(しま)割りが等しい大柄で、華やかな色彩を使用したチェックの織物であった。
タータンについての起源は明らかでないが、1707年、イングランドとスコットランドの連合に不満を抱いたスコットランド低地方の夫人たちが、抗議のためにタータンを着用したというから、18世紀以前より使用されていたことがわかる。20世紀に入り、これが世界各国の服飾デザイナーの関心をひき、婦人服、子供服、あるいは裏地など、幅広い分野に使用されるようになった。
[村元雄]