ジャパンナレッジ
重くかさばる物を計るため、計りてこを組み合わせて、その上に広い載せ台を設けた秤。長い間、秤は皿を吊(つ)った天秤(てんびん)とさお秤だけで、重くかさばるものは計りにくかった。皿を計り皿の上に支える上皿天秤と上皿さお秤は、17世紀に、フランスの数学者ロバーバル(ロべルバルとも。Gilles Personne de Roberval(1602―1675))の開発した補助のさおを使った平行運動機構(ロバーバルの機構)の発見によって実現したが、これらは単一のさお秤で皿の大きさに限界があった。そこで二つのてこをそれぞれフォーク形にして組み合わせ、この上に台を載せる秤が1774年イギリスで発明された。これがいまの台秤の始まりである。これ以後載せ台の大きさにも、重さにも制約はなくなり、数十トンの貨車まで計れるものがつくられるようになった。これらはてこを何段にも組み合わせて品物の荷重を受け、てこ比を利用している。最終的には目盛りざおと、その先端に加除する増しおもりと、目盛りざおに沿って動く送りおもりでつり合わせて質量を読み取り、これが一般に台秤とよばれる。一方この目盛りざおとおもりのかわりに、ばねの弾性とつり合わせるものがある。体重計などに用いられているが、これはばね式指示秤とよばれる。また振り子とカムを使って振り子の回転角とつり合わせるものがある。これは鉄道などに使われており、振り子カム式とよばれる。最近は弾性体の荷重によるひずみを電気抵抗の変化として取り出すものが多くなっており、電気抵抗式という。これらも広い意味における台秤である。
[小泉袈裟勝・今井秀孝]