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江戸末期の喜田川守貞による風俗誌的な随筆。守貞は江戸に14年、大坂に30年間居住し、その間に見聞した京坂、江戸の風俗、民間の雑事を詳細に図説考証して書きまとめた。これは1837~1853年(天保8~嘉永6)にわたるものだが、その後慶応(けいおう)(1865~1868)末年まで追書、訂正が施されている。時勢、家宅、人事、生業、貨幣、男服、女服、織染、妓扮(ぎふん)、娼家(しょうか)、音曲、雑劇、沐浴(もくよく)、遊戯、笠(かさ)、食類、駕車(がしゃ)、雑器などの項分けをした30巻余りのもの。江戸時代、とくに後期の風俗を知るうえで貴重な資料であり、1908年(明治41)に『類聚(るいじゅう)近世風俗志』と題して刊行された。
[山内まみ]