2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の準備・運営にあたる組織。2013年(平成25)9月に夏季オリンピック・パラリンピックの東京開催が決まったことを受け、日本オリンピック委員会(JOC)と東京都を母体に、前身の東京オリンピック・パラリンピック招致委員会を引き継いで2014年1月に発足した。一般財団法人として発足し、2015年1月に公益財団法人となった。略称は大会組織委員会。名誉会長は元日本経団連会長の御手洗冨士夫(みたらいふじお)(1935― )、会長は元首相の森喜朗(よしろう)、最高顧問は首相の安倍晋三(あべしんぞう)、事務総長に元財務次官の武藤敏郎(むとうとしろう)(1943― )がついた。理事、評議員、参与などには作詞家の秋元康(あきもとやすし)(1956― )、オリンピックメダリストで参議院議員の橋本聖子(1964― )、同じくメダリストで初代スポーツ庁長官の鈴木大地(だいち)(1967― )ら著名人が名を連ねている。本部を東京・港区の虎ノ門(とらのもん)ヒルズに置く。事務局員の規模は約400人で、開催時には7000人規模に増える計画である。マーケティング専任代理店は電通。国際オリンピック委員会(IOC)の負担金や企業協賛金を原資とする運営費を投じ、競技大会の準備、企画、広報、運営、監督、競技映像の製作、セキュリティ維持のほか、都心での街づくり推進、日本文化や新テクノロジーの海外への発信、国際交流などにあたる。
大会組織委員会は2014年以降、選手村から半径8キロメートル以内で全体の85%の競技を実施するとしたコンパクト開催計画を修正し、バスケットボール、レスリング、セーリングなどの周辺県での開催を決めた。2015年には、五輪28競技に加え、野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ(スケートボード)、スポーツクライミング、サーフィンの5競技追加を提案し、2016年のIOC総会で認められた。
なお、選定した五輪エンブレムのデザインが海外の劇場のロゴに似ているとの批判を受け、エンブレムの公募と再選考を実施し、2016年に市松模様を基調とするエンブレムに選び直した。また、運営費は当初3000億円程度を見込んでいたが、競技種目の増加、資材費・人件費の高騰などで膨らむ見通しである。
[矢野 武]