日本大百科全書(ニッポニカ)

シャングリラ
しゃんぐりら/香格里拉

中国、雲南(うんなん)省北西部の県級市。人口14万5265(2011)。長江(ちょうこう)(揚子江(ようすこう))水系の金沙江(きんさこう)の支流に沿い、迪慶(デチェン)チベット族(蔵(ツァン)族)自治州の州政府所在地である。市政府の所在地は建塘(けんとう)鎮。清(しん)代に中甸(ちゅうでん)庁が置かれ、1913年に中甸県となった。2001年シャングリラ県と改称。名はJ・ヒルトンの小説『失われた地平線』に描かれたチベット山中の理想郷に由来する。2014年市制施行。
 横断山脈の谷を伝ってチベットに通じる交通路上に位置し、雲南の茶とチベット高原の毛皮との交易地の一つとなっている。付近の特産物として、鹿茸(ろくじょう)、じゃ香、貝母(ばいも)、冬虫夏草といった漢方薬材があり、同地はその集散地でもある。また、獰猛(どうもう)なチベット犬の産地として知られる。市街近郊に迪慶シャングリラ空港がある。
 ソンツェリン寺、虎跳峡(こちょうきょう)などの名勝・旧跡がある。市南部の哈巴雪山(はばせつざん)は、変化に富む地形と多様な気候によって美しい自然景観をなし、一帯を金沙江、瀾滄江(らんそうこう)(メコン川上流)、怒江(どこう)(サルウィン川上流)の三つの川が並行して流れている(三江併流)。2003年、哈巴雪山を含む三江併流地域は、「雲南三江併流の保護地域群」としてユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産の自然遺産に登録された(世界自然遺産)。
[青木千枝子・河野通博・編集部]