日本大百科全書(ニッポニカ)

カフェイン中毒
かふぇいんちゅうどく

コーヒーやココア、紅茶や緑茶などにも含まれるカフェインを、過剰に摂取することで引き起こされる中毒症状。カフェインはコーラや栄養ドリンク、エナジードリンクなどにも含まれ、頭痛薬などとしても処方されている。また、カフェインには中枢神経系を興奮させる働きがあるほか、消化器系や循環器系にも症状を引き起こし、依存性のあることが指摘されている。摂取がやめられない病的なカフェイン依存症が進むと、カフェイン中毒症状を呈するようになるが、2015年(平成27)に日本で初めて、過剰摂取が原因のカフェイン中毒による死亡例が報告され、死亡者の血液中から致死量を超えるカフェインが検出された。
 通常のカップ1杯のコーヒーには60ミリグラム程度のカフェインが含まれるとされる。アメリカ精神医学会の『精神障害の診断と統計の手引き』では、第4版(DSM-)からカフェイン中毒が診断名に加えられた。これによれば、日に250ミリグラムを超えてカフェインを摂取すると、落ち着きがなくなる、焦燥感をおぼえる、感覚過敏になる、興奮する、不眠となる、などの精神症状や、悪心(おしん)・嘔吐(おうと)、胃痛、胸痛、頻脈(不整脈)、呼吸促拍、頻尿などの身体症状がみられ、本人がこうした症状を苦痛と感じ、社会生活に支障をきたしている場合にカフェイン中毒と診断される。また最新版(DSM-5)では、カフェイン摂取を中止した場合に現れる離脱症状を、カフェイン離脱という診断名として採用している。さらに、摂取による副作用があるのにやめられない場合を「カフェイン使用障害」として研究対象にあげている。
 日本中毒情報センターが参考として提示する中毒量では、成人が1グラム以上摂取することで中毒症状がみられるようになり、2グラム以上の摂取で頻脈や心室期外収縮および振戦(ふるえ)などがみられ、5グラム以上の摂取で興奮、頻呼吸、けいれん、心室細動などがみられた例が報告されており、さらに多量に摂取すれば死に至る危険性がある。小児では80~100ミリグラムの摂取で重篤な中毒症状を示すとされ、妊婦の場合も摂取量に注意が必要である。
[編集部]