日本大百科全書(ニッポニカ)

月面基地
げつめんきち
Moon Base 英語

月面での有人恒久的施設。1969年のアメリカによる月面着陸以降、たびたび計画されているが、2007年(平成19)の宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))の「かぐや」による精密な観測以来、資源探査・開発も含めて、アメリカ、インド、中国、ロシアなどが具体的に計画している。月は、人類が到達した唯一の地球外の天体であるが、将来の月以遠の有人探査(火星もしくは木星など)の前進基地とすることも考えられる。その理由は、月の重力が地球の重力の約6分の1であり、地球から探査ロケットを打ち上げるより、月から打ち上げるほうが、大幅にコストを削減できるからである。また、最近の観測から、核融合に使う「ヘリウム3」が豊富に存在することが知られ、月面での核融合発電も考えられている。それとあわせて、つねに晴天である月面での太陽光発電を組み合わせて、一大エネルギー基地をつくり、地球へレーザーで送電するという構想もある。月には大気がないため、天体からの光が途中で吸収・散乱されず、天体観測に非常に適している。また、月では自転の関係で夜が14日ほど続くため、継続した観測も可能である。さらに、月の裏側では、地球からの電波が届かないため、電波観測における精度の向上が期待される。将来的には、月面への観光旅行も考えられる。また、地球の6分の1という低重力を使った各種の実験も期待される。
 最初の月面基地は、地球との交信に有利な極点付近に建設されると考えられる。建設方法としては、日本の清水建設による「六角柱」モジュールの組立てや、竹中工務店による、クレーター横の地下に横穴を掘り、エアバルーンを膨らませてから、内部をコンクリートなどで内装する方式が提案されている。これらの基地は、内部の空気の保持と月表面での宇宙線被曝(ひばく)を避けるため、半地下構造になると思われる。
[山本将史]