日本大百科全書(ニッポニカ)

金毘羅信仰
こんぴらしんこう

金刀比羅宮(ことひらぐう)(香川県琴平(ことひら)町鎮座)を中心とする海上安全の信仰。金毘羅とは、インドのガンジス川にすむ鰐(わに)を神格化した仏教守護神の一つで、その宮はインド象頭山(ぞうずさん)にあった。それが、金刀比羅宮境内にあった松尾寺本尊釈迦如来(しゃかにょらい)の守護神とされていたことにより神仏習合して、金刀比羅宮は象頭山金毘羅大権現(だいごんげん)と称し、海神、水神として、海上安全、海難救助、また雨乞(あまご)い祈願をされるようになった。室町初期以降、瀬戸内の海上交通の発達、また塩飽(しわく)水軍などの活躍とともに、その信仰は広く航海、漁労関係者の間に広がり、江戸時代に入ってからは、廻船(かいせん)の発達で、全国に金毘羅権現が勧請(かんじょう)され、金毘羅講を組織しての金毘羅詣(もう)でが全盛を極めるに至った。琴平山を望む丸亀(まるがめ)、多度津(たどつ)沖を航行の船が賽銭(さいせん)などを樽(たる)に入れて流す「流し樽」を、発見した近隣の船が金刀比羅宮に届ける風は現在も行われている。
[鎌田純一]