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江戸~明治時代に出版された遊廓(ゆうかく)案内書。遊廓内の家並みを図示し、各妓楼(ぎろう)ごとの抱え女の妓名・階級、遊興費用や男女芸者名などを掲載してある。遊廓案内書としては、遊女の容色・技芸・特徴などを品評した遊女評判記が先行したが、そのなかに挿入された地理案内が独立したものである。初めは一枚摺(ずり)であったが、享保(きょうほう)(1716~36)ごろから冊子型となった。江戸・新吉原のものが細見の代表で、享保末年から明治初年までほぼ毎年1回以上刊行され、火事で仮宅(かりたく)営業のときには仮宅細見を出すほどであった。細見とは細部を描いた地図のことで、街道案内で知られる『五海道中細見記』(1858)のように用いる。
[原島陽一]