2006年の国際天文学連合(IAU)総会で定義された太陽系の天体の中の新しい概念。これにより、冥王星(めいおうせい)は惑星ではなくこの準惑星の一員であるとされた。ここで定義された惑星の条件は、(1)太陽の周りを直接回り、(2)自己重力による流体力学的平衡でほぼ球形をなすほどに大きく、(3)自己の軌道領域で重力作用により他の天体を排除するなど主要な天体としてふるまう、の3点を満たすことである。このなかで、(1)と(2)を満たすけれども、(3)を満たすほどには大きくない天体が、準惑星=ドウォーフ・プラネットである。すなわち準惑星とは惑星ではないが、太陽系において惑星に準じる大きな天体と認められたものということができる。
準惑星に属する天体としてはこれまでに、太陽系外縁天体の一つであることが明確になり前記の惑星の定義で惑星から外れた冥王星(直径2370キロメートル)、火星と木星の間を回る小惑星帯で最大の天体であるケレス(直径952キロメートル)、それに太陽系外縁天体のエリス(直径2400キロメートル)、ハウメア(最大径1920キロメートル)、マケマケ(直径1400キロメートル)の計五つが、IAUで認定されている。直径が数百キロメートル程度以下で、自己重力でほぼ球状をなすほどに大きくない他の小惑星やカイパーベルト天体は、彗星(すいせい)や小さな隕石(いんせき)などとともに、「太陽系小天体」というカテゴリーに入れられた。詳しくは、『理科年表』を参照。
なお2006年のIAU総会での決定に伴い、dwarf planetドウォーフ・プラネットに対して仮の訳語として「矮惑星(わいわくせい)」が与えられたが、日本学術会議を中心に新しい惑星の定義に関する対応を検討した結果、2007年(平成19)4月、dwarf planetに対応する日本語名として準惑星の名を推奨することが公式に決定された経緯がある。
[海部宣男]