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中国、清(しん)代につくられた漢字の字書。42巻。康煕帝の勅命により、張玉書、陳廷敬ら30人が5年を費やして1716年に完成した。十二支の順に12集(おのおの上、中、下あり)に分け、4万7035の字数を収める。『説文解字(せつもんかいじ)』(漢、許愼撰(きょしんせん))、『玉篇(ぎょくへん)』(梁(りょう)、顧野王(こやおう)撰)、『唐韻(とういん)』(唐、孫(そんめん)撰)、『広韻(こういん)』(宋(そう)、陳彭年(ちんほうねん)ら奉勅撰)、『集韻』(宋、丁度(ていたく)ら奉勅撰)、『古今韻会挙要』(元、熊忠(ゆうちゅう)撰)、『洪武(こうぶ)正韻』(明(みん)、宋濂(そうれん)ら奉勅撰)など、歴代の代表的な字書を参照し、とくに『字彙(じい)』(明、梅膺祚(ばいようそ)撰)、『正字通』(明、張自烈撰)に基づく部分が多い。楷書(かいしょ)の部首画数順による配列法をとり、字音字義を示し、古典における用例をあげ、この種の字書としてはもっとも完備したものとされる。ただし、熟語は収録していない。道光(在位1821~50)期の重刊版では王引之(おういんし)が2588条の誤りを校訂しており、この校訂部分をまとめたものが『字典考証』である。日本における校訂としては、明治期に渡部温(おん)の『康煕字典考異正誤』がある。多くの刊本があるが、校訂を活用したものは少ない。1958年の中華書局縮印本、1905年(明治38)の吉川弘文館縮印本などが使用に便利である。
[石橋崇雄]