日本大百科全書(ニッポニカ)

肺炎死
はいえんし

肺炎による死亡。成人の肺炎死はこれまで、有効な抗菌薬や抗生物質の開発などによって減少する傾向にあったが、人口動能統計では2011年(平成23)以降、脳血管疾患を抜いて、日本人の死因の第3位となっている。とくに高齢者に多くみられ、2015年の年齢別死因順位では、65歳以上のすべての年齢階級で、肺炎死が第3位または第4位と上位を占めている。また、肺炎以外の疾患で入院治療を受けている高齢者が肺炎を併発して死亡する比率もかなり増えており、インフルエンザを原因とする死亡者のおよそ90%が肺炎死である。
 肺炎の予防には、日常的な手洗いやうがい、歯磨きなどの口腔(こうくう)ケア、マスクの着用、インフルエンザの予防接種などが効果的であるが、高齢者の肺炎を引き起こす原因となる起因菌でもっとも多いのは肺炎球菌である。肺炎球菌は、痰(たん)や咳(せき)などで飛び散った病原体が気道を介して吸いこまれる飛沫(ひまつ)感染によって伝播(でんぱ)する。高齢者の肺炎死が増加している現状をふまえ、国は肺炎球菌ワクチンの接種を勧奨しており、2014年10月から高齢者への定期接種が始まった。
[編集部]