高等学校教育と大学教育を一体としてとらえた教育のあり方。中央教育審議会は2014年(平成26)12月、「新しい時代にふさわしい高大接続の実現のためには、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革が必要である」と答申した。文部科学省は2015年1月に高大接続改革実行プランを公表、同年2月に高大接続システム改革会議を発足させた。文科省によれば、改革の必要性について、明治以来の近代教育が支えてきた社会とは異なり、先を見通すことのむずかしい社会において子供たちひとりひとりを成長させるカリキュラムと、それを評価する選抜制度、多様な能力をはぐくみ、社会へと送り出す大学教育の三つを、一貫したシステムとすることが必要であるとする。
高大接続改革実行プランで、重点の三つの改革ポイントは以下のとおりである。(1)高等学校教育 次期学習指導要領の抜本的な見直し、アクティブ・ラーニングの充実。また、学力の新たな評価の仕組みとして、2019年度から「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の導入を目ざし、高校教育の質の確保とともに、学習評価のあり方や指導要録の改訂を進める。(2)大学入学者選抜 各大学ではディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施の方針)、アドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針)を一体的に策定し、それらの方針に従って、入学者の個別選抜では、多面的な選抜方式を導入する。また、各大学の入学者選抜に資する、知識・技能を基盤として思考力・判断力・表現力を中心に評価する「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を2020年度に導入する。(3)大学教育改革 上記のディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーに沿って、カリキュラム・マネジメントを確立する。受け身の教育から能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換を図る。
今後は、以上の改革ポイントを柱とし、2016年度次期学習指導要領答申および指導要録の改訂を予定している。また、2021年度までに高等学校の新教科書を作成し、2022年度より年次進行によって段階的に改革プランを実施する予定である。
[編集部]