日本の科学技術の振興を促す中枢機関としての役割を担う文部科学省所管の国立研究開発法人(独立行政法人)。英語名はJapan Science and Technology Agency、略称はJST。「国立研究開発法人科学技術振興機構法」(平成14年法律第158号)を根拠法とする。本部の所在地は埼玉県川口市本町。ほかに東京本部(東京都千代田区四番町)とその別館(東京都千代田区五番町)がある。1957年(昭和32)設立の日本科学技術情報センターと1961年設立の新技術事業団(1989年までの名称は新技術開発事業団)が1996年(平成8)10月に統合されて科学技術振興事業団となった。2003年(平成15)10月に独立行政法人化され、さらに2015年4月、国立研究開発法人に移行した。文部科学省による競争的資金配分機関の一つ。
事業の内容には以下のものがある。(1)研究開発戦略の立案。研究開発戦略センター、低炭素社会戦略センターなどが、科学技術の研究開発動向や社会における必要性について調査し、より効果的に研究開発が進むように戦略をたてる。(2)科学技術イノベーション創出の推進。基礎研究から実用化まで一貫して支援し、国際的な課題の解決を目ざして共同研究を進めるとともに、産学連携拠点を活用してイノベーションを進める。このため地域企業が有する技術的課題等の開発ニーズを把握するとともに、大学等の研究成果(知的財産)の権利化支援、企業へのライセンス、産学マッチング機会の提供などを行う。(3)科学技術基盤の形成。科学技術の研究に必要な情報インフラを整備する。そのため、文献情報や研究情報などのデータベースを構築し、研究成果発表や求人・求職のウェブサイトの公開などを行う。これらと併行して国民の科学技術への理解と関心を育み、また若手技術者や学生ばかりでなく、児童・生徒を対象に人材育成事業を行う。さらに最先端の科学技術の受発信拠点として日本科学未来館(東京都江東区青海(あおみ))を運営している。
[編集部]