日本大百科全書(ニッポニカ)

H-IIBロケット
えいちつーびーろけっと

H-IIAロケットの打上げ能力を上回る重い大型のペイロード(搭載物)を打ち上げるために、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が共同で開発した2段式の大型打上げロケット。
 静止遷移軌道に8トン、低軌道に20トンの打上げ能力があり、とくに重要な役割は、国際宇宙ステーションへ、日本の分担分として年間6トン程度の物資を補給するための宇宙ステーション補給機「こうのとり」を打ち上げることである。
 H-IIAに比べて第1段の機体・タンクを大型化して搭載推進剤を1.8倍(101トンから178トン)に増し、主エンジンを2基装備する。この第1段に、H-IIA204型と同様に固体ロケットブースター(SRB-A)を4本装着。機体直径は、第1段5.2メートル、第2段4メートル、最先端部の保護カバーであるフェアリング5.1メートル、全長は57メートル、発射時質量は約530トンである。
 第1段を大型化したこと、および、打上げ能力の向上に伴ってフェアリングを大型化したこと以外は、H-IIAと同じ機器を使用している。同じ技術・機器を使用していることから、H-IIA・H-IIBは同じロケットファミリーである。このファミリーで、現在世界で行われているおもな打上げ需要のうち、有人宇宙船の打上げを除く大部分に対応可能である。射場・射点は種子島(たねがしま)宇宙センター大型ロケット発射場第2射点を使用。
 2005年(平成17)に開発に着手した。従来の打上げロケット開発は、宇宙開発事業団(NASDA)、2003年からは宇宙航空研究開発機構が主導し、全責任を負った。しかし、H-IIB開発は、H-IIAの技術・機器を使用するためリスクがそれほど高くないことから「民間でできることは民間で」という政府の方針に沿って、民間(三菱重工業がプライムコントラクター)の主体性・責任を重視した共同事業で実施された。2009年9月、1号機の打上げに成功。2016年末時点で計6機発射され、すべて成功した。
 なお、H-IIAは、後継機H3ロケットの開発が完了するまで使用される計画である。
[渡辺篤太郎]

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