ゲーム世界のクリエイトに便利。ジャパンナレッジがあれば架空世界の名付け親になれる
木村航/茗荷屋甚六(作家・ゲームライター)
作家の木村航と申します。主にライトノベルを書いておりますが、一般向けの著書に『愛とカルシウム』(双葉社)等「しおかぜ荘シリーズ」があります。岩手の片隅にある障害者の介護施設を舞台とする青春物ですが、執筆中に震災に遭遇したことから予想外の展開となりました。

また、茗荷屋甚六の名でゲームライターとしても25年のキャリアがあり、現在も月に3本のシリーズを書いております。自己紹介アイコンは、ゲーム仕事で長年のおつきあいをいただいているマンガ家・イラストレーターのかねこしんや先生によるオリジナルキャラです。

もともと私はゲーム畑出身です。ゲームのシナリオ・ライティングや設定作成と聞くと、空想や思いつきでなんでも作り上げるように思われることもあるのですが、実は徹底的な資料調査こそが日常で欠かせない業務となります。我々はゲームの舞台となる世界を丸ごと造り上げるのが仕事です。ですので、製作課程において調べなければいけない事項は、歴史、文化、芸術、固有名詞など非常に多岐に渡ります。よって『日本国語大辞典』(小学館)を始めとして、『日本大百科全書』や『日本人名大事典』、『日本架空伝承人名事典』他、数々の外国語辞典など、膨大な辞書群を手軽に検索できる「ジャパンナレッジ」は、欠かすことのできない情報検索ツールとなっています。

あるゲームで、さまざまなキャラクターを数多く登場させなければならないことがありました。そうしますと、キャラクターの名前に始まり、プロフィールやセリフ、および固有の技能や武器、道具といったものを全て設定することになります。そして、そのいずれもそのキャラらしい雰囲気の名称で統一するよう求められます。

平安期の伝説に登場する女性をモデルにしたキャラクターを設定したときなどは、まずその女性の人名をキーワードで検索。『日本架空伝承人名事典』、『日本国語大辞典』、『日本人名大事典』にて基本概要を押さえた上で、その女性の夫や子息、さらに子息のライバルとなる人物など関連深い事項も確認し、参考にしました。

別の例で、陽気で大胆な性格の女神を設定したときのことです。雰囲気としてイタリア語もしくはラテン系諸語での命名を考えましたので、「晴天」「暑さ」「陽気」といったキーワードで「ジャパンナレッジ」に多数ある外国語辞典群を検索。ネーミングのヒントを探しました。女神のため、男性形の語を避けるため、語義および語感に留意しつつ意訳を行いました。

また、高名な外国の推理小説家をモチーフとした人物のときには、『世界大百科事典』、『日本大百科全書』の他、『世界文学大事典』も大変参考になりました。その上で、ミステリマニアの個人サイトやミステリの版元(東京創元社など)による著作リストおよび原題一覧なども参考にしました。

こういった事例はほんの一端ですが、これだけでも「ジャパンナレッジ」のその便利さは、あらゆるジャンルの雑学と、同時にそれらの出典を正確に知ることが求められるゲーム製作の現場にとって得難いものだということがおわかりになるかと思います。

そもそも以前はCD-ROM版の「平凡社世界大百科事典」は愛用しておりましたが、OSの進化に伴って使いにくくなり、PC上で動作する新たな辞書を探しておりました。他社製品も使ってみましたが間違いが多く、「ジャパンナレッジ」を知るまではずいぶん苦労させられました。 2016年には待望の『世界大百科事典』も利用できるようになり、もはや手放すことはできません。 今後も「ジャパンナレッジ」を大いに利用し、素晴らしいエンターテインメントをみなさんにお届けしたいと思っております。
木村航/茗荷屋甚六(作家・ゲームライター)
作家。蓬莱学園一九九〇年度卒業生。新城カズマ物語教室聴講生。日本YA作家クラブ会員。茗荷屋甚六の筆名でゲームテキストも書く。著作に『ぺとぺとさん』(ファミ通文庫)、『ぴよぴよキングダム』(MF文庫J)、『ミラクルチロル44キロ』(メガミ文庫)、『愛とカルシウム』(双葉社)他しおかぜ荘シリーズ、『世界征服 白いケイトと真夏のベルビアージェ』(TYPE-MOON)、『パラプラ学園』(スニーカー文庫)など。ゲームの著作に『PSYCHO-PASS サイコパス 選択なき幸福』(5pb)、『Forest』(ライアーソフト)など。雑誌「障害学研究」(明石書店)にてエッセイ選者も務める。
ジャパンナレッジは約1500冊以上(総額550万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のオンライン辞書・事典サービス。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。
利用料金・収録辞事典・会員登録はこちら