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隠者文学

ジャパンナレッジで閲覧できる『隠者文学』の日本大百科全書(ニッポニカ)のサンプルページ

隠者文学
いんじゃぶんがく

隠者が、その精神と生活を記した作品の総称。おもに鎌倉・室町時代に成立したものをさす。中世文学を特徴づけた作品群とされ、文学史における中古からの転換を「女房文学から隠者文学へ」と総括するとらえ方が有力である。隠者は、隠遁者(いんとんじゃ)、遁世者、世捨て人、その他さまざまによばれるが、要するに、貴族や武家による体制を離脱して閑居し、僧衣に身を包んだ者のことである。多くは山里の草庵(そうあん)に住むが、市中にいた者もおり、身分や生活形態の点で俗世間との関係を保っている者で隠者文学の作者に数えられる例も少なくない。彼らは仏教ことに浄土思想の影響を受けており、その作品には無常観(感)に根ざす現世否定の念や自己凝視の情が鋭い批評性を形成している。求道の生活に徹して文学を捨てるに至らなかった人々の所産として、自然美に包まれた風雅な境涯への賛美や都への郷愁の念が見え隠れし、その叙情的一面が独特な魅力となっている。
代表的な作品に、西行(さいぎょう)ら草庵歌人の和歌、鴨長明(かものちょうめい)の『方丈記(ほうじょうき)』、兼好(けんこう)の『徒然草(つれづれぐさ)』、連歌師たちのある種の連歌、随筆、評論があり、『発心集(ほっしんしゅう)』『撰集抄(せんじゅうしょう)』などの仏教説話集、『海道記』『東関紀行』などの紀行も含まれる。中古文学にも慶滋保胤(よししげのやすたね)の『池亭記(ちていき)』など源流的なものがある反面、近世文学にも、芭蕉(ばしょう)の作品をはじめとしてこの系譜を継ぐものが少なからずあるが、武士、町人らによる文学が主流を占めるにつれて、文学史のなかから影を薄くしていった。
[三木紀人]

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検索コンテンツ
1. 隠者文学
日本大百科全書
たものをさす。中世文学を特徴づけた作品群とされ、文学史における中古からの転換を「女房文学から隠者文学へ」と総括するとらえ方が有力である。隠者は、隠遁者(いんとん ...
2. いんじゃ‐ぶんがく【隠者文学】
デジタル大辞泉
中世における隠者や僧侶による和歌・日記・随筆などの自照的な文学。西行・鴨長明・兼好らが代表的作家。中古の能因、近世の芭蕉などを含めていうこともある。  ...
3. いんじゃ‐ぶんがく【隠者文学】
日本国語大辞典
〔名〕(主要な担い手の階層を冠して、その時代の文学の特色を示す日本文学史の用語の一つ)隠者たちによってつくられた文学。女房文学(中古文学)、町人文学(近世文学) ...
4. ウォールトン(Izaak Walton)
世界大百科事典
一種の逆説的な参加(アンガージュマン)になっていると読むこともできる。帝政ローマ期以後の西欧隠者文学の伝統を引きつつ,イギリス随筆文学に独歩の地位を占めていると ...
5. うら‐げい【裏芸】
日本国語大辞典
、取付けの角力(すもう)の裏芸と、つんでべいかやい」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・四「連歌・俳諧は、表向きは隠者たちの裏芸であったが」ウラ ...
6. えん【艷】
日本国語大辞典
その内容の美的面への傾斜が増したために、もとのエニ(不得)の意が忘れられて使われた〔女房文学から隠者文学へ=折口信夫〕。 ...
7. おもて‐げい【表芸】
日本国語大辞典
〔1863〕序幕「武士たる者の剣道はこりゃ表芸だぞ」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・四「連歌、俳諧は、表向きは隠者たちの裏芸であったが、実質的 ...
8. 鴨長明
日本大百科全書
流麗な和漢混交文で描いたもので、後の兼好の『徒然草(つれづれぐさ)』(1331ころ成立)と並ぶ、隠者文学の双璧(そうへき)をなす。歌論書『無名抄』(1211以後 ...
9. くす・む
日本国語大辞典
「さて風采のくすむだ学士が、態度も顔もくすむだ方で」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・四「われわれはくすんだ貧寒たる中世文学の世界へ、歩みを運ぶ ...
10. げんだい‐せい【現代性】
日本国語大辞典
〔名〕現代としての特徴や性質。*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・五「自分たちの拠って立つ現代性への意識が稀薄であった点で」ゲンダイセ ...
11. こうそう‐りょく[コウサウ:]【構想力】
日本国語大辞典
〔名〕(1)構想する能力。特に、芸術作品を組み立て、まとめあげる能力。*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・四「構想力を必要とする長篇文学を生ませな ...
12. こう‐ひ[クヮウ:]【光被】
日本国語大辞典
一日も早く光被せんことを論ぜられたり」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉談笑の世界・六「西鶴という隠者文学者の影が光被していることは確かで」*日本の思想〔 ...
13. 国文学全史 2 平安朝篇 208ページ
東洋文庫
文筆部』本以外にない。こ の詩集で活躍する特異な作家に蓮禅がある。この人は『三外往生伝』の著者でもあり、中世の隠者文学との関 係からも注目されている。平泉澄「厭 ...
14. 西行
世界大百科事典
占めているといってよい。また王朝の優雅艶麗な美から転じて,精神的なものを求めるようになった中世の隠者文学の確立を告げる歌人として,文学史上,古代と中世を画する人 ...
15. さいぎょう【西行】
日本架空伝承人名事典
占めているといってよい。また王朝の優雅艶麗な美から転じて、精神的なものを求めるようになった中世の隠者文学の確立を告げる歌人として、文学史上、古代と中世を画する人 ...
16. し‐いん【詩因】
日本国語大辞典
〔名〕詩作の拠り所となるもの。詩を生み出す動機となる根本の考え。*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・四「能因の歌は、二度西行の詩因に働きかけている ...
17. し‐さく【詩作】
日本国語大辞典
〜79〕〈織田純一郎訳〉五「日に読書詩作を友として」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・四「禅院の哲学的雰囲気のなかで詩作した五山詩僧たちにおいて ...
18. しゃせい‐か【写生歌】
日本国語大辞典
〔名〕実際の風景や事物を見たままに写し取った短歌。*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・一「これは近代の写生歌ではないし」シャセ ...
19. し‐ろん【史論】
日本国語大辞典
透谷〉「『史論』と名くる鉄槌を揮ふことになりたるも」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・五「慈円は『愚管抄』の史論を書いたが」*文中子‐王道「吾欲 ...
20. 十訓抄 381ページ
日本古典文学全集
。京都市左京区大原。古くから隠遁者の居所として有名。長明作の随筆。建暦二年(一二一二)成立。隠者文学の代表的作品。正式な文学とされた真名(漢字)に対して、私的な ...
21. せい‐かく【正格】
日本国語大辞典
〉後・序「時文を難するに漢文和文の正格を以てするは」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・五「もっと正格の文学としての新詩型が生まれたかも知れぬと」 ...
22. て‐ずれ【手擦】
日本国語大辞典
物がある。手摺(テズ)れ、指の垢、で黒くなってゐる」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・二「詩語が〈略〉時代時代に愛玩された手擦れの跡を濃厚に残し ...
23. てん‐かい[:クヮイ]【転回】
日本国語大辞典
示してからは、その顔の色は刹那に蒼ざめて」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・四「それは女房文学から隠者文学への転回を意味し」(3)器械体操の一つ ...
24. てんかい‐てん[テンクヮイ:]【転回点】
日本国語大辞典
〔名〕物事が方向を転じる地点。大きく向きを変える場所。*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・四「日本文学の最大転回点は、連歌・俳諧の発想の成立に在る ...
25. ひん‐かん【貧寒】
日本国語大辞典
ひ、貧寒(ヒンカン)な財布を振って其歓心を求めたが」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・四「われわれはくすんだ貧寒たる中世文学の世界へ、歩みを運ぶ ...
26. 方丈記
日本大百科全書
後の中世文学に大きな影響を与えており、『徒然草(つれづれぐさ)』(1331ころ成立か)と並んで、中世の隠者文学の代表である。大福光寺本は鴨長明の自筆かといわれる ...
27. ほり‐あ・てる【掘当】
日本国語大辞典
のにも運悪く掘(ホ)り当(アテ)る事が出来なかった」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・五「信仰体験が始めてみずからの国語表現を掘り当て」 ...
28. みちびき‐い・れる【導入】
日本国語大辞典
ひは、え聞きつけ給はじと思ひて、やをらみちびきいる」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・四「文学のなかに導き入れた代表者として」 ...
29. 無常
世界大百科事典
ことに中世の文学は無常観の文学ともいえるもので,《方丈記》《平家物語》《一言芳談》などのほか,多くの唱導文学や隠者文学が,無常観をテーマとしている。日常用語でも ...
30. ゆう‐び[イウ:]【幽微】
日本国語大辞典
〈略〉立昇る烟の色は淡き藍色を成し、そのさま清明にして而も幽微に」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・一「つまり嗅覚と聴覚とのかもし出すある幽微な ...
31. よう‐いん[エウ:]【要因】
日本国語大辞典
要因トハ事ト物トニ関セズ総テ動作ヲ発生スルノ原因ナリ」*古典と現代文学〔1955〕〈山本健吉〉隠者文学・二「その外に、もっと現世的な要因も加わっていたのだ」*男 ...
「隠者文学」の情報だけではなく、「隠者文学」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
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徒然草(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
鎌倉時代末期から南北朝時代の初めにかけて成立した随筆集。兼好(俗名卜部兼好)著。上下二巻。北村季吟の『徒然草文段抄』以後、序段以下二百四十三段に章段を分けて記すようになった。書名は、「つれづれ」、すなわち、することもない生活の退屈さ・寂しさを紛らわし
吉田兼好(国史大辞典)
生没年不詳。鎌倉時代後期から南北朝時代にかけての歌人・随筆家・遁世者。本名、卜部兼好。『尊卑分脈』によれば、卜部家は天児屋根命の子孫で、神祇官として代々朝廷に仕えたが、平安時代中期の兼延の時に、一条院から御名の懐仁の「懐」と通ずる「兼」の字を賜わってからは、それを系字として代々名乗るようになった。
隠者文学(日本大百科全書(ニッポニカ))
隠者が、その精神と生活を記した作品の総称。おもに鎌倉・室町時代に成立したものをさす。中世文学を特徴づけた作品群とされ、文学史における中古からの転換を「女房文学から隠者文学へ」と総括するとらえ方が有力である。隠者は、隠遁者、遁世者、世捨て人、その他さまざまによばれるが、要するに
随筆(日本大百科全書・世界大百科事典)
随筆と称せられる著作は室町時代の一条兼良『東斎随筆』が最初であるが、これは先行の諸書から事実談や伝説を引用し分類したもので、一般にいわれる随筆とは異趣である。随筆とは、形式の制約もなく内容も自然・人事・歴史・社会に関する見聞・批評・思索あるいは研究考証など、多岐にわたって筆の赴くままに書き記した


「隠者文学」は徒然草に関連のある記事です。
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