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  11. 山東京伝
改訂新版・世界大百科事典
山東京伝
さんとうきょうでん
1761-1816(宝暦11-文化13)

江戸時代後期の戯作者,浮世絵師。本名は岩瀬醒(さむる)。俗称は京屋伝蔵。別号は醒斎(せいさい),醒世老人,菊亭主人,菊軒など。父は伊勢国の出身で江戸深川に質屋を営み,京伝はその長子で弟に山東京山がいる。のちに銀座に転居。

 若くして北尾重政に浮世絵を学び,北尾政演(まさのぶ)の名で,1778年(安永7)黄表紙《開帳利益札遊合(かいちようりやくのめくりあい)》の画工として出発,80年ごろから山東京伝の名で作者を兼ね,82年(天明2)《御存商売物(ごぞんじのしようばいもの)》が大田南畝に認められて出世作となり,画師として狂歌絵本にも活躍した。85年《江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)》が大評判をとるにおよんで,恋川春町,朋誠堂喜三二のあとをうけて,黄表紙の中心作者となった。寛政改革に取材した89年(寛政1)の《孔子縞于時藍染(こうしじまときにあいぞめ)》や心学流行をとり入れた《心学早染草(はやそめぐさ)》(1790)などが代表作となる。1785年《息子部屋》を初作として,洒落本に進出,吉原の遊里生活体験による豊かな知識,人間性に富んだ温かくして鋭い観察,画家として鍛えられた精緻な写実手法等によって,量質ともに洒落本の第一人者となった。《客衆肝照子(きやくしゆきもかがみ)》(1786),《通言総籬(つうげんそうまがき)》《古契三娼(こけいのさんしよう)》(以上1787),《繁千話(しげしげちわ)》《傾城(けいせい)買四十八手》(以上1790)などがとくにすぐれている。

 91年(寛政3),寛政改革の出版取締令を犯して出版された《錦之裏》《娼妓絹籭(しようぎきぬぶるい)》《仕懸(しかけ)文庫》によって,手鎖(てじよう)50日の刑に処せられ,正直で小心な性格から,以後洒落本の作を断ち,謹慎を旨とし,あらためて銀座に,きせる・たばこ入れの店を開いて商売に努めた。

 しかし町人作者を主勢力とする改革後の戯作界の主導者たる地位は動かず,黄表紙も多く書いたが,教訓的で理屈ばった内容のものが多く,やがて時の流行にも順応して,1804年(文化1)ごろからは仇討物なども書き出し,合巻の作者として活躍することになった。

 いっぽう1799年(寛政11)には《忠臣水滸伝》によって,中国文学と日本演劇とをとり合わせるという江戸読本の新しいいきかたを示し,以後《安積沼(あさかのぬま)》(1803),《桜姫全伝曙草紙》(1805),《昔話(むかしがたり)稲妻表紙》(1806)など,古伝説や歌舞伎浄瑠璃などではなやかに彩られた読本も書いたが,勧懲思想も徹底せず,緊密な長編構成の用意にも欠けるところがあって,結局《双蝶記》(1813)を最後に,読本における曲亭馬琴との抗争にも敗れ去った。ただ寛政末ごろから実学に志して,近世初期の文化・風俗・人物等に関する考証随筆に自己の本領を見いだし,《近世奇跡考》(1804)をまず世に問い,さらに《骨董集(こつとうしゆう)》(1814-15)の完成に全力を傾注したが未完に終わった。浮世絵も政演としての豊麗な美人画や芝居絵から,晩年には京伝の本名による枯淡な肉筆風俗図のようなものが多くなっている。1816年9月56歳で没した。2度迎えた妻はいずれも吉原の遊女上りの女で子はなく,弟の山東京山がその子に京伝見世をつがせた。
→洒落本
[水野 稔]

[索引語]
北尾政演 御存商売物(ごぞんじのしようばいもの) 孔子縞于時藍染(こうしじまときにあいぞめ) 江戸読本 近世奇跡考
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黄表紙(日本国語大辞典)
黄色の表紙。草双紙(くさぞうし)の一つ。江戸後期、安永四年(一七七五)から文化三年(一八〇六)頃にかけて多く刊行され、黄色の表紙で、内容はしゃれ、滑稽、風刺をおりまぜた大人むきの絵入り小説
草双紙(日本大百科全書(ニッポニカ))
江戸時代の小説の一ジャンル。江戸特有の挿絵入り仮名書き小説で、寛文末年(17世紀後半)ごろに刊行され始めた幼童向けの絵本である赤本を初めとして、黒本、青本、黄表紙、合巻という順序で展開し、明治10年代(1877~86)まで出版され続けた絵双紙の総称。江戸時代のもっとも通俗的な小説の一つで
朋誠堂喜三二(改訂新版・世界大百科事典)
江戸後期の戯作者。本名は平沢常富,通称は平格(角),俳号は月成,狂名は手柄岡持。江戸に生まれ,14歳のとき秋田藩士平沢氏の養子となる。1781年(天明1)から秋田藩の御留守居役を務めるかたわら,戯作にも手を染めており,親友の恋川春町とともに,安永・天明期(1772-89)の黄表紙界を代表する作家となる。
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江戸時代後期の戯作者,浮世絵師。本名は岩瀬醒。俗称は京屋伝蔵。別号は醒斎,醒世老人,菊亭主人,菊軒など。父は伊勢国の出身で江戸深川に質屋を営み,京伝はその長子で弟に山東京山がいる。のちに銀座に転居。若くして北尾重政に浮世絵を学び,北尾政演の名で,1778年(安永7)黄表紙《開帳利益札遊合》の画工として出発
親敵討腹鞁(改訂新版・世界大百科事典)
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全文全訳古語辞典
[人名]江戸後期の戯作者。北尾重政に学び浮世絵師となり、後に黄表紙・洒落本の第一人者となるが、寛政の改革の出版取締令で処罰されて以後は読本に力を注ぐ。代表作は、 ...
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7)黄表紙《開帳利益札遊合(かいちようりやくのめくりあい)》の画工として出発,80年ごろから山東京伝の名で作者を兼ね,82年(天明2)《御存商売物(ごぞんじのし ...
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[1761〜1816]江戸後期の戯作者・浮世絵師。江戸の人。本名、岩瀬醒(いわせさむる)。通称、京屋伝蔵。浮世絵を北尾重政に学び、北尾政演(まさのぶ)と名乗る。 ...
5. さんとう‐きょうでん【山東京伝】
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江戸後期の戯作者。本名岩瀬醒(さむる)、通称伝蔵。山東京山の兄。北尾重政に浮世絵を学び北尾政演(まさのぶ)としても活躍。また、黄表紙、洒落本に筆をとり、その第一 ...
6. さんとうきょうでん【山東京伝】画像
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7. 山東京傳(さんとうきょうでん)
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1761−1816 江戸時代中期-後期の戯作(げさく)者,浮世絵師。宝暦11年8月15日生まれ。山東京山,黒鳶(くろとび)式部の兄。浮世絵を北尾重政(しげまさ) ...
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1791年〈寛政3 辛亥〉 3・‐ 幕府、 山東京伝 の『仕懸文庫』等を絶版にし、手鎖に処す(山東京伝一代記)。 1816年〈文化13 丙子⑧〉 9・7 没。 ...
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12. 黄表紙
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日本国語大辞典
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世界大百科事典
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)》(1795)がその端緒となった。やがて新しく台頭した読本と提携し,式亭三馬,十返舎一九,山東京伝らが仇討物を手がけるにいたり,文化初年以降その全盛期を迎えた ...
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00種が収集されている。古い文献としては西鶴《諸艶大鑑》(1684)にあやとりの記述があり,山東京伝《小紋雅話》(1790)には上記〈猫の揺りかご〉と類似したあ ...
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33. 生きてゐる小平次
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36. いしづか-ほうかいし【石塚豊芥子】
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1799−1862* 江戸時代後期の考証家。寛政11年生まれ。江戸の辛子(からし)粉屋。山東京伝,柳亭種彦らとまじわり,近世の文芸書や演劇・遊里関係書などの膨大 ...
37. いなずまびょうし【稲妻表紙】
デジタル大辞泉
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38. いなずまびょうし[いなづまベウシ]【稲妻表紙】
日本国語大辞典
江戸後期の読本。五巻六冊。山東京伝作。歌川豊国画。文化三年(一八〇六)江戸、西村宗七等刊。素材は近松門左衛門の「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」や「信州川中 ...
39. いなずまびょうし【稲妻表紙】
国史大辞典
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1806年〈文化3 丙寅〉 この年 山東京伝 『稲妻表紙』 刊。  ...
41. イラストレーション
世界大百科事典
半紙半裁二つ折りの各ページごとに挿絵が入り,絵と文が有機的に連係していた。合巻ものになると,山東京伝の案出といわれるが,巻中の主要人物を掲げた錦絵の摺り付け表紙 ...
42. いろいりおとぎぞうし[いろいりおとぎザウシ]【彩入御伽草】
日本国語大辞典
歌舞伎。時代世話物。九幕一三場。勝俵蔵(四世鶴屋南北)作。文化五年(一八〇八)江戸市村座初演。山東京伝作の読本「復讐奇談安積沼(あさかぬま)」を種本に、「播州皿 ...
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三番目に《お妻八郎兵衛》を付けたして上演、小幡小平次を演じた松助が好評であった。小平次の趣向は、文化四年刊の山東京伝の合巻《安積沼(あさかぬま)後日仇討》に想を ...
44. いわせ‐きょうでん【岩瀬京伝】
デジタル大辞泉
山東京伝(さんとうきょうでん)  ...
45. いわせ‐きょうでん【岩瀬京伝】
日本国語大辞典
〓さんとうきょうでん(山東京伝) ...
46. いわでものき[いはでものき]【伊波伝毛乃記】
日本国語大辞典
江戸後期の評伝。一巻一冊。无名子(曲亭馬琴)著。文政二年(一八一九)刊。山東京伝について、その出生、行状、結婚、生活、死から、著者との関係までを詳細に述べたもの ...
47. 上田秋成
世界大百科事典
の自己破滅型文人の典型であり,その生き方と,豊饒な幻想を織りあげた作品は,江戸後期の戯作者,山東京伝,曲亭馬琴らにも深い感銘を与えている。高田 衛 嶋屋仙次郎  ...
48. 浮世絵類考
世界大百科事典
1790年(寛政2)ころ大田南畝が原撰し,1800年笹屋邦教が〈始系〉を付記,さらに02年(享和2)山東京伝が〈追考〉を加え,文政年間(1818-30)式亭三馬 ...
49. うきよえるいこう[うきよヱルイカウ]【浮世絵類考】
日本国語大辞典
大田南畝ほか著。享和二年(一八〇二)成立。南畝が自己の浮世絵師伝考証に、笹屋邦教の師承系譜を付し、これに山東京伝が追考を付加した書。以後転写の間に、式亭三馬・斎 ...
50. うきよえるいこう【浮世絵類考】
国史大辞典
笹屋邦教が同十二年(一八〇〇)に「古今大和絵浮世絵之始系」を付け、さらに享和二年(一八〇二)に山東京伝が追考を加えて『浮世絵類考』の底本ができたと考えられている ...
「山東京伝」の情報だけではなく、「山東京伝」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
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