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日本大百科全書(ニッポニカ)
御嶽山
おんたけさん

長野・岐阜県境にそびえる複式の成層火山。木曽(きそ)御嶽ともいう。中央火口丘の剣ヶ峰(けんがみね)が最高峰で標高3067メートル。外輪山(摩利支天(まりしてん)山、継母(ままはは)岳)、寄生火山(継子岳、三笠(みかさ)山)、噴火口跡(一ノ池~五ノ池)などが南北に連なり、これらを総称して御嶽山とよぶ。頂上周辺の一ノ池から五ノ池のうち、二ノ池と三ノ池はつねに水をたたえているが、一の池は涸(か)れていることが多い(北東側の火口壁が欠けて水は二の池へ流出している)。二ノ池は日本最高位にある湖沼で(2908メートル)、三ノ池は高山湖としては日本で第3位の深さである(13.3メートル)。六合目あたりまでは雑木やカラマツが多いが、2100メートルあたりから天然のヒノキ、コメツガ、カラマツの美林になり、八合目にはお花畑がある。雄大な裾野(すその)はスキー場、キャンプ場、別荘地などに開発されているが、開田(かいだ)高原や寒原(さむはら)高原、御嶽高原などが中心で、御嶽高原から北西の山寄りには田ノ原天然公園(2190メートル)もあって高山植物が多く、遊歩道もある。黒沢付近のブッポウソウ繁殖地は国指定天然記念物。
 また、山体は御嶽教の霊地として古くから信仰の対象になっている。江戸中期までは尾張(おわり)藩が森林保護を名目に一般人の登山を禁止していたが、天明(てんめい)・寛政(かんせい)年間(1781~1801)ごろ初めて一般人の登山が認められ、中部、関西、関東方面から信者のグループである御嶽講の登山が盛んになった。登山道沿いに七合目あたりまで講ごとに霊場(墓地)を設け、そこへ各人が死後霊が納まる場所として霊神碑を建立している。その数はおよそ2万基といわれ現在も建てられている。登山道は王滝口、黒沢口、開田口、岐阜県の濁河(にごりご)温泉口などがあり、長野県側はJR中央本線木曽福島駅からバスを利用する。なお、信者が口々に「六根清浄(ろっこんしょうじょう)お山は晴天、懺悔(さんげ)懺悔守らせたまえ」と唱えるのは、心身を清め、その功徳によって無事に登山できるように祈るもの。
[小林寛義]

火山活動

東日本火山帯に属する活火山で、玄武岩~流紋岩からなる。中央火口丘の剣ヶ峰は安山岩。まず更新世(洪積世)中期に成層火山ができ、約10万年休眠後、いまから約8万年前に大噴火してカルデラを生じ、以後、更新世末ないし現世初頭まで噴火活動を反復し、その末期に「五峰五湖」と称される一連の火口(湖)を生成した。当時死火山と思われていたが、1979年(昭和54)に突然小規模な水蒸気噴火が発生した。この噴火は「死火山」という用語を廃止するきっかけとなった。その後の地質調査で、最近7500年間(有史を除く)に少なくとも15回もの噴火があることが明らかになった。
 1991年(平成3)、2007年(平成19)にも小規模な噴気活動が発生し、2008年には、気象庁により噴火警戒レベルが導入され、レベル1「平常」に指定された。また2009年には、火山噴火予知連絡会により「火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある47火山」の一つとして選定され、常時観測火山として活動状況が24時間体制で監視されることとなった。2014年9月中旬、火山性地震が一時的に増加したが、その後減少。地殻変動を伴わなかったため、警戒レベルは引き上げられなかった。しかし、9月27日11時52分に水蒸気噴火が発生。9月27日12時36分噴火警戒レベルが3(入山規制)に引き上げられた。噴火の規模としては1979年の噴火と同様に小規模であったが、山頂付近では大きな噴石が飛散し、多数の登山者が巻き込まれた。噴火に伴い、低温の火砕流も発生し、噴煙は一時7000メートルの高さに達した。死者数56名、行方不明者数7名(2014年10月16日時点)。
[諏訪 彰] [中田節也]


御嶽山[百科マルチメディア]
御嶽山[百科マルチメディア]
「木曽御嶽(きそおんたけ)」ともよばれる成層火山。標高3067m。木曽谷のシンボルとして、また古くから霊峰として知られ、いまなお人々の信仰が厚い。写真は開田(かいだ)高原からの眺望。長野県木曽郡木曽町・王滝村/岐阜県下呂(げろ)市 (C)信州・長野県観光協会
※2014年の噴火以前の写真
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