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  11. 日本往生極楽記
日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典・国史大辞典

日本大百科全書
日本往生極楽記
にほんおうじょうごくらくき

平安中期の往生伝。一巻。慶滋保胤(よししげのやすたね)著。初稿本の成立は983年(永観1)~986年(寛和2)。のちに兼明(かねあきら)親王に加筆を委嘱したが、987年(永延1)親王が薨(こう)じたため、著者がふたたび筆をとり完成させた。日本における最初の往生伝で、聖徳太子、行基(ぎょうき)、円仁(えんにん)以下45名の往生者(阿弥陀(あみだ)仏の浄土に往生した人)の略伝を記したもの。本書の浄土思想は、法華(ほっけ)・念仏一体の信仰が基調をなしており、来迎(らいごう)思想も顕著にうかがわれる。当時の天台浄土教の諸行(しょぎょう)往生思想を反映したものとみられよう。以後の往生伝に大きな影響を与えた。別名『日本往生伝』『慶氏(けいし)日本往生伝』。
[多田一臣]


改訂新版・世界大百科事典
日本往生極楽記
にほんおうじょうごくらくき

慶滋保胤(よししげのやすたね)選。寛和年間(985-987)の成立。唐の《浄土論》《瑞応伝》にならって日本の往生者の伝を集め,42項目45人を僧尼・俗人男女の順に漢文体で記す。国史別伝・故老口伝を素材とするが,著者の伝聞とみられる同時代の往生者の記載が多い。以後に編纂(へんさん)された往生伝の範となり,《法華験記》や《今昔物語集》巻十五に再録されるなど,後世に及ぼした影響は大きい。
→往生伝
[西口 順子]

[索引語]
慶滋保胤

国史大辞典
日本往生極楽記
にほんおうじょうごくらくき
平安時代中期に編纂された異相往生者の伝記。慶滋(よししげ)保胤撰。一巻。『日本往生伝』ともいう。永観元年(九八三)没した千観の伝が記されていることから、本書は永観元年から保胤の出家した寛和二年(九八六)の間に一応成立していたものとみられ、出家後、さらに聖徳太子・行基および往生人五、六人の伝が加筆され、永延年間(九八七―八九)以降まもないころに現存の形になったと考えられる。本書は唐の迦才の『浄土論』や、文〓・少康の『往生西方浄土瑞応刪伝』にならって、国史や諸人の別伝、あるいは故老の伝聞などから往生人の行業を集録している。往生人の記載は四十五人で、僧侶のほか在俗の男女を含み、念仏と法華経あるいは真言との兼修など行業もさまざまである。本書は以降相ついで編纂される往生伝の先駆であり、多大な影響を与えた。『群書類従』伝部、『続浄土宗全書』一七、『大日本仏教全書』、『日本往生全伝』、『日本思想大系』七所収。
[参考文献]
『群書解題』四上、重松明久『日本浄土教成立過程の研究』、古典遺産の会編『往生伝の研究』、井上光貞『新訂日本浄土教成立史の研究』、伊藤唯真『阿弥陀信仰』(『民衆宗教史叢書』一一)、田村圓澄「『往生伝』について」(『田村圓澄日本仏教史』五所収)、魚澄惣五郎「日本往生伝類について」(史学会編『本邦史学史論叢』上所収)、菊地勇次郎「日本往生極楽記の撰述」(『歴史教育』五ノ六)、橘哲哉「日本往生極楽記考」(『顕真学苑論集』五一)
(福田 行慈)
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1. 日本往生極楽記
日本大百科全書
平安中期の往生伝。一巻。慶滋保胤(よししげのやすたね)著。初稿本の成立は983年(永観1)~986年(寛和2)。のちに兼明(かねあきら)親王に加筆を委嘱したが、 ...
2. 日本往生極楽記
世界大百科事典
慶滋保胤(よししげのやすたね)選。寛和年間(985-987)の成立。唐の《浄土論》《瑞応伝》にならって日本の往生者の伝を集め,42項目45人を僧尼・俗人男女の順 ...
3. にほんおうじょうごくらくき【日本往生極楽記】
デジタル大辞泉
平安時代の往生伝。1巻。慶滋保胤(よししげのやすたね)著。寛和元~2年(985~86)ごろ成立。聖徳太子以下45人の往生伝をまとめたもの。  ...
4. にほんおうじょうごくらくき[ニホンワウジャウゴクラクキ]【日本往生極楽記】
日本国語大辞典
平安中期の仏教書。一巻。慶滋保胤(よししげのやすたね)撰。寛和年間(九八五〜九八七)頃の成立。日本最初の往生伝で、聖徳太子以下四五人の浄土願生の事跡を記す。ニ ...
5. にほんおうじょうごくらくき【日本往生極楽記】
国史大辞典
類について」(史学会編『本邦史学史論叢』上所収)、菊地勇次郎「日本往生極楽記の撰述」(『歴史教育』五ノ六)、橘哲哉「日本往生極楽記考」(『顕真学苑論集』五一)  ...
6. 『日本往生極楽記』
日本史年表
986年〈寛和2 丙戌〉 永観~寛和の頃 『日本往生極楽記』 成るか。  ...
7. 阿弥陀
世界大百科事典
〈往生伝〉はこれら信仰者の往生の証の書であるが,10世紀末から約2世紀の間に,慶滋保胤の《日本往生極楽記》以下7種類も著された。鎌倉時代になると,阿弥陀信仰は質 ...
8. あみだ【阿弥陀】
日本架空伝承人名事典
「往生伝」はこれら信仰者の往生の証の書であるが、一〇世紀末から約二世紀の間に、慶滋保胤の『日本往生極楽記』以下七種類も著された。鎌倉時代になると、阿弥陀信仰は質 ...
9. あみだ‐くようほう[‥クヤウホフ]【阿彌陀供養法】
日本国語大辞典
〔名〕仏語。阿彌陀を本尊として修する密教の秘法。阿彌陀法。*日本往生極楽記〔983〜987頃〕真覚「従〓師受 ...
10. あみだ‐ひじり【阿彌陀聖】
日本国語大辞典
「あみだ(阿彌陀)の聖(ひじり)〔一〕」に同じ。*日本往生極楽記〔983〜987頃〕空也「常唱〓彌陀仏 ...
11. いしま【伊島】徳島県:阿南市/椿泊浦
日本歴史地名大系
伝有観世音菩薩像、霊験掲焉」とあり、空也は観音菩薩に会うため湯島へ詣でたと記される。また慶滋保胤の「日本往生極楽記」にも「阿波・土左両州之間有島、曰湯島矣」とみ ...
12. い‐そう[‥サウ]【異相】
日本国語大辞典
〓」*日本往生極楽記〔983〜987頃〕「今〓 ...
13. いっ‐しん【一心】
日本国語大辞典
一心定而万物服」(2)心をただ一つのことに集中すること。他事を思わない心。専念。→一心に。*日本往生極楽記〔983〜987頃〕尋静「自謂是極楽迎也、歴 ...
14. いぼぐん【揖保郡】兵庫県
日本歴史地名大系
「播磨国風土記」に揖保郡揖保里とあるのがこれに次ぎ、その地名は粒丘に由来するという。揖穂郡(日本往生極楽記)・揖宝郡(「扶桑略記」神亀四年三月三〇日条)・伊保( ...
15. 宇治拾遺物語 69ページ
日本古典文学全集
西北の険しい斜面。僧たちの死因は「この岩のある故ぞ」という評判は、実際そのとおりだったのだ、との納得。『日本往生極楽記』増命伝では、祈念の期間を「三日」とする。 ...
16. 宇治拾遺物語 70ページ
日本古典文学全集
過ぐべし」とうれしくて、秤にかけて見れば、十八両ぞありける。 四 金峰山と箔打ちの事  『日本往生極楽記』増命伝では、この岩の片石が路傍に現存していると事実性を ...
17. 宇治拾遺物語 149ページ
日本古典文学全集
文武二年(六九八)藤原京に創建、平城遷都の後、聖武天皇が現在地に造営。別当である僧都。『日本往生極楽記』『今昔』巻一五‐四話は済源僧都とする。済源は、三論宗の学 ...
18. 宇治拾遺物語 365ページ
日本古典文学全集
。大内記、近江掾。寛和二年(九八六)出家。横川の源信らと念仏結社の二十五三昧会を始め、『日本往生極楽記』を編んだ。 ...
19. 栄花物語 88ページ
日本古典文学全集
「(義孝は)深ク仏法ニ帰シ、終ニ葷腥(なまぐさい野菜や肉)ヲ断ツ。勤王ノ間、法華経ヲ誦ズ」(日本往生極楽記)。『大鏡』には、「法華経をいみじうたうとく誦じたま」 ...
20. 栄花物語 76ページ
日本古典文学全集
読誦し滅罪を願うもの。「弥陀念仏・法花懺法・灌頂・舎利会等は大師(円仁)の伝ふるところなり」(日本往生極楽記)。この当時の法性寺座主は慶命。長和元年(一〇一二) ...
21. 栄花物語 316ページ
日本古典文学全集
長保四年(一〇〇二)没。勧学会の中心人物で、浄土経の普及に大きな影響を与えた。著作に『池亭記』『日本往生極楽記』など。「内記の聖」があわれに思い出されなさるの意 ...
22. 栄花物語 173ページ
日本古典文学全集
行成の父、義孝が『法華経』方便品を誦じながらなくなったことは、『大鏡』伊尹伝、『日本往生極楽記』にみえる。『日本往生極楽記』に入っている。「一条の摂政」は、行成 ...
23. 栄花物語 176ページ
日本古典文学全集
さべき帯、剣なんどは、かねて御堂にお 〔一九〕  人はそれを記録すべきことを説いている。実際、『日本往生極楽記』にも数々の異相往生や往生を証す夢などが記されてい ...
24. えばらでら【家原寺】大阪府:堺市/家原寺村地図
日本歴史地名大系
叡尊の最初の別授戒が当寺で行われた。叡尊の当寺再興の背景には「日本霊異記」「今昔物語集」「日本往生極楽記」などに語られるように、行基を文殊菩薩の化身とする信仰が ...
25. おう‐ぎ[アウ‥]【奥義・奥儀】
日本国語大辞典
〔名〕学問、技能などの最も奥深いところ。一つの道で最も重要で難解な事柄。おくぎ。極意。*日本往生極楽記〔983〜987頃〕延昌「毎夜誦 ...
26. おう‐しゃく【応迹】
日本国語大辞典
菩薩などが衆生を救うためにもとの姿を変え、他の形をとって現われること。応現。応化。おうせき。*日本往生極楽記〔983〜987頃〕行基菩薩「披 ...
27. 往生
世界大百科事典
悪人でも称名によって下品下生者となれるとあるので,下層社会でも往生願生者を広く育てた。《日本往生極楽記》《続本朝往生伝》などの〈往生伝〉にはさまざまな往生人とそ ...
28. 往生伝
日本大百科全書
そうした土壌を背景に10世紀の末ごろ、往生伝の嚆矢(こうし)である慶滋保胤(よししげのやすたね)の『日本往生極楽記(ごくらくき)』が撰述(せんじゅつ)された。そ ...
29. 往生伝
世界大百科事典
日本では慶滋保胤(よししげのやすたね)が源信に深く共感して寛和年間(985-987)に《日本往生極楽記》を撰した。続いて平安時代末期までに大江匡房(まさふさ)《 ...
30. おうじょう‐でん【往生伝】
デジタル大辞泉
極楽浄土に往生した人々の伝記を集めた書物。「日本往生極楽記」「続本朝往生伝」など。  ...
31. おうじょう‐でん[ワウジャウ‥]【往生伝】
日本国語大辞典
臨終の様子や瑞相のことを記し、編集したものの総称。わが国では、平安中期ごろの慶滋保胤の「日本往生極楽記」が最初。以後、大江匡房の「続本朝往生伝」、三善為康の「拾 ...
32. おうじょうでん【往生伝】画像
国史大辞典
修して阿弥陀仏の浄土に往生した人々の伝記を集め、善業を奨める助けとした編纂書。慶滋(よししげ)保胤の『日本往生極楽記』の序に、唐の迦才の著『浄土論』のなかの伝記 ...
33. おうじょう‐でん【往生伝】
仏教語大辞典
編集したものの総称。往生人の略伝を収めた唐の迦才の『浄土論』巻下を受け、平安中期ごろの慶滋保胤の『日本往生極楽記』が最初。以後、大江匡房の『続本朝往生伝』、三善 ...
34. 往生要集 1 日本浄土教の夜明け 160ページ
東洋文庫
偉大な勢力をもった菩薩の意である。阿弥陀仏の脇侍として智慧をつかさどる。八 『伝記』 慶滋保胤の『日本往生極楽記』を指すか。源信が自著『往生要集』やその他、一、 ...
35. 往生要集 1 日本浄土教の夜明け 300ページ
東洋文庫
居易の「繍阿弥陀仏讃」、智円の「西方浄土讃」、元照の「無量寿仏讃」などを掲げている。  なお日本には『日本往生極楽記』が「阿弥陀和讃寸余行」と伝えている千観(永 ...
36. 往生要集 1 日本浄土教の夜明け 342ページ
東洋文庫
行ない、臨終にはたがいに教えの導ぎのともとなり合うことを誓ったものである。これはその後、『日本往生極楽記』の著者である慶滋保胤の起草によって『二十五三昧起請』と ...
37. 往生要集 1 日本浄土教の夜明け 346ページ
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重視したと考えられる一端はこうした点に認められるといえよう。したがってこのような重点の置き方が、『日本往生極楽記』にのべられている「往生」の方向とまったく同じも ...
38. 往生要集 1 日本浄土教の夜明け 350ページ
東洋文庫
縁は外にじゅうぶん熟しつつあったことが推察されるが、ここでとくに注目されることは、かの『日本往生極楽記』の著者慶滋保胤である。伝によれば、かれは寛和二年(九八五 ...
39. 往生要集 1 日本浄土教の夜明け 369ページ
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にあったと、『往生要集』は第六章、第二に『四分律行事鉛』の又を引用して紹介しているが、『日本往生極楽記』では天台座主延昌(八八OI九六四)の条で記されている。ま ...
40. 往生要集 1 日本浄土教の夜明け 377ページ
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」のように九品のすがたを描いたものが古くからあり、源信以前にも増命や空也は来迎を感じ、『日本往生極楽記』にはそのほかにもこうしたことを記録している。しかしこのよ ...
41. 往生要集 2 日本浄土教の夜明け 204ページ
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〕伝』に出ている。わが国でも浄土に生れたものの数は同じ位あって、詳しいことは慶滋保胤の『日本往生極楽記』に〔記されて〕いる。まして市井にあって徳を隠し、山林に通 ...
42. 往生要集 2 日本浄土教の夜明け 218ページ
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43. 往生要集 2 日本浄土教の夜明け 369ページ
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慈恵大僧正〈諄は良源〉が『観音讃』をお作りになり、著作郎の慶滋保胤が『十六相〔観〕讃』と『日本往生極楽記』を作り、さきの進士の源為憲が『法華経賦』を作っておりま ...
44. お‐えつ[ヲ‥]【嗚咽】
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〔名〕むせびなくこと。すすりなき。*日本往生極楽記〔983〜987頃〕聖徳太子「吾不〓欲 ...
45. 大江匡房
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わが国の神仙と目される37人の伝を記した《本朝神仙伝》,慶滋保胤(よししげのやすたね)の《日本往生極楽記》のあとを継ぎ,寛和以後の往生人42人の伝を録した《続本 ...
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『今昔物語集』巻二十四第三十九、『袋草子』『宝物集』などにも収める歌。実資→一〇三ページ。夢をみた人物を『日本往生極楽記』『本朝法華験記』に亜将(中少将)高遠、 ...
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