1. トップページ
  2. >
  3. カテゴリ一覧
  4. >
  5. 文学
  6. >
  7. 古典文学
  8. >
  9. 物語
  10. >
  11. 落窪物語
日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典・国史大辞典

日本大百科全書
落窪物語
おちくぼものがたり

平安時代の物語。4巻。題名は、継母が姫君を寝殿の一段低い部屋に住まわせて落窪の君と呼ばせたことによる。成立時期、作者とも未詳であるが、およそ一条(いちじょう)朝の初期、寛和(かんな)~正暦(しょうりゃく)(985~995)ごろ、男性によって書かれたものと考えられる。
 内容は、継母に虐待される薄幸の姫君が左大将の子息に救われて幸福になるという継子(ままこ)いじめの物語。中納言(ちゅうなごん)には北の方との間に2男4女、亡き王孫の女君との間にも美しい姫君があった。北の方はこの姫君を寝殿の落ち窪んだ部屋に住まわせ、召使い同様の仕打ちをして虐待した。姫君の忠実な侍女阿漕(あこぎ)は左近少将の乳母子帯刀(めのとごたてわき)と恋仲であったので、姫君のことは少将の知るところとなり、やがて少将は阿漕の手引きで姫君と契りを結んだ。継母は姫君を一室に監禁し、好色な老人典薬助(てんやくのすけ)に与えようとしたが、姫君は阿漕の機転で難を免れ、少将に救出される。少将は継母への復讐(ふくしゅう)として、四の君の婿に面白(おもしろ)の駒(こま)という痴者(しれもの)を逢(あ)わせたり、継母一行の清水詣(きよみずもう)でや賀茂祭(かもまつり)の見物を妨害したり、中納言が移ろうとした三条殿を先取りしたりした。その後、中納言は姫君と対面して事の顛末(てんまつ)を知り和解する。少将は中納言のために七十の賀を催したり大納言に推挙したりし、継母にも大納言死後の邸(やしき)を伝領させた。少将はますます栄達し、姫君は3男2女をもうけ幸福を極めた。
 以上の内容から、この物語の構成は、第1部継子いじめと少将の救出、第2部継母への復讐、第3部少将、姫君の栄華と中納言方への心尽くし、という3部に分けられよう。全編に勧善懲悪的な道徳観や一夫一婦の理想性や権力謳歌(おうか)的な性格などがみられるが、しかしこれらは副次的なもので、この作品の主張ではなく、むしろ作者は主観的な思想感情を抑え、冷静な知的態度で即物的に筆を運んでいる。その点、継子いじめという類型的な話型を枠組みとしつつも、叙述は写実的、現実的で、『源氏物語』出現以前の構成の整った王朝家庭小説として、物語史上の価値は少なくない。
 伝本は、九条家旧蔵本など室町期にさかのぼる写本が数本あるが、大部分は江戸期の写本で、共通の祖本から派生したものと認められる。版本には寛政(かんせい)6年(1794)版、上田秋成校の寛政11年(1799)版がある。
[中野幸一]


改訂新版・世界大百科事典
落窪物語
おちくぼものがたり

平安朝の継子いじめ物語。4巻。作者不詳。源順(みなもとのしたごう)とする説もある。順が漢文学の素養があり,和歌もよくする下級貴族の男性であることで,作者の条件をみたす一人だと見てよい。書名は女主人公が〈寝殿の放出(はなちいで)の,また一間なる落窪なる所〉に住まわされ,〈落窪の君〉と言われたところからとられた。中納言源忠頼には北の方の実子7人のほかに皇女腹の姫君(落窪の君)があった。落窪の君は継母のおとし入れをこえて,左大将の子の左近の少将と結ばれ,栄華を極めた。なお,姫君の忠実な侍女阿漕(あこぎ)の活躍も目だつ。姫君が継子としての辛酸をなめる境遇を具体的に描くと同時に,《宇津保物語》の名がその首巻で,俊蔭女とその子仲忠が木のうつぼに住んでいたことからつけられたように,空洞信仰の象徴としての意味をも落窪は有する。空洞にこもった者が霊力を身につけて,種々の艱難(かんなん)をのりこえて立派になってゆくのである。《枕草子》に〈交野(かたの)の少将もどきたる落窪の少将などはをかし〉としるされ,《枕草子》以前に流布していたらしい。
[臼田 甚五郎]

[索引語]
源順 落窪の君 阿漕

国史大辞典
落窪物語
おちくぼものがたり
平安時代の物語。作者不詳。源順(したごう)説もある。四巻。成立は『枕草子』以前で、村上朝の後半から天延元年(九七三)までの間とする説をはじめ、永延・永祚年間(九八七―九〇)ごろ、長徳年間(九九五―九九)説など諸説がある。現存では最古の継子いじめ物語。昔、中納言忠頼には北の方との間に三男四女があったが、ほかに皇女腹に姫君が一人いた。北の方はこの継子の姫を、床の一段低いへや(落窪)に入れ、落窪の君と呼ばせて裁縫などに追い使った。姫の忠実な召使いの阿漕(あこぎ)に通っていた帯刀(たちはき)からこの事を聞いた左大将の子の左近の少将は見ぬ恋にあこがれ、やがて帯刀の手引きで逢うことができた。男の通うのを知った北の方は立腹して姫を塗籠(ぬりごめ)に押し入れ、六十余りの好色な典薬助に与えようとするが、阿漕の働きで難を切り抜ける。少将は、中納言一家の石山詣での留守に姫を救い出して自邸に隠し、継母への報復として、中納言の四の君の婿に、いつわって愚か者の兵部の少輔をさし向け、三の君の婿の蔵人の少将を自分の妹の婿に迎え、継母の清水参りや賀茂の祭見物に恥をかかせ、落窪の君の伝領した三条邸に中納言一家がひき移ろうとする矢先に乗り込んで嘆かせたりなどするが、やがて姫を父中納言と対面させ、そののちはうって変わってつぎつぎと恩恵を施し、姫と少将はいよいよ仲睦まじく栄華をきわめた、という筋である。作者は倫理的主張を打ち出さず、純客観的に貴族の家庭内での継子いじめを叙述する。先行して題材を同じくする『往吉物語』(散佚)に霊験的要素が強いのに対して、姫の救出や少将の報復にも合理的現実的手段を用いて写実的構成をとっている。小さくまとまって文学的達成度はあまり高くないが『源氏物語』出現への一背景としての意味を持つ。九条家旧蔵本などの写本のほか、寛政六年(一七九四)・十一年の版本、叢書などに収められた十数種の活字本(『日本古典全書』、『日本古典文学大系』一三、『日本古典文学全集』一〇その他)がある。
[参考文献]
松尾聡『落窪物語』解説(『日本古典文学大系』一三)、上坂信男『物語序説』(『有精堂選書』三)、野口元大『古代物語の構造』(同六)、塚原鉄雄『王朝の文学と方法』
(堀内 秀晃)
ジャパンナレッジは約1500冊以上(総額550万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のオンライン辞書・事典サービスです。
ジャパンナレッジについて詳しく見る
落窪物語の関連キーワードで検索すると・・・
検索ヒット数 1441
検索コンテンツ
1. 落窪物語
日本大百科全書
平安時代の物語。4巻。題名は、継母が姫君を寝殿の一段低い部屋に住まわせて落窪の君と呼ばせたことによる。成立時期、作者とも未詳であるが、およそ一条(いちじょう)朝 ...
2. 落窪物語
世界大百科事典
平安朝の継子いじめ物語。4巻。作者不詳。源順(みなもとのしたごう)とする説もある。順が漢文学の素養があり,和歌もよくする下級貴族の男性であることで,作者の条件を ...
3. おちくぼものがたり【落窪物語】
デジタル大辞泉
平安時代の物語。4巻。作者不詳。源氏物語よりもやや早い成立か。中納言忠頼の娘が、継母にいじめられて落窪の間に押し込められるが、左近少将道頼に迎えられ、中納言一家 ...
4. おちくぼものがたり【落窪物語】
日本国語大辞典
平安時代の物語。四巻。作者、成立年ともに未詳だが、「源氏物語」よりもやや早く、男性の手になるものと思われる。継母に虐待され、落窪の間に押し込められていた中納言忠 ...
5. おちくぼものがたり【落窪物語】
全文全訳古語辞典
[書名]平安中期の物語。十世紀の末に成立か。作者未詳。継母による継子いじめ物語の典型。皇女腹の落窪の姫が父の家に引き取られ、継母にいじめられるが、左近少将と結ば ...
6. おちくぼものがたり【落窪物語】
国史大辞典
』、『日本古典文学大系』一三、『日本古典文学全集』一〇その他)がある。 [参考文献]松尾聡『落窪物語』解説(『日本古典文学大系』一三)、上坂信男『物語序説』(『 ...
7. 落窪物語
日本古典文学全集
中納言源忠頼の娘(主人公)は、実母と死に別れ、継母(ままはは)によって育てられる。しかし継母は、継子(ままこ)の姫を疎んじ、床の一段低い部屋(落窪)に住まわせ、 ...
8. あいぎょう‐な[アイギャウ‥]【愛敬無】
日本国語大辞典
語幹)気にくわず、いやだと感じること。かわいげがないこと。憎らしいこと。感動表現に用いる。*落窪物語〔10C後〕一「かかるままに、『あいぎゃうなの雨や』と腹だて ...
9. あいぎょう‐なし[アイギャウ‥]【愛敬無】
日本国語大辞典
〔名〕態度などにかわいげのない人。無愛想な人。*落窪物語〔10C後〕二「このあいぎゃうなしの出でぬさきに、疾く帰りなんと急ぎ給へど」 ...
10. あいぎょう‐な・し[アイギャウ‥]【愛敬無】
日本国語大辞典
〔形ク〕態度などにかわいげがない。無愛想だ。*落窪物語〔10C後〕一「いとあいぎゃうなかりける心もたりけるものかな」*源氏物語〔1001〜14頃〕若菜上「さしも ...
11. あい‐さか・ゆ[あひ‥]【相栄】
日本国語大辞典
地(あめつち)と相左可延(あひサカエ)むと大宮を仕へまつれば貴くうれしき〈巨勢奈弖麻呂〉」*落窪物語〔10C後〕四「いづれもいづれも子供あひさかゆる程にて」 ...
12. あい‐たの・む[あひ‥]【相頼】
日本国語大辞典
〔他マ四〕(「あい」は接頭語)(1)(「頼む」の改まった言い方)たよりとする。頼みとする。*落窪物語〔10C後〕二「医師(くすし)なり。御病もふとやめ奉りて。今 ...
13. あい‐な・し
日本国語大辞典
*蜻蛉日記〔974頃〕下・天祿四年「おとりまされりはみゆれど、さかしうことわらんもあいなくて」*落窪物語〔10C後〕一「よべの心は、限りなくあいなく、心づきなく ...
14. あい‐な・る[あひ‥]【相馴】
日本国語大辞典
*伊勢物語〔10C前〕一六「年ごろあひなれたる妻(め)、やうやう床離れて、つひに尼になりて」*落窪物語〔10C後〕四「年ごろ若うよりあひなれ奉りて、六七十(むそ ...
15. あえ‐ずらえ[あへづらへ]
日本国語大辞典
〔名〕応対すること、相手をすること、の意か。*落窪物語〔10C後〕一「御あへづらへ仕うまつり侍らんと思ひ侍りつるを、とみの事とて、人まうで来たればなん」用例は他 ...
16. あ・える【零】
日本国語大辞典
その他何でも高い所から物が落ちたりすること」(2)汗、血、乳などがしたたり落ちる。流れる。*落窪物語〔10C後〕一「まだしくは、血あゆばかり、いみじくのむらむと ...
17. あおぎ‐け・つ[あふぎ‥]【扇消】
日本国語大辞典
〔他タ四〕「あおぎけす(扇消)」に同じ。*落窪物語〔10C後〕一「火をあふぎけちつ」 ...
18. あか‐ね【茜】画像
日本国語大辞典
帯びた赤黄色。茜染め。*十巻本和名類聚抄〔934頃〕六「茜兼名苑注云茜〈蘇見反阿加禰〉可以染緋者也」*落窪物語〔10C後〕二「よき帛、糸、綾、あかね、蘇枋、くれ ...
19. あかね‐そめくさ【茜染草】
日本国語大辞典
〔名〕茜色に物を染めるのに用いる茜草。染料用の茜草。*落窪物語〔10C後〕三「紅絹、あかね染くさども出し給へれば」 ...
20. あか‐ひる【明昼・白昼】
日本国語大辞典
〔名〕まひる。ひるなか。*落窪物語〔10C後〕二「何ばかりの物なれば、かく我が家をあかひる入りたちて、かくして出でぬらん」 ...
21. あか・める【赤】
日本国語大辞典
あか・む〔他マ下二〕(1)血流が増えたり充血することによって、顔や目を赤くする。赤らめる。*落窪物語〔10C後〕一「いかに成りぬらんと思ひて、かほあかめてゐたり ...
22. あから・む【赤】
日本国語大辞典
*日本書紀〔720〕皇極元年八月(図書寮本訓)「或本云、五日連雨、九穀登熟(ナリアカラム)」*落窪物語〔10C後〕三「恥づかしげにのたまへるに、おもてあからむ心 ...
23. あ‐が‐きみ【吾君】
日本国語大辞典
。中古になると、「あ」が特定の語形にだけ残った結果、呼び掛けの意が強くなった。ねえあなた。*落窪物語〔10C後〕二「あが君あが君、夜さりだにうれしき目見せ給へ」 ...
24. あが・る【上・揚・挙・騰】
日本国語大辞典
(1)その動作が終わる意を表わす。「染め上がる」「刷り上がる」(2)その動作が激しくなる意を表わす。*落窪物語〔10C後〕二「ただ言ひに言ひあがりて、車のとこし ...
25. あきれ‐まど・う[‥まどふ]【呆惑】
日本国語大辞典
〔自ハ四〕驚いてどうしてよいかわからなくなる。意外な事に出あっておろおろする。*落窪物語〔10C後〕三「人々あきれまどひて、殿に走り来て」*源氏物語〔1001〜 ...
26. あけ‐す・ぐ【明過】
日本国語大辞典
〔自ガ上二〕すっかり夜が明けてしまう。夜が明けてから時がたつ。明けはなれる。*落窪物語〔10C後〕一「出で給ふに、明すぎて、人々騒がしければ」*枕草子〔10C終 ...
27. 総角(源氏物語) 243ページ
日本古典文学全集
薫が、いつも弁を呼び出して昵懇に話しこんでいるのをいう。女房が、女主人に男を手引する話は、『落窪物語』『住吉物語』などにみえる。この物語にもその例は多い。このあ ...
28. あ‐ご【吾子】
日本国語大辞典
阿誤(アゴ)よ 阿誤(アゴ)よ 細螺(しただみ)の い這ひ廻(もとほ)り 撃ちてし止まむ」*落窪物語〔10C後〕一「人なくては大事なり。よきあこたちのつかひ人と ...
29. あさ‐ざ【朝座】
日本国語大辞典
で、朝、行なう法座。〓夕座。*落窪物語〔10C後〕三「あさざ、夕座の講師(こうじ)に、鈍(にび)色の袷(あはせ)の衣(きぬ)どもか ...
30. あさて【明後日】
日本国語大辞典
*宇津保物語〔970〜999頃〕吹上上「あさてばかり、いと興ある所の侍るなる、見給に罷り出で立つを」*落窪物語〔10C後〕四「あさて下り給ふとて」*観智院本類聚 ...
31. あざ‐わら・う[‥わらふ]【嘲笑】
日本国語大辞典
哉(あなにえや)、吾が皇子(みこたち)は聞喜而生(ききよくもあれませ)るかな』とのたまふ」*落窪物語〔10C後〕一「あなわかわかしの昼寝や。しが身のほど知らぬこ ...
32. あし‐げ【悪─】
日本国語大辞典
げすども、あしげなる柚(ゆ)や梨などを、なつかしげに持たりて食ひなどするも、あはれに見ゆ」*落窪物語〔10C後〕二「ほかの小路に引きもて来て、道中(なか)にうち ...
33. あしげ‐さ【悪─】
日本国語大辞典
〔名〕(形容動詞「あしげ」に接尾語「さ」の付いたもの)悪そうに見えるさま。また、その度合。欠点。*落窪物語〔10C後〕一「眉の程にぞおよずけのあしけさも少し出で ...
34. あし‐じろ【足白】
日本国語大辞典
〔名〕(1)足の白いこと。*落窪物語〔10C後〕二「心うしとやおぼさんとて、はじめもさいみじかりし雨に、わりなくて参りしを、足しろの盗人とは興ぜられしぞかし」( ...
35. あし‐ずから[‥づから]【足─】
日本国語大辞典
〔副〕(「ずから」は接尾語)自分の足で。自分がじかに足を運んで。*落窪物語〔10C後〕一「おとどの御前に引き出で来て、〈略〉『からうじて。あしづから行かずは、い ...
36. あし の 気(け)
日本国語大辞典
あしのやまい。*十巻本和名類聚抄〔934頃〕二「脚気 医家書有脚気論〈脚気一云脚病 俗云阿之乃介〉」*落窪物語〔10C後〕三「今日だにとむらひに物せんと思ひつれ ...
37. あし=を[=も]空(そら)
日本国語大辞典
(1)足も地につかないくらいうろたえてあちこち急ぎ歩くこと。また、そのようにあわてふためくさま。*落窪物語〔10C後〕二「車の男ども足をそらにてまどひ倒れて」* ...
38. あじき‐な・い[あぢき‥]【味気無】
日本国語大辞典
あじけない。*伊勢物語〔10C前〕八九「人知れず我こひ死なばあぢきなくいづれの神になき名おほせん」*落窪物語〔10C後〕一「『世にふとは忘れじ』との給へば、帯刀 ...
39. あ‐じろ【網代】画像
日本国語大辞典
漁業の漁獲高分配法の一つ。漁網に対して配当される収益。(8)「あじろぐるま(網代車)」の略。*落窪物語〔10C後〕二「ふるめかしき檳榔毛(びりゃうげ)ひとつ、あ ...
40. あじろ‐ぐるま【網代車】
日本国語大辞典
のびて、ただきよげなるあじろぐるまに、馬(むま)にのりたる男ども四人、しも人はあまたあり」*落窪物語〔10C後〕二「ただいと清げなるあじろ車の、下簾かけたる、出 ...
41. あた・う[あたふ]【能】
日本国語大辞典
*竹取物語〔9C末〜10C初〕「罪の限りはてぬればかく迎ふる、翁は泣きなげく、あたはぬ事也。はや返し奉れ」*落窪物語〔10C後〕四「『我左の大臣殿のうへに申し給 ...
42. あた‐かたき【仇敵】
日本国語大辞典
〔名〕(後世は「あだかたき」とも)憎い相手。きゅうてき。*落窪物語〔10C後〕二「中だちしたる人とても、あたかたきにもあらず、四の君の乳母(めのと)なれば」*源 ...
43. あたら‐もの【惜物・惜者】
日本国語大辞典
あったらもの。*宇津保物語〔970〜999頃〕藤原の君「あたらものを。我がために塵ばかりのわざすな」*落窪物語〔10C後〕一「このわか君の御事をかたりて〈略〉、 ...
44. あだ‐わざ【他事・徒業】
日本国語大辞典
のあだわざなせそと、はしたなめられしかば」(2)(まじめなことに対して)浮いたこと。浮気。*落窪物語〔10C後〕二「女君のうちとけ給へるを見て、むべなりけり、君 ...
45. あつ‐け【暑気・熱気・温気】
日本国語大辞典
中暑。*宇津保物語〔970〜999頃〕国譲中「なにか。ことなる事にもあらじ。あつけなどにや」*落窪物語〔10C後〕三「女君はあつけに悩ましうて見給はねば、男君、 ...
46. あつら・える[あつらへる]【誂】
日本国語大辞典
*日本書紀〔720〕天武一〇年五月(北野本訓)「或いは其の門に詣りて、己が訟を謁(アツラフ)」*落窪物語〔10C後〕三「またあつらへたる様(やう)に、かしこの人 ...
47. あて‐おこな・う[‥おこなふ]【宛行・充行】
日本国語大辞典
〔他ハ四〕(1)割り当てて事を行なわせる、または与える。割りふる。*落窪物語〔10C後〕四「内へ参るべき日見せ、とかくせさすべきことあておこなふとても」*大鏡〔 ...
48. あ・てる【当・中・充・宛】
日本国語大辞典
)てられたる階上の一室には」(2)うまく対応するようにする。また、対応するように分け配る。*落窪物語〔10C後〕三「あはれにたふとき経共とて、経一部を一日にあて ...
49. あなず・る[あなづる]【侮】
日本国語大辞典
慢を生して、人を陵易(アナツル)」*落窪物語〔10C後〕一「若くめでたき人は、多くかやうのまめわざする人や少なかりけん、あなづりやすくて ...
50. あ‐な‐た【彼方・貴方】
日本国語大辞典
ぼつかなくこそ思ひわたりつれ」(4)あのかた。あちらの人。対等または上位者に対して用いた。*落窪物語〔10C後〕一「いなや、この落窪の君のあなたにの給ふことに従 ...
「落窪物語」の情報だけではなく、「落窪物語」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る

落窪物語と同じ物語カテゴリの記事
うつほ物語(宇津保物語)(日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典・国史大辞典)
平安時代の物語。題名は首巻の「俊蔭」の巻で、主人公の仲忠が母と杉の洞穴で生活したことによる。従来「宇津保」と書かれていたが、変体仮名の原漢字を用いたもので、題意からは「うつほ(ウツオ)」がよい。成立時代は円融朝(969~984)~
落窪物語(日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典・国史大辞典)
平安時代の物語。4巻。題名は、継母が姫君を寝殿の一段低い部屋に住まわせて落窪の君と呼ばせたことによる。成立時期、作者とも未詳であるが、およそ一条朝の初期、寛和~正暦(985~995)ごろ、男性によって書かれたものと考えられる。内容は、継母に虐待される薄幸の姫君が左大将の
唐物語(国史大辞典・世界大百科事典)
中国説話二十七篇を歌物語風に翻訳した物語。一冊。前田綱紀の手記『桑華書志』所収の『古蹟歌書目録』は『漢物語』として作者を藤原成範と伝える。これが『唐物語』を指す蓋然性は高く、院政期の成立と見てよい。各話は王朝物語にもしばしば引用される著名な人物が配される。
とりかへばや物語(国史大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典)
平安時代末期の物語。運命のいたずらで女装、男装を余儀なくされた異腹の兄妹の物語。作者未詳。三巻三冊または四巻四冊。『とりかへばや』には古本と今本とがあり、古本は散佚、古本を改作した「今とりかへばや」が『とりかへばや』『とりかへばや物語』の名で現存する。
今鏡(日本大百科全書・世界大百科事典)
平安末期の歴史物語。1170年(嘉応2)成立説とそれ以後とする説とがあり、作者は藤原為経(寂超)説が有力。『大鏡』を受けて、1025年(万寿2)から1170年までの歴史を、座談形式を用い、紀伝体で叙述したもの。巻1~3は後一条天皇から高倉天皇までの帝紀、巻4~6は藤原氏
物語と同じカテゴリの記事をもっと見る


「落窪物語」は古典文学に関連のある記事です。
その他の古典文学に関連する記事
薩藩旧記雑録(日本歴史地名大系・国史大辞典)
前編四八巻・後編一〇二巻・追録一八二巻・付録三〇巻 別称 旧記雑録(原名) 伊地知季安・伊地知季通編 分類 記録 写本  国会図書館・国立公文書館・九州大学・東京大学史料編纂所・鹿児島県立図書館など 解説  幕末鹿児島藩の史学者・記録奉行であった父季安の志を継ぎ
三河物語(国史大辞典・改訂新版 世界大百科事典)
徳川氏創業史の最初の著作。筆者は大久保彦左衛門忠教。三巻。元和八年(一六二二)には草稿本が完成していたとみられるが、現存自筆本(穂久邇文庫蔵、重要文化財)の最終的成立は寛永三年(一六二六)。上巻は源氏の由来から始めて徳川家康の父祖、いわゆる松平八代(親氏―広忠)の
三十六人家集(三十六人集)(国史大辞典・日本国語大辞典・日本大百科全書)
家集。藤原公任の『三十六人撰』所収の歌人三十六人の家集の総集。左右に排してあるので、一番左・右……の順序とすべく、したがって人麿集・貫之集・躬恒集・伊勢集・家持集・赤人集・業平集・遍照集・素性集・友則集・猿丸集・小町集・兼輔集
一条摂政御集(国史大辞典・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典)
一条摂政藤原伊尹の私家集。編者不詳。総歌数は百九十四首。成立年代は、その詞書から、伊尹死後二十年を経た正暦三年(九九二)八月二十二日以後と推定されるが、冒頭から第四十一首目までは、主人公を「大蔵史生倉橋豊蔭」という卑官に仮託して
拾遺和歌集(国史大辞典・日本大百科全書)
平安時代中期の第三番目の勅撰集。二十巻。撰者は花山院か。近臣の藤原長能や源道済の協力を考える説も古くからある。またほかに、協力者として曾禰好忠の名を挙げる説もある。藤原公任撰の『拾遺抄』の歌を全部収め、構成も踏襲している面があるので、何らかの形で公任も関与している
古典文学に関連する記事をもっと見る
ジャパンナレッジは約1500冊以上(総額550万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る