NHK大河ドラマ「光る君へ」特集
ジャパンナレッジは約1700冊以上の膨大な辞書・事典などが使い放題の「日本最大級のオンライン辞書・事典・叢書」サービスです。
➞ジャパンナレッジについて詳しく見る
  1. トップページ
  2. >
  3. カテゴリ一覧
  4. >
  5. 文学
  6. >
  7. 古典文学
  8. >
  9. 物語・伝記・散文・読本・滑稽本・噺本・自伝
  10. >
  11. とりかへばや物語

とりかへばや物語

ジャパンナレッジで閲覧できる『とりかへばや物語』の国史大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典のサンプルページ

国史大辞典
とりかへばや物語
とりかえばやものがたり
平安時代末期の物語。運命のいたずらで女装、男装を余儀なくされた異腹の兄妹の物語。作者未詳。三巻三冊または四巻四冊。『とりかへばや』には古本と今本とがあり、古本は散佚、古本を改作した「今とりかへばや」が『とりかへばや』『とりかへばや物語』の名で現存する。古本は白河・堀河朝(延久四年(一〇七二)―嘉承二年(一一〇七))ころに成り、非現実的な怪奇性の濃い作品であったらしい。今本は高倉朝(仁安三年(一一六八)―治承四年(一一八〇))ころの成立とされる。今本の梗概は、権大納言の子に異腹の兄妹があり、兄は女性的、妹は男性的で、父が「とりかへばや」と嘆くのが題名の起りである。兄妹はそれぞれ女装、男装のまま成人し、兄は入内して尚侍となり、妹は右大臣の四の君と結婚し、権中納言兼左衛門督に昇進する。物語は主として妹の運命を追い、好色の宰相中将が四の君と密通し、また権中納言を女性と見破って契りをかわす、権中納言は右大将に進み、身重になったので宇治の隠れ家に行き、女の姿に戻って男子を産む、兄の尚侍は男の姿に戻って妹の行方をたずね、宇治で会い、吉野に行ってそれぞれ本来の姿に戻る、最終的には兄は関白に、妹は中宮になって繁栄する、というものである。『無名草子』は、古本は「言葉続きもわろく、もの恐ろし」い感じだが、今本は古本にまさり、「いとにくからずをかし」きさまであると評する。『源氏物語』や『浜松中納言物語』の影響を蒙っているが、性転換をテーマに、やや世紀末的な気分を漂わせているのは時代相の反映である。男装・女装の問題は擬古物語の『在明の別れ』や室町物語の『玉水物語』『新蔵人物語』などにも継承されている。写本は多いがいずれも近世以降の写しで本文の大きな異同はない。吉田幸一蔵本二種、天理図書館・竜門文庫・ノートルダム清心女子大学各蔵本が比較的古いとされる。影印本に『原典シリーズ』一〇(宮内庁書陵部蔵本)があり、活字本には、『古典文庫』一六五・一六七、鈴木弘道『とりかへばや物語の研究』校注編解題編、同『校注とりかへばや物語』、同『とりかへばや物語―本文と校異―』、『講談社学術文庫』(桑原博史訳注)などがある。
[参考文献]
森岡常夫『平安朝物語の研究』、鈴木弘道『平安末期物語論』(『塙選書』六二)、同『平安末期物語についての研究』、三谷栄一編『体系物語文学史』三、石埜敬子「とりかへばや物語の構造」(『跡見学園短期大学紀要』一二)、今井源衛「『とりかへばや』醜穢論をめぐって」(『日本文学』二六ノ四)、神田竜身「『今とりかへばや』論」(『文芸と批評』五ノ一―三)、辛島正雄「『とりかへばや物語』における『源氏物語』摂取」(『語文研究』四七)
(堀内 秀晃)


日本大百科全書
とりかへばや物語
とりかえばやものがたり

平安末期の物語。作者不明。「古(こ)とりかへばや」と、それを改作した「今(いま)とりかへばや」とがあり、前者は散逸して、女性の手になるらしい後者だけが伝わっている。さる権大納言(ごんだいなごん)の異腹の息子と娘とが主人公で、とくに娘が中心となって物語は展開する。兄妹のうち、兄のほうは女のよう、妹のほうは男のような性格だったので、父は2人を「とりかへばや」(取り替えっこしたい)と思ったというところから編名がついた。その後も両親はそれぞれ兄に女装、妹に男装をさせて育てるが、成人後そのために数奇な運命をたどることになる。しかしやがて、その因であった天狗(てんぐ)の祟(たた)りが解けて、2人は衣服を交換して自然な姿に戻り、兄は左大臣関白に、妹は尚侍(ないしのかみ)から中宮となって、めでたく幕となる。性の倒錯という物語の骨格に規制されて、同性愛、異性愛が交錯し、セクシュアルな局面が多出するが、しかし描写自体はさほど露骨ではなく、暗示的な王朝物語の節度を守っている。また肉親や家族愛も強調され、栄華立身の筋立てや、仏教的宿命観も強い。古本は現存本に比して、格段に怪奇や猟奇趣味が濃厚だったらしい。その特異性のため、一般女性読者に広く歓迎されることはなかったようで、平安最末期の『有明(ありあけ)のわかれ』などに多少の影響の跡がみられるほかは、後代に与えた影響はむしろ少ない。伝本としては、近世以降の写本のみ相当数伝わり、板本はない。
[今井源衛]



改訂新版・世界大百科事典
とりかへばや物語
とりかえばやものがたり

平安末期の物語。作者不明。原作本は滅び,現存本は《無名草子》に《今とりかへばや》として見えるもの。ともに平安末期に成る。現存本4巻。大納言に異腹の2児がある。兄は生来女性的,妹は男性的なので,父は2人を〈とりかへばや〉と考え,兄に女装,妹に男装させて育て,兄は尚侍として出仕,妹は任官して侍従,中将,大将と昇進。その間に兄尚侍は女東宮に子を生ませ,妹大将は名のみの妻右大臣四君を,好色の宰相中将に犯され,四君は女子を生む。宰相中将はさらに妹大将をも犯し妊ませる。妹大将は宰相中将の宇治の邸に隠れて出産。おりから男姿に戻った兄尚侍に助けられて,宰相中将の目を逃れて帰京後,兄妹は入れ替わって正常な生活に入り,それぞれ栄えた,という筋。性倒錯が主材となっているが,目だつような露骨な描写はなく,倫理的な家族愛描写にも力を入れている。原作本は筋立てに小異があり,描写も露骨な節があったらしい。
[松尾 聰]

[索引語]
今とりかへばや
上記は、日本最大級のオンライン辞書・事典・叢書サービス「ジャパンナレッジ」のサンプル記事です。

ジャパンナレッジは、自分だけの専用図書館。
すべての辞書・事典・叢書が一括検索できるので、調査時間が大幅に短縮され、なおかつ充実した検索機能により、紙の辞書ではたどり着けなかった思わぬ発見も。
パソコン・タブレット・スマホからご利用できます。


とりかへばや物語の関連キーワードで検索すると・・・
検索ヒット数 319
※検索結果は本ページの作成時点のものであり、実際の検索結果とは異なる場合があります
検索コンテンツ
1. とりかへばや物語
日本大百科全書
平安末期の物語。作者不明。「古(こ)とりかへばや」と、それを改作した「今(いま)とりかへばや」とがあり、前者は散逸して、女性の手になるらしい後者だけが伝わってい ...
2. とりかへばや物語
世界大百科事典
平安末期の物語。作者不明。原作本は滅び,現存本は《無名草子》に《今とりかへばや》として見えるもの。ともに平安末期に成る。現存本4巻。大納言に異腹の2児がある。兄 ...
3. とりかえばやものがたり【とりかへばや物語】
デジタル大辞泉
平安末期の物語。3巻または4巻。現存本はいわゆる「古とりかえばや」の改作といわれる。作者未詳。権大納言の男君と女君は性質が男女逆なので、男君を女、女君を男として ...
4. とりかえばやものがたり[とりかへばやものがたり]【とりかへばや物語】
日本国語大辞典
鎌倉初期(一二世紀後)成立の物語。三巻三冊または四巻四冊。作者未詳。現存本は平安末期成立の「とりかへばや」(古とりかへばや)の改作で、「今とりかへばや」という。 ...
5. とりかえばやものがたり【とりかへばや物語】
国史大辞典
、活字本には、『古典文庫』一六五・一六七、鈴木弘道『とりかへばや物語の研究』校注編解題編、同『校注とりかへばや物語』、同『とりかへばや物語―本文と校異―』、『講 ...
6. とりかへばやものがたり【とりかへばや物語】
全文全訳古語辞典
[書名]物語。平安時代後期成立か。作者不詳。四巻。父の権大納言に「とりかへばや(兄妹の性別をとりかえたい)」と嘆かせた兄妹の物語。女性的な兄は女として、男性的な ...
7. とりかへばや物語
日本古典文学全集
権大納言に瓜二つの異母兄妹がいたが、兄は内気で人見知り。妹は外向的で活発。そんな二人を見て、父の権大納言は「とりかへばや」(二人を取り替えたいなあ)と思い、若君 ...
8. あいとぶらい‐びと[あひとぶらひ‥]【相訪人】
日本国語大辞典
〔名〕訪れる人。互いに訪問し合う親しい人。*とりかへばや物語〔12C後〕上「あひとぶらひ人なくては、侍まじきわざとばかりを、所せく思ひ侍れど」 ...
9. あくがれ‐すぐ・す【憧過】
日本国語大辞典
〔他サ四〕心ひかれ、居所を離れ隔たって、月日を過ごす。浮かれさすらって時を送る。*とりかへばや物語〔12C後〕中「行方(ゆくへ)しらぬ野山のすゑに、あくがれすぐ ...
10. あくがれ‐た・つ【憧立】
日本国語大辞典
C後〕一「やうやう、おとなびゆくまでに、思ひさだめたるかたもなう、あくがれたちたるを」*とりかへばや物語〔12C後〕下「いとど御らんじてしかば、あくがれたたせ給 ...
11. あく 世(よ)無(な)し
日本国語大辞典
あきる時がない。いつまでたってもいやにならない。*とりかへばや物語〔12C後〕上「この君をひとめも見きこえては、あくよなくいみじきものに思ふべかめり」 ...
12. あじ‐な・い[あぢ‥]【味無】
日本国語大辞典
あぢな・し〔形ク〕(1)「あじきない(味気無)」に同じ。*とりかへばや物語〔12C後〕中「あやしくよづかぬ御ありさまも、見奉りしり給ひにけん人をあらためて、かく ...
13. あじろ の 氷魚(ひお)
日本国語大辞典
*源氏物語〔1001〜14頃〕総角「あじろのひをも、心寄せたてまつりて、いろいろの、木の葉にかきまぜ」*とりかへばや物語〔12C後〕下「我いかなりとも、その人と ...
14. あせ‐ゆ・く【浅行・褪行】
日本国語大辞典
*源氏物語〔1001〜14頃〕賢木「年暮れて岩井の水もこほりとぢ見し人影のあせも行くかな」*とりかへばや物語〔12C後〕上「何事もみなくちをしく、あせゆく世の末 ...
15. あつかい‐とぶら・う[あつかひとぶらふ]【扱訪】
日本国語大辞典
〔他ハ四〕たずねて行って世話をする。*とりかへばや物語〔12C後〕中「いかになるまでもあつかひとぶらはんと思ひ侍るを」 ...
16. あつかい‐なげ・く[あつかひ‥]【扱嘆・扱歎】
日本国語大辞典
〔他カ四〕世話をしながら悲しく思う。*とりかへばや物語〔12C後〕上「あたりもはなれず、あつかひなげき給へるは、見るにいとあはれなれば」 ...
17. あつかい‐はぐく・む[あつかひ‥]【扱育】
日本国語大辞典
〔他マ四〕世話をして育てる。養育する。*とりかへばや物語〔12C後〕中「姫君たちの御うへまで、いたらぬことなくあつかひはぐくみきこえ給て」 ...
18. あとはか‐な・し
日本国語大辞典
許にも尋ねきこえ給へど、あとはかなくて、あたらしかりし御かたちなど恋しく悲しとおぼす」*とりかへばや物語〔12C後〕上「いはむ方なく心憂く、まことに今ぞあとはか ...
19. あと を 絶(た)つ
日本国語大辞典
〜68頃〕一「行先をたのむやうにてあとをたつ気色ながら、うらめしきぞ、ことわりなきや」*とりかへばや物語〔12C後〕下「いかばかりの心にて、これをかくみずしらず ...
20. あなた‐づよ
日本国語大辞典
〔形動〕あちらを大事にするさま。あちらに味方をすること。*とりかへばや物語〔12C後〕中「ひたぶるに、ひとかたに思ひゆるし給ふも、あなたづよにこそあらめ」 ...
21. あま【尼】
日本国語大辞典
えた(1)の髪。また、そのような童女の髪。尼削(あまそぎ)。→あま(尼)に削(そ)ぐ。*とりかへばや物語〔12C後〕中「うれしきままに、かしらあはせなどして、髪 ...
22. あやつり【操】
日本国語大辞典
(操)」の連用形の名詞化)(1)操ること。巧みに扱うこと。また、そのしかけ。からくり。*とりかへばや物語〔12C後〕上「つくりいづる文のかたにも、歌の道にも、は ...
23. あやめ‐がお[‥がほ]【─顔】
日本国語大辞典
〔名〕いぶかり顔。怪訝顔(けげんがお)。*とりかへばや物語〔12C後〕上「なにとてわが身はれいのやうならで、たれにもあやめがほならんとおもひ侍りしかば」 ...
24. あら・す【荒】
日本国語大辞典
にあらん限りだに此院あらさず、ほとりの大路など人影かれはつまじうとおぼしのたまはせて」*とりかへばや物語〔12C後〕下「ここをあらしはて給はんことは、なほ心ぼそ ...
25. あり‐そ・む【有初】
日本国語大辞典
14頃〕浮舟「我が心もてありそめし事ならねども、心うき宿世かなと、思ひ入りてゐたるに」*とりかへばや物語〔12C後〕上「よからぬ身を思ひしりながら、ありそめにけ ...
26. いい‐あわ・む[いひあはむ]【言淡】
日本国語大辞典
〕二「涙こぼれて心憂けれど、かばかり常にいひあはめ給ふに、あらぬ所はなき物から」*浚明本とりかへばや物語〔12C後〕三「過ぎにし方を恋ふると、いひあはめし物を、 ...
27. いい‐こう・ず[いひカウず]【言勘】
日本国語大辞典
〔他サ変〕非難のことばを言って勘当する。強いことを言って叱り責める。*とりかへばや物語〔12C後〕中「あまりにおもはずなる事をうちききしが、うれはしく、やすらか ...
28. いい‐すさ・む[いひ‥]【言荒・言遊】
日本国語大辞典
*源氏物語〔1001〜14頃〕手習「何か、をちなる里も、試み侍ればなどいひすさみて」*浚明本とりかへばや物語〔12C後〕一「これやかたきのすり衣なりけるなど、そ ...
29. いい‐すす・む[いひ‥]【言進】
日本国語大辞典
佳本訓)「『此の鳥は其の鳴く音(ね)甚だ悪しき故に射殺すべし』、と云進(イヒススム)」*とりかへばや物語〔12C後〕上「時々はいひすすめて、われは知らずがほにて ...
30. いい‐どころ[いひ‥]【言所】
日本国語大辞典
いいどころだと思ひなすって、いつでもいつでもあの通り」(2)言うべき点。言いたい箇所。言う価値。*とりかへばや物語〔12C後〕上「かばかりの宿世なりければ、いま ...
31. いい‐はしたな・む[いひ‥]【言─】
日本国語大辞典
「そもさるべき前の世の宿世(すくせ)にこそはありけめと、かしこにいひはしたなめられて」*とりかへばや物語〔12C後〕上「今はいひはしたなめても、わが身のよづかぬ ...
32. いい‐まじらい[いひまじらひ]【言交】
日本国語大辞典
〔名〕言葉をかわして交際すること。*とりかへばや物語〔12C後〕上「なぞや、世にきえやしなましと、この人にいひまじらひもはづかしう、あさましうもあべいかな」 ...
33. いいやる[=いいやらん]方(かた)無(な)し
日本国語大辞典
*有明の別〔12C後〕三「すこしみかへらせ給へる御かたはらめさらにいひやらんかたなし」*とりかへばや物語〔12C後〕上「いひやるかたなくいみじき御けしきなるに」 ...
34. いい‐よ・る[いひ‥]【言寄】
日本国語大辞典
01〜14頃〕帚木「わづかなる声聞くばかりいひよれど、息の下にひき入れ言ずくななるが」*とりかへばや物語〔12C後〕中「いかなるひまに、ものいひよりけしきみんと ...
35. いか‐ほど【如何程】
日本国語大辞典
価値などの数値が、限度のわからないほど多い意を表わす。どれほど多く。たくさん。どんなにひどく。*とりかへばや物語〔12C後〕中「山々国々尋ね求むといへど、大方ひ ...
36. いき‐とどま・る【生止】
日本国語大辞典
〔自ラ四〕「いきとまる(生止)」に同じ。*とりかへばや物語〔12C後〕中「今は永らふべきやうにやと、いきとどまり侍に、かくてはあらじとおぼえ侍れど」 ...
37. いき‐めぐ・る【生廻】
日本国語大辞典
二九・四「世の中に生廻(いきめぐり)て御(おはし)まさむずる者とな思し不食(めし)そ」*とりかへばや物語〔12C後〕上「わびしく堪へがたくては、いきめぐるべき心 ...
38. いだき‐あつか・う[‥あつかふ]【抱扱】
日本国語大辞典
きあつかひもてあそび聞え給ひて、乳母(めのと)もおのづから近うつかうまつりなれにけり」*とりかへばや物語〔12C後〕中「この若君をいとかなしげにおぼして、つねに ...
39. いち の 口(くち)
日本国語大辞典
第一番目の出入り口。第一の小口。*とりかへばや物語〔12C後〕上「れいけい殿の、一のくちにうち招ねきとどめて参らせよと侍りつる」*政基公旅引付‐文亀二年〔150 ...
40. いられ‐まさ・る【焦増】
日本国語大辞典
〔自ラ四〕心のいら立ちがますます激しくなる。*とりかへばや物語〔12C後〕上「ぬすみかくしてしがなと、いられまさり給へど」 ...
41. いろ を 調(ととの)う
日本国語大辞典
容姿を整える。服装などをそろえさせる。*とりかへばや物語〔12C後〕上「しぢなどまであたらしうきよらに、ずいしんなどまでいろをととのへ、さうぞくどもをたまはせた ...
42. うかがい‐あり・く[うかがひ‥]【窺歩・伺歩】
日本国語大辞典
〜14頃〕花宴「もし、さりぬべき隙もやあると、藤壺わたりを、わりなううかかひありけど」*とりかへばや物語〔12C後〕上「いづくのくまにはひかくれて見えぬなるらむ ...
43. うぐいす の 囀(さえず)り
日本国語大辞典
*枕草子〔10C終〕二一七・弾くものは「調べは風香調。黄鐘調。蘇合の急。うぐひすのさへづりといふ調べ」*とりかへばや物語〔12C後〕下「うぐひすのさへづりといふ ...
44. うしん‐げ【有心気】
日本国語大辞典
〔形動〕(「げ」は接尾語)いかにも思慮の深そうなさま。分別のありそうなさま。*とりかへばや物語〔12C後〕中「権中納言の、ひめぎみにかよひたまひけるを、うしむげ ...
45. うずもれ‐い・る[うづもれ‥]【埋入】
日本国語大辞典
*浜松中納言物語〔11C中〕四「さすがに、あまりうづもれ入(いる)、ものそばそばしげにはあらず」*とりかへばや物語〔12C後〕上「ただいとはづかしとのみおぼして ...
46. うち‐かこ・つ【打託】
日本国語大辞典
〔他タ四〕(「うち」は接頭語)嘆いて恨みごとを言う。ぐち、不平を言う。*とりかへばや物語〔12C後〕中「うちかこちかけたるさまの、わりなくあいぎゃうづきみまほし ...
47. うち‐かたら・う[‥かたらふ]【打語】
日本国語大辞典
*蜻蛉日記〔974頃〕下・天祿三年「ひとりある人をもうちかたらひて我が命のはてにもあらせんと」*とりかへばや物語〔12C後〕下「ちかきけはひなどのをとこながらみ ...
48. うち‐かよ・う[‥かよふ]【打通】
日本国語大辞典
〕四「よろづにすぐれ給へるさま、大将殿の君の御心ざま、けはひもうちかよひたる心ちして」*とりかへばや物語〔12C後〕下「二のみやとわか君とあそびつつ、この御かた ...
49. うち‐けしきば・む【打気色】
日本国語大辞典
むつびそめたるとし月の程をかぞふるに」(2)いかにも気取る。もったいぶった様子をする。*とりかへばや物語〔12C後〕上「人のかへすことをぞかく。うちけしきばみて ...
50. うち‐ほのめか・す【打仄】
日本国語大辞典
姫「『亡からむ後も』など、ひとことうちほのめかしてしかば、さやうにて、心ぞとめたらむ」*とりかへばや物語〔12C後〕上「あはれと思はんかぎりは、うちほのめかしい ...
「とりかへばや物語」の情報だけではなく、「とりかへばや物語」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る▶

とりかへばや物語と同じ物語・伝記・散文・読本・滑稽本・噺本・自伝カテゴリの記事
うつほ物語(宇津保物語)(日本古典文学全集・日本大百科全書・改訂新版 世界大百科事典・国史大辞典)
平安時代の物語。題名は首巻の「俊蔭」の巻で、主人公の仲忠が母と杉の洞穴で生活したことによる。従来「宇津保」と書かれていたが、変体仮名の原漢字を用いたもので、題意からは「うつほ(ウツオ)」がよい。成立時代は円融朝(969~984)~
落窪物語(日本古典文学全集・日本大百科全書・世界大百科事典・国史大辞典)
〔一〕今は昔のこと、中納言である人で、姫君を大勢持っていらっしゃった方がおられた。長女や次女の君には婿を迎えて、それぞれ西の対、東の対に派手に住まわせ申しあげなさって、「三女、四女の君には裳着の式をして差し上げよう」と、大事にお世話なさる
唐物語(国史大辞典・世界大百科事典)
中国説話二十七篇を歌物語風に翻訳した物語。一冊。前田綱紀の手記『桑華書志』所収の『古蹟歌書目録』は『漢物語』として作者を藤原成範と伝える。これが『唐物語』を指す蓋然性は高く、院政期の成立と見てよい。各話は王朝物語にもしばしば引用される著名な人物が配される。
とりかへばや物語(国史大辞典・日本大百科全書・世界大百科事典)
平安時代末期の物語。運命のいたずらで女装、男装を余儀なくされた異腹の兄妹の物語。作者未詳。三巻三冊または四巻四冊。『とりかへばや』には古本と今本とがあり、古本は散佚、古本を改作した「今とりかへばや」が『とりかへばや』『とりかへばや物語』の名で現存する。
今鏡(日本大百科全書・世界大百科事典)
平安末期の歴史物語。1170年(嘉応2)成立説とそれ以後とする説とがあり、作者は藤原為経(寂超)説が有力。『大鏡』を受けて、1025年(万寿2)から1170年までの歴史を、座談形式を用い、紀伝体で叙述したもの。巻1~3は後一条天皇から高倉天皇までの帝紀、巻4~6は藤原氏
物語・伝記・散文・読本・滑稽本・噺本・自伝と同じカテゴリの記事をもっと見る


「とりかへばや物語」は古典文学に関連のある記事です。
その他の古典文学に関連する記事
野白内証鑑(日本古典文学全集)
野白内証鑑一之巻目録自分の行状の弁解をした野郎の話秘密の色遊びはばれたが、始めより末に至って情勢が好転した野郎の大臣。その相手は羽ぶりのよい撞木町の女郎。悪性をささやいてすすめる耳塚の駕籠屋。客に肌を見せない白人の話 外面は菩薩のようだが内情は
豊後国風土記(日本古典文学全集)
豊後の国。郡は八所、〔郷は四十、里は百十〕駅は九所、〔みな小路〕烽は五所、〔みな下国〕寺は二所〔一つは僧の寺、一つは尼の寺〕である。

豊後の国は、本、豊前の国と合わせて一つの国であった。昔、纏向の日代の宮で天下をお治めになった大足彦の天皇
魯迅 その文学と革命(東洋文庫)
中国近代文学の父であり,偉大な思想家でもある魯迅は,知識人としての苦悩のなかで,中国の「寂寞」を見つめ,自らをも傷つける「革命」を志向する。著者会心の魯迅伝。1965年07月刊
論語徴(東洋文庫)
秦・漢以前の古文辞に対する確固たる自信から孔子の言論を読みとく,論語の注釈のなかでもっとも論争的な注釈書。卓抜した孔子論を展開するとともに,徂徠自身の思想も開陳する。第1巻は,学而,為政,八佾,里仁,公冶長,雍也,述而,泰伯。1994年03月刊
近世和歌集(日本古典文学全集)
年内立春 去年と今年の二本の緒で縒り合わせて掛けて同じ年が一本にまとまらないように、こんがらがってなかなか理解できない春はやって来た。やや趣向倒れの感がある。長嘯子としては機知を働かせたのだろうが。鶯 軒端の梅が咲いていて、一晩中鶯の到来を
古典文学に関連する記事をもっと見る


ジャパンナレッジは約1700冊以上(総額750万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題の「日本最大級のインターネット辞書・事典・叢書サイト」です。日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る▶