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夜の寝覚(夜半の寝覚)

ジャパンナレッジで閲覧できる『夜の寝覚(夜半の寝覚)』の日本大百科全書・世界大百科事典・日本古典文学全集のサンプルページ

日本大百科全書
夜の寝覚
よるのねざめ

平安後期の物語。『夜半(よわ)の寝覚』とも、単に『寝覚』ともよばれる。現在の伝本は五巻または三巻であるが、その中間部分と終末部分とに大きい欠巻部分がある。原形態は、現存本の2倍から3倍の量があったと推定されるが、厳密には不明である。作者については、藤原定家(ていか)が『浜松中納言(はままつちゅうなごん)物語』などとともに菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)の作と伝える(定家筆『更級(さらしな)日記』奥書)。現在なお確認されていないが、孝標女作説はもっと検討すべきであろう。物語は、太政(だいじょう)大臣の次女寝覚(ねざめ)の上(うえ)(中の君)の数奇な生涯を、彼女の心を掘り下げつつ息長く追求したもの。
少女時代に「あたら人の、いたくものを思ひ、心を乱したまふべき宿世(すくせ)」と予言された女主人公は、その予言どおりに悲運の人生を送る。不幸な出会いのあと、男主人公(左大臣の長男、中納言)は彼女の姉の夫となり、彼女もまた心ならずも老関白に嫁ぐ。男君は終始一貫女主人公を恋慕し続けるが、姉君が死に、寝覚の上が若き未亡人となってからも、二人の間には内外の障害が絶えない。すべての障害が除かれたときには、女主人公の心は男君を離れ、彼岸(ひがん)を希求していた。
女の危機のたびに彼女の意志と責任で生き抜くことを課し、そのつど、心の深層を探り当てるなど、執拗(しつよう)なまでの心理追求に特色をもつ、女が女の心を描いた特色ある長編物語である。『源氏物語』の影響下にあり、大きい欠巻をもちながら傑作と称されるのは、この特色による。なお、これを題材とした絵巻『寝覚物語絵巻』一巻(国宝、奈良・大和文華館)が現存する。
[鈴木一雄]



改訂新版・世界大百科事典
夜半の寝覚
よわのねざめ

平安後期の物語。現存本の題名は《寝覚》または《夜の寝覚》。作者は菅原孝標女(たかすえのむすめ)と伝えるが,確かでない。現存本は5巻または3巻に分かつが,中間および巻尾(続編)に欠巻がある。ほかに鎌倉期に続編を切り捨て改作縮小したとおもわれる中村本5巻(旧蔵者中村秋香)があり,中間の欠巻部分の筋立ての大体は補われる。源氏の太政大臣の中君が関白左大臣の息の中納言と相思の関係にあって2児を生みながら,外的ないろいろな事情に妨げられ,〈夜の寝覚絶ゆるよなく〉て数奇の生涯を送るという物語。《源氏物語》宇治十帖の影響が著しい。登場人物の心理描写は克明で,《源氏物語》以後の物語の中では抜群である。今は欠けている続編では,男女両主人公の息子まさこと女三宮の恋愛事件を中心に,中君に恋を仕掛ける冷泉院の話がからむが,結局まさこの恋愛成就,女主人公の死で終わる物語があったことが,残存資料からうかがえる。
[松尾 聡]

[索引語]
寝覚 夜の寝覚 菅原孝標女


新編 日本古典文学全集
夜の寝覚
よるのねざめ
【閲覧画面サンプル】
夜の寝覚 全体

【上記の拡大画像】
夜の寝覚 拡大

【現代語訳】
〔一〕 
男と女の間のさまざまなかかわりを、これまでずいぶん見聞きしてきてはいるが、何といっても、この寝覚めのお二人の場合ほど、深い縁で結ばれながら、悩みの限りを尽すといった例は、めったにあるものではなかった……。

その寝覚めの恋のお二人の血筋を尋ねてみると、――そのころ太政大臣と申しあげた方は、先帝朱雀院のご兄弟で臣籍に下って源氏になられた方であった。管絃の道にも、漢詩文の面にも、ずば抜けてまことに優れておられたが、母が並の女御であって、しっかりした御後見もおありでなかったので、父帝は、かえって臣下として朝政にあずからせるほうが御身のためによろしかろうとお決めになっておられたのであろう、そのご期待がかなって、今では並々ならぬ世の信望をかち得ておられる。太政大臣の北の方は、お一人は按察使大納言の娘で、そちらに男の子が二人おいでになる。もうお一方の北の方、帥の宮の御娘のほうには、女のお子様が二人おいでになった。二人の北の方が、忘れ形見のお子様たちを恨みっこなしに残して、まるで前後を競うようにお亡くなりになってしまうと、以後太政大臣は、はかなくつらいものと、すっかり夫婦の縁に懲りておしまいになって、たいそう広く趣のある御殿にやもめ暮しをされて、

【目次】
目次
古典への招待
凡例

夜の寝覚(扉)
巻一(扉)
巻一の大要――あやにくな契り――
〔一〕寝覚めの恋―主題を明示して物語は始る
〔二〕中の君、夢の中で、天人から琵琶を習う
〔三〕翌年、再び天人が下り、宿世を予言する
〔四〕天人、三年目の十五夜は、ついに現れず
〔五〕姉君の婚約―主人公権中納言が紹介される
〔六〕中の君、大厄の年にあたる 対の君の紹介
〔七〕中の君、物忌で九条へ 但馬守の娘来合す
〔八〕中納言、たまたま東隣に乳母を見舞う
〔九〕中納言、中の君を垣間見て、美しさに驚く
〔一〇〕中納言、おののく中の君と契りを結ぶ
〔一一〕但馬守の娘と信じ、自らも宮の中将を装う
〔一二〕互いに誤認したまま、中納言は暁に帰る
〔一三〕中納言寝もやらず、女との再会を苦慮する
〔一四〕中納言、心ならずも大君に初めて消息する
〔一五〕中納言、但馬守三女の出仕を中宮に勧める
〔一六〕宮の中将から但馬守の娘のことを聞き出す
〔一七〕中納言と宮の中将、女性論に夜を明かす
〔一八〕問わせても、九条の隣家にすでに人はなし
〔一九〕中の君病づき、大君の婚儀も延期される
〔二〇〕中納言、面影を恋う 折から但馬守上京す
〔二一〕但馬守の娘の出仕決り、中納言期待する
〔二二〕対の君、中の君の懐妊を知り、驚き嘆く
〔二三〕婚儀成り、中納言初めて大君のもとに通う
〔二四〕対の君、あの夜の男を中納言と知って驚く
〔二五〕対の君、中の君に真相を告ぐ 姫深く嘆く
〔二六〕対の君思いあまり、法性寺の僧都を頼る
〔二七〕以後中の君重病に臥す 人人悲嘆にくれる
〔二八〕中納言、なお但馬守の娘の出仕に期待する
〔二九〕面影の女は別人と知り、中納言は驚愕する
〔三〇〕中納言、なおも面影の女の行方を追う
〔三一〕幻の女を解く鍵、但馬守の娘の世話をやく
〔三二〕但馬守の娘、中納言親身の世話に打ち解ける
〔三三〕新少将(但馬守の娘)中の君の悲運を思う
〔三四〕中納言、雪月の夜、新少将を局に訪ねる
〔三五〕中納言、面影の女が中の君なるを知る
〔三六〕中納言、真相を知らせた新少将に感謝する
〔三七〕妻とその妹と―中納言は深刻に思い悩む
〔三八〕自制し得ず、中の君の方に歌を詠みかける
〔三九〕中納言、しきりに中の君方を訪うもむなし
〔四〇〕中の君の病重く、父殿悲嘆、対の君は苦慮
〔四一〕元旦、人々集う 大君側は明るく賑わう
〔四二〕反対に、中の君側は、静やかで物寂しい
〔四三〕一家集い、中の君の美しさ失せぬのを喜ぶ
〔四四〕中の君、昔の春を偲び、身の悲運に泣く
〔四五〕中納言、年賀に中の君を訪い、冷淡を恨む
〔四六〕女房たち中納言を賛美 対の君も返歌する
〔四七〕対の君僧都に計り、中納言と会う決意する
〔四八〕対の君、九条にて中納言に事の始終を語る
〔四九〕男君、中の君出産の処置にともに心を砕く
〔五〇〕中納言逢えぬを嘆き、ひたすら安産を願う
〔五一〕対の君、中納言の軽挙を切に諫めて別れる
〔五二〕中納言、諸寺に様々な安産祈祷をさせる
〔五三〕中納言、中宮に事情を語る 中宮は同情する
〔五四〕男主人公大納言に昇任 中の君の出産迫る
〔五五〕大納言人目を忍び、中の君のもとに入る
〔五六〕つかのまの逢瀬に、大納言心を残して去る
〔五七〕大納言思慕に堪えず、綿々と文を綴る
〔五八〕中の君の悲嘆を病重ると誤認 加持祈祷
〔五九〕大納言思いあまり、改めて中の君を見舞う
〔六〇〕宰相中将応対し、大納言の傷心をあやしむ
〔六一〕中の君側、以後警戒し、大納言を近づけず
〔六二〕対の君、宰相中将に打ち明け、援助を求む
〔六三〕宰相中将事態に驚き、中の君をいたわる
〔六四〕月ごろの病臥にも、中の君の美しさ失せず
〔六五〕大君側、はなやかなうちに不幸の影迫る
〔六六〕宰相中将、大納言の深刻な苦悩に同情する
〔六七〕中の君の苦悩濃く病重る 父大臣深く嘆く
巻二(扉)
巻二の大要――苦悩する姉妹――
〔一〕中の君、容態ますます悪く一条邸に移る
〔二〕心痛の末に父殿も病み、広沢の邸に移る
〔三〕出産近く、宰相ら中の君の石山参籠を計画
〔四〕中の君石山に移り、更に尼の家に隠される
〔五〕大納言、不安のあまり忍んで石山に赴く
〔六〕尼の家に至り、人目を忍ぶ出産を悲しむ
〔七〕対の君ら大納言を迎え、愛情の深きを喜ぶ
〔八〕大納言、中の君に対面し涙をとどめ得ず
〔九〕大納言、二人の契りの深さをかきくどく
〔一〇〕中の君の快復を願い、添い臥し夜を明かす
〔一一〕大納言女君を案じつつ、心を残して帰京
〔一二〕中の君安産の知らせに、大納言は安堵する
〔一三〕大納言母子の身を案じ、頻繁に便りをする
〔一四〕大納言、女児をひそかに引き取らんと計る
〔一五〕大納言、太政大臣を見舞う 大君心晴れず
〔一六〕宰相中将、父大臣に中の君のことを報告
〔一七〕大臣、大納言に対面し中の君の後見を依頼
〔一八〕太政大臣出家を遂げ、なお中の君を案じる
〔一九〕大納言、宰相中将と女児の引き取りを相談
〔二〇〕中将石山に至り、女児のかわいさに涙する
〔二一〕中の君、わが子に添い臥して悲涙にくれる
〔二二〕中の君石山を出る 女児の車ひそかに続く
〔二三〕大納言の女児引き取りに、中将ら尽力する
〔二四〕大納言女児と対面する 中の君には逢えず
〔二五〕大納言、女児を乳母宅に移す 少将同行
〔二六〕中の君、子との別れを嘆き、憂き身を恥じる
〔二七〕中の君広沢に赴き、出家の父殿と再会する
〔二八〕大納言も広沢に赴くが、心残して妻と帰京
〔二九〕大納言、母を秘して姫君を関白邸に伴う
〔三〇〕関白夫妻、姫君を迎えて喜びいつくしむ
〔三一〕大納言、女君へ細々と文を綴り少将に託す
〔三二〕中の君、広沢から帰り、大納言の文を見る
〔三三〕関白家の子迎えの噂に、大君深く傷つく
〔三四〕大納言姫君を見て、ますます中の君を思慕
〔三五〕大納言の中の君思慕、ついに人の噂に上る
〔三六〕大君、夫と妹の仲を疑い、不信の情つのる
〔三七〕大君苦しみに堪えず、左衛門督に訴える
〔三八〕左衛門督驚きあきれ、中の君側を罵倒する
〔三九〕悪評やかましく、夫妻・姉妹の溝深まる
〔四〇〕左衛門督、父入道に悪しざまに報告する
〔四一〕入道心痛し宰相中将に問うも、中将は否定
〔四二〕入道宰相の言を信じ、中の君を広沢へ呼ぶ
〔四三〕大君側の悪口つのり、大納言中の君に同情
〔四四〕大納言、中の君の心根を讃え、大君を批判
〔四五〕大君嫉妬に逆上するも、大納言慰めさとす
〔四六〕大納言、大君を和めるも、妬心なおやまず
〔四七〕大納言、中の君を連れ出そうと少将に計る
〔四八〕事の漏れるのを恐れ、少将慎重に対処する
〔四九〕中の君側の沈黙に、大納言の不安はつのる
〔五〇〕中の君、昔を偲び、涙のうちに広沢へ赴く
〔五一〕父入道久々に対面し、娘の悲運を慰める
〔五二〕父入道、自らを反省し、娘の身を心配する
〔五三〕父入道の世話に、女房たちも心慰み居つく
〔五四〕大納言、失意の身を、姫君を見て慰める
〔五五〕大納言思いあまり、中将を装って文を送る
〔五六〕中の君広沢の月に箏を弾き、父入道らも和す
〔五七〕雪の日、中の君は京を偲んで、嘆きに沈む
〔五八〕大納言思慕に堪えず、雪を冒し広沢に赴く
〔五九〕中の君の箏を聞き、大納言万感胸に満つ
〔六〇〕大納言、少将を恨むも、中の君に逢えず
〔六一〕大納言、疑心暗鬼に悶えつつ、一夜を過す
〔六二〕大納言、宮の中将を疑い、空しく帰京する
〔六三〕宰相中将、年賀に赴き、大納言夫妻を思う
〔六四〕続いて広沢に赴き、父を思い、妹に涙する
〔六五〕左衛門督も訪れて、一家久しぶりに和む
〔六六〕姉君につけ子につけ、中の君の苦悩深まる
〔六七〕大納言、年賀に事寄せて、広沢に赴く
中間欠巻部分の内容
老関白との結婚をめぐって
寝覚の上の成熟―意志強き女―
巻三(扉)
巻三の大要――秘められた思慕――
〔一〕内大臣と寝覚の上、互いに避けて会わず
〔二〕初子の日、内大臣、姫君の部屋を訪ねる
〔三〕子と母と歌を贈答する 内大臣も独詠する
〔四〕大皇の宮、女一の宮の身を案じつつ帰る
〔五〕寝覚の上、一途に督の君の内参りを急ぐ
〔六〕内大臣、寝覚の上の周到な配慮に感嘆する
〔七〕督の君美々しく参内 寝覚の上付き添う
〔八〕帝、後朝の文 寝覚の上、勅使を歓待
〔九〕督の君、帝の御意にかない、四夜召される
〔一〇〕帝、なお昔を忘れず、寝覚の上に御文あり
〔一一〕寝覚の上、内大臣の心を推し量り、悩む
〔一二〕督の君の所顕につけ、帝、寝覚の上を思う
〔一三〕大皇の宮、寝覚の上を帝に見せんと謀る
〔一四〕帝、寝覚の上を垣間見、火影の美形に驚嘆
〔一五〕寝覚の上の美貌に、大皇の宮も我を忘れる
〔一六〕寝覚の上、程よく辞去 帝飽かず見送る
〔一七〕帝、寝覚の上の美貌に焦れ、来し方を悔む
〔一八〕帝、寝覚の上をしきりに訪うも、受けず
〔一九〕中宮、寝覚の上を恋慕する帝の心を見抜く
〔二〇〕大皇の宮、中宮と合わず督の君に接近する
〔二一〕帝、寝覚の上を思いつめて大皇の宮に訴う
〔二二〕寝覚の上、大皇の宮に招かれ、術中に陥る
〔二三〕帝、寝覚の上を捕え、言葉を尽して口説く
〔二四〕寝覚の上、惑乱の中に内大臣を思い靡かず
〔二五〕寝覚の上心を鎮め、帝のなされ方をなじる
〔二六〕帝、自制して寝覚の上を和めんと振る舞う
〔二七〕帝、再び長口説 昔からの思いを訴える
〔二八〕寝覚の上はついに靡かず 帝の心いらだつ
〔二九〕帝ついに思いを果さず、後の逢瀬を期す
〔三〇〕互いに異なる気持を抱きつつ別れの贈答
〔三一〕再び贈答 寝覚の上ついに帝から逃れる
〔三二〕帝還御 夜の御殿に入り未練と後悔に泣く
〔三三〕寝覚の上自省 内大臣への愛の深さを自覚
〔三四〕寝覚の上、帝に答えず督の君に事態を語る
〔三五〕大皇の宮より消息あるも、寝覚の上答えず
〔三六〕大皇の宮事成らぬを知りさらに策を講ずる
〔三七〕内大臣、策に陥り、帥の君の話に煩悶する
〔三八〕内大臣、宣旨の君に会い昨夜の真相を聞く
〔三九〕宣旨の君、寝覚の上の潔白を強調する
〔四〇〕内大臣やや安堵、なお嫉妬の心消えず
〔四一〕内大臣、帝を拝すにつけ嫉妬の心に苦しむ
〔四二〕女君退出を請うも、帝輦車の宣旨を許さず
〔四三〕内大臣憂慮の余り、寝覚の上の寝所に赴く
〔四四〕寝覚の上、男君に安堵 新たな不安に悩む
〔四五〕内大臣の嫉妬に悩み寝覚の上ただ泣き臥す
〔四六〕少将、御前から人々を遠ざけて二人を守る
〔四七〕恨みつ泣きつ情を尽し、二人は夜を過す
巻四(扉)
巻四の大要――心のほかの心――
〔一〕内大臣、夜明くるも、女君のもとを離れず
〔二〕帝思いあまり督の君に訴え、まさこを召す
〔三〕帝、文をまさこに託す 内大臣文面に安堵
〔四〕男の喜びと女の苦悩 すれ違う不安と願い
〔五〕内大臣、暮を待てず再び入り、心を尽す
〔六〕この夜は互いに打ち解ける ついに輦車勅許
〔七〕帝なお寝覚の上退出に未練 登花殿に出御
〔八〕帝逢えぬまま女君に三位授与、輦車の宣旨
〔九〕寝覚の上ついに退出 督の君別れを悲しむ
〔一〇〕寝覚の上、家に帰る 夜、宰相の上と語る
〔一一〕内大臣、女一の宮のもとに帰るも心離れず
〔一二〕内大臣、寝覚の上を夜訪うも、女君逢わず
〔一三〕寝覚の上、宰相の上と身の上を嘆き合う
〔一四〕再び内大臣来訪 寝覚の上応対に苦しむ
〔一五〕寝覚の上、内大臣に二人のあり方を訴える
〔一六〕帝の手紙に内大臣の心また不安にかられる
〔一七〕恨みつらみの応酬のすえ、二人は解け合う
〔一八〕内大臣同居を勧めるも、寝覚の上はきかず
〔一九〕帝の執心ますます募り、中宮に打ち明ける
〔二〇〕帝、女御がたを召すも、心なお慰まず
〔二一〕寝覚の上よく後見し、督の君の覚え華やか
〔二二〕帝、督の君まさこ君にわずかに心を慰める
〔二三〕内大臣、幼さを懸念しつつまさこ君を出仕
〔二四〕内大臣と寝覚の上の噂次第に周囲に広まる
〔二五〕寝覚の上の憂き名広まる中に女一の宮病む
〔二六〕内大臣、姫君を伴い寝覚の上に対面させる
〔二七〕寝覚の上、石山の姫君と対面し、感無量
〔二八〕寝覚の上、姫君の美しい成長ぶりを喜ぶ
〔二九〕姫君対面を機に、男君女君の心睦み合う
〔三〇〕石山の姫君に慕われ、寝覚の上の心も慰む
〔三一〕女一の宮の病篤く大皇の宮は男君を責める
〔三二〕意外、寝覚の上の生霊を名のる物怪の出現
〔三三〕内大臣は生霊を否定 極力寝覚の上を弁護
〔三四〕寝覚の上、噂を知らず、石山の姫君と睦む
〔三五〕寝覚の上、生霊の噂に衝撃を受け、苦しむ
〔三六〕女君昔を思い箏を弾く 内大臣忍び訪れる
〔三七〕互いに思いつつ、二人の心微妙にずれる
〔三八〕男君女一の宮方の迎えに悩み、女君慰める
〔三九〕内大臣、女二人の愛に悩む 生霊再び現る
〔四〇〕尼上の願いに、内大臣姫君を戻さんとする
〔四一〕姫君名残を惜しみ、尼上のもとに帰る
〔四二〕寝覚の上、新中納言に苦境を打ち明ける
〔四三〕寝覚の上、兄に西山に移る決意を訴える
〔四四〕まさこ君、帝の手紙を持参 寝覚の上は見ず
〔四五〕寝覚の上、西山に移る準備 内大臣にも告ぐ
〔四六〕寝覚の上、昔を思い起しつつ広沢に移る
〔四七〕寝覚の上、父入道と対面 前斎宮を知る
〔四八〕内大臣、忌明けを待ちかね女君の後を追う
〔四九〕寝覚の上、男君を避け斎宮の部屋に隠れる
〔五〇〕内大臣入道を見舞い女君を求めるも逢えず
〔五一〕内大臣、なお逢うことを迫る 女君聞かず
〔五二〕帝の手紙に内大臣心騒ぐも使者をもてなす
〔五三〕女一の宮、朱雀院に移る 内大臣苦悩する
〔五四〕女一の宮快方に向い、内大臣、邸に戻る
〔五五〕内大臣、寝覚の上の心を思い感慨にふける
〔五六〕内大臣、嘆きを中宮に訴えるも心鎮まらず
巻五(扉)
巻五の大要――心のすれ違い――
〔一〕寝覚の上患い、過去を悔み出家を決意する
〔二〕寝覚の上の病状重し 周囲の人々の不安
〔三〕寝覚の上ついに父入道に出家の許しを請う
〔四〕入道、娘の境遇を思い、出家許可に傾く
〔五〕入道やむなく許可するも、娘の胸中を心痛
〔六〕寝覚の上、一日も早き出家を一途に願う
〔七〕大弍の北の方驚き、出家を止めんとはかる
〔八〕内大臣に告げるべく、北の方登花殿に参内
〔九〕内大臣知らせに驚き、大弐の北の方に会う
〔一〇〕内大臣事態を知り、二児を伴い広沢へ急行
〔一一〕内大臣、姫君を先に立て女君の部屋に入る
〔一二〕内大臣言葉を尽して寝覚の上の翻意を迫る
〔一三〕翌朝、内大臣若君を伴い入道殿と対面する
〔一四〕内大臣、入道にすべての事実を打ち明ける
〔一五〕内大臣の告白は親心を吐露しつつ更に続く
〔一六〕入道真実を知り、自らの不明を恥じる
〔一七〕入道、内大臣にせつない親の立場を釈明
〔一八〕入道、まさこに会い、姫君にも対面を願う
〔一九〕内大臣、なだめすかし、女君から離れず
〔二〇〕入道、女君を見舞い、姫君に会わんとする
〔二一〕入道、姫君に対面し、その美しさに驚く
〔二二〕入道、過去を顧み、しきりに自らを悔む
〔二三〕入道、姫君の将来を予想して、希望を抱く
〔二四〕寝覚の上、事実を知る入道の前に恥じ入る
〔二五〕寝覚の上依然すぐれず、督の君、帝より文
〔二六〕内大臣寝覚の上の妊娠を見ぬく 女君苦悩
〔二七〕寝覚の上依然父に恥じ、姫君は打ち解ける
〔二八〕内大臣、女一の宮に事情を明かし弁解する
〔二九〕寝覚の上わが子三人の成長を見て満足する
〔三〇〕内大臣、女君と三人の子たちの姿に感無量
〔三一〕内大臣、寝覚の上に寄り添い幸福感に浸る
〔三二〕寝覚の上、男君に同和し得ず違和感に悩む
〔三三〕内大臣機を見つつ女君帰京の準備を進める
〔三四〕一行の帰京を前に、入道、管絃の宴を催す
〔三五〕折から内大臣来合せ、さらに管絃に興じる
〔三六〕上達部など集い盛大な管絃詩歌の宴となる
〔三七〕主方の用意深く、管絃詩歌の興夜通し続く
〔三八〕入道、ひたすらに姫君との別れを惜しむ
〔三九〕出家を警戒されつつ、女君入道と対面する
〔四〇〕内大臣、寝覚の上をはじめ子らを伴い帰京
〔四一〕内大臣公然と女君を伴う 大皇の宮側憤激
〔四二〕寝覚の上打ち解けつつ女として初の恨み言
〔四三〕女一の宮、男君に理解を示しつつも苦しむ
〔四四〕内大臣、言葉を尽し女一の宮に弁明する
〔四五〕内大臣、女一の宮と比べ寝覚の上を恋うる
〔四六〕内大臣、女一の宮に満足と不満の心が交錯
〔四七〕寝覚の上、現世を諦めつつなお生きんとす
〔四八〕寝覚の上、わが子や関白の娘の世話に専心
〔四九〕帝、寝覚の上への執着なお強く譲位を志す
〔五〇〕折から、督の君懐妊 賑々しく宮中を退出
〔五一〕身重の寝覚の上と督の君、感慨も深く対面
〔五二〕寝覚の上の出産近く内大臣極度に心配する
〔五三〕内大臣、世評にめげず、一途に女君を思う
〔五四〕男君、右大臣となる 女君の身内みな昇進
〔五五〕右大臣の独断の人事を大皇の宮は憤慨する
〔五六〕寝覚の上、男児を出生 右大臣、喜び祝う
〔五七〕七日中宮九日大納言たちと産養も賑々しく
〔五八〕右大臣と寝覚の上の仲打ち解けゆくきざし
〔五九〕若君に慶事続き、右大臣寝覚の上の仲円満
〔六〇〕その間、朱雀院崩御 右大臣仏事に尽力
〔六一〕督の君に皇子誕生 喪中にも喜びは溢る
〔六二〕帝喜び、中宮も複雑な感慨の中に慶賀する
〔六三〕帝督の君を慶賀し、寝覚の上の返事を期待
〔六四〕右大臣、帝に嫉妬し寝覚の上のもとに赴く
〔六五〕男君、帝の文につけ寝覚の上を言い悩ます
〔六六〕院の御喪明け、男君寝覚の上のもとに赴く
〔六七〕右大臣と女君との仲、表面平穏に過ぎる
〔六八〕寝覚の上の述懐―本願と現実の乖離に悩む
末尾欠巻部分の内容
その後の物語の展開
女主人公の偽死事件
冷泉院のまさこ勘当事件

校訂付記
解説
一 『夜の寝覚』の新生面
二 主題と題名をめぐって
三 四部構造の理解
四 人物・構想・文章の特徴
五 『夜の寝覚』の作者と成立
六 『夜の寝覚』の伝来
参考文献
付録(扉)
系図
年立
寝覚物語絵巻
官位相当表
平安京条坊図
平安京大内裏図
京都歴史地図
奥付

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夜の寝覚(夜半の寝覚)の関連キーワードで検索すると・・・
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検索コンテンツ
1. よる の 寝覚(ねざめ)
日本国語大辞典
〔一〕夜、就寝中に目が覚めること。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕五「さすがに、すがすがしく思ひたつべくもあらぬ絆(ほだし)がちになりまさるこそ、心憂けれと、よる ...
2. 夜の寝覚
日本大百科全書
平安後期の物語。『夜半(よわ)の寝覚』とも、単に『寝覚』ともよばれる。現在の伝本は五巻または三巻であるが、その中間部分と終末部分とに大きい欠巻部分がある。原形態 ...
3. よるのねざめ【夜の寝覚】
デジタル大辞泉
平安後期の物語。5巻または3巻。作者は菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)と伝えられるが未詳。成立年未詳。中の君寝覚の上と中納言との悲恋物語。源氏物語の影響 ...
4. よるのねざめ【夜の寝覚】
全文全訳古語辞典
[書名]平安中期の物語。作者は、菅原孝標女かというが未詳。十一世紀後半の成立。権中納言と寝覚の上(=人名)をめぐる悲劇的な恋を描く。浪漫的色彩が濃く、心理描写の ...
5. よるのねざめ【夜の寝覚】
国史大辞典
、翻刻には『校本夜半の寝覚』(橋本佳)、『校註よはのねざめ』(藤田徳太郎・増淵恒吉)、『校本夜の寝覚』(高村元継)、『寝覚物語全釈』(関根慶子・小林登美)、『校 ...
6. 夜の寝覚
日本古典文学全集
主人公は美少女・中の君(寝覚の上)。姉の許嫁と許されぬ一夜を契り、懐妊してしまう。義兄妹の許されぬ愛に、〈例の寝覚めの夜な夜な起き出でて……〉と、ヒロインは事あ ...
7. よるのねざめ【夜の寝覚】
日本国語大辞典
平安中期の物語。五巻または三巻。菅原孝標(たかすえ)の女の作と伝えるが不明。後冷泉朝(一〇四五〜六八)頃の成立か。女主人公寝覚の君(源氏の太政大臣の次女)と主人 ...
8. よわ の 寝覚(ねざ)め
日本国語大辞典
。*相模集〔1061頃か〕「人しれずこころながらやしぐるらむふけゆくあきの夜はのねざめに」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕二「あはれとも露だにかけようちわたし一人 ...
9. さよ の 寝覚(ねざめ)
日本国語大辞典
覚(ネザ)めの眤言(むつごと)も、皆偽りに成りはてぬ」*浄瑠璃・平家女護島〔1719〕二「さ夜の寝覚は塩じむはだに引よせ、声こそはさつまなまり世にむつまじいむつ ...
10. あい‐たす・ける[あひ‥]【相助】
日本国語大辞典
以て紀小弓宿禰に賜ひて身に随へて視養(とりみること)を為しめたまふ。遂に推轂(アヒタスケ)て遣(つか)はす」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕二「道の程も、消え入る ...
11. あい‐とぶら・う[あひとぶらふ]【相訪】
日本国語大辞典
*源氏物語〔1001〜14頃〕夢浮橋「かくてこもり侍る間は、夜中あかつきにも、あひとぶらはんと思ひ給へ」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕四「幼き人の参り侍りにける ...
12. あい‐な
日本国語大辞典
集〔1012〜17頃〕「雨ふりて、その日は御覧とどまりにけり。あいなのおほやけごとどもや」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕四「うらめしうなども思ひよらぬ事ながら、 ...
13. あいな‐さ
日本国語大辞典
〔名〕(形容詞「あいなし」の語幹に、接尾語「さ」の付いたもの)不都合、不適当なこと。また、その度合。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕四「えさらず見あひ給たる時、あ ...
14. あい‐み・す[あひ‥]【相見】
日本国語大辞典
、からうじて離れて、たひらかにあひ見せ給へと申すは、仏もあはれと聞き入れさせ給ひけむかし」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕五「されば、ただ宮をむかへとり奉りて、又 ...
15. あえ‐か
日本国語大辞典
。*源氏物語〔1001〜14頃〕夕顔「はなやかならぬ姿、いとらうたげにあえかなる心ちして」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕三「人がらささやかにそびえて、あえかに身 ...
16. あえな‐さ[あへな‥]【敢無─】
日本国語大辞典
幹に接尾語「さ」の付いた語)張り合いのないこと。たよりなくあっけないこと。また、その度合。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕二「まち聞く心地のあへなさ、いふかぎりぞ ...
17. あが・る【上・揚・挙・騰】
日本国語大辞典
〔室町末〜近世初〕「隣の藪から根をさいて見事な笋(たけのこ)が上った」(5)風呂から出る。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕一「ただいま御湯よりあがらせ給ひて、けふ ...
18. あきた‐さ【飽─】
日本国語大辞典
の語幹に、接尾語「さ」のついたもの)飽き飽きしている心のさま。うんざりさせられているさま。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕二「いとあまりにかく言ひなしつるあきたさ ...
19. あきた・し【飽】
日本国語大辞典
思ひいである方に、忘れ難けれど、さしあたりて見んには、わづらはしく、よくせずは、あきたき事もありなんや」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕二「『これさへ目やすきかな ...
20. あき‐は・つ【飽き果つ/厭き果つ】
デジタル大辞泉
[動タ下二]すっかり飽きてしまう。 「きびしきうき世のあたりをも―・てて、こもりゐ給ひたれば」〈夜の寝覚・二〉 ...
21. あきれ‐いた・し【呆痛】
日本国語大辞典
ぬさまに、なごりなくあくがれ出でぬるに、語りたまひし夢の心ちして、あきれいたくおぼゆれど」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕一「よにしらず乱り心地あきれいたきになに ...
22. あくがら・す【憧らす】
デジタル大辞泉
[動サ四] 1 落ち着きを失わせる。心を浮き立たせる。 「心をそらに―・して」〈夜の寝覚・四〉2 さまよわせる。 「煩はしげに思ひまつはす気色(けしき)見えまし ...
23. あくがれ‐ただよ・う[‥ただよふ]【憧漂】
日本国語大辞典
〔自ハ四〕気もそぞろになって落ち着かなくなる。思いこがれてぼんやりする。心ひかれてふわふわする。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕四「なかなかなる思ひまさり、わりな ...
24. あくがれ‐よ・る【憧寄】
日本国語大辞典
〔自ラ四〕心が、身を離れて想(おも)う人のところにひかれ寄る。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕四「この人のほのめい給ふたびごとに、みだるる心いまやいまやあくがれよ ...
25. あけ‐がた【明方】
日本国語大辞典
999頃〕吹上下「その夜、もののねしづまりたるあけがたに、おこなひ人の声、はるかにきこゆ」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕一「打ちおどろき給へれば、月も明がたに成 ...
26. あけ‐た・つ【明け立つ】
デジタル大辞泉
[動タ四]夜が明ける。 「御行ひもうち忘れて、―・てばわたり給ひて御琴教へ奉り」〈夜の寝覚・五〉 ...
27. 朝顔(源氏物語) 495ページ
日本古典文学全集
藤壺「漏らさじとのたまひしかど、うき名の隠れなかりければ、恥づかしう。苦しき目を見るにつけても、つらくなむ」とのたまふ。御答へ聞こゆと思すに、おそはるる心地して ...
28. あさ‐はか【浅─】
日本国語大辞典
頃〕朝顔「あさはかなる筋など、もて離れ給へりける人の御心を、あやしくもありける事どもかな」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕三「すぎにしかたは、『なかなかあさはかな ...
29. あさまし‐さ【浅─】
日本国語大辞典
「人のもとにやらんとしける文あり。あさましさに、見てけりとだに知られんと思ひて、書きつく」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕一「曹司(ざうし)のうちへひきいれて、対 ...
30. あさみ‐おどろ・く【浅驚】
日本国語大辞典
〔自カ四〕(「あざみおどろく」とも)事の意外さに、びっくり仰天する。驚きあきれる。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕一「『こはいかにかく弾きすぐれ給ひしぞ。めづらか ...
31. あざ‐やか【鮮─】
日本国語大辞典
そみつつぞ見給ふ。御さま、例は心強うあざやかに、誇りかなる御けしき、なごりなく、人わろし」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕三「内外いとさわがしければ、あざやかにも ...
32. あした の 使(つか)い
日本国語大辞典
男女が逢った翌朝に、男から女に後朝(きぬぎぬ)の文(ふみ)を届けるための使い。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕三「あしたの御つかひ、待ちうけ給ふ御心、なべてならず ...
33. 東屋(源氏物語) 84ページ
日本古典文学全集
る。薫。秋深くなるころの宇治行きは、八の宮や大君が生存していたころから慣例になっている。薫は夜の寝覚めごとに、亡き大君のことを忘れることなく追慕。前に「この寝殿 ...
34. あぜち【按察使】
日本国語大辞典
あんせつし。*宇津保物語〔970〜999頃〕国譲下「宰相には右大弁すゑふさ、右大将、あぜちかけ給」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕五「大将に新大納言、新中納言、大 ...
35. あたらし‐げ【惜─】
日本国語大辞典
*源氏物語〔1001〜14頃〕総角「われよりは、さまかたちもさかりにあたらしげなる中の宮を」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕五「かばかりいみじくあたらしげなるさま ...
36. あたり‐あたり【辺辺】
日本国語大辞典
まんどころよりはじめてしたり」*源氏物語〔1001〜14頃〕若紫「み帳御屏風などあたりあたりしたてさせ給」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕三「いまはの荒野ともなる ...
37. あと を 絶(た)つ
日本国語大辞典
(1)主として男女が、交渉を絶つ。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕一「行先をたのむやうにてあとをたつ気色ながら、うらめしきぞ、ことわりなきや」*とりかへばや物語〔 ...
38. あなずらわ〓し[あなづらはし]【侮】
日本国語大辞典
*宇津保物語〔970〜999頃〕俊蔭「けはひなつかしう、童にもあれば、すこしあなづらはしくやおぼえけむ」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕一「ゆかりはなれずあなづら ...
39. あむ・す【浴】
日本国語大辞典
050頃〕二「経を読み像を浴(アムシ)、具に香花を設けて」【二】〔他サ下二〕【一】に同じ。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕二「御湯など召して、姫君にもあむせ奉りて ...
40. あやにく‐さ【生憎─】
日本国語大辞典
〔名〕(「さ」は接尾語)思いどおりにならないこと。また、その度合。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕一「いみじく心ぐるしかりける有様にならべたらましかば。などてひき ...
41. あやにく‐だ・つ【生憎立】
日本国語大辞典
」*源氏物語〔1001〜14頃〕東屋「あやにくだち給へりし人の御けはひも、さすがに思ひ出でられて」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕四「いつもいつもただかくて添ひき ...
42. あや‐・む【怪】
日本国語大辞典
〔他マ下二〕(形容詞「あやし」を動詞化したもの)怪しむ。怪しく思う。不審に思う。いぶかる。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕一「近くしのびやかならんけはひなどは、い ...
43. あゆみ‐わた・る【歩渡】
日本国語大辞典
歩いて通り過ぎる。*源氏物語〔1001〜14頃〕蜻蛉「御前をあゆみわたりて、西ざまにおはするを」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕一「例のすみよりあゆみわたりて、御 ...
44. あらがい‐どころ[あらがひ‥]【争所】
日本国語大辞典
〔名〕言いひらき。申しひらき。弁解。弁明。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕二「『かかる匂ひに、あらがひ所なきしるしをばあらはさじ』と思へば、え参り見奉るまじきこと ...
45. あらわ[あらは]【露・顕】
日本国語大辞典
終〕二七七・御前にて人々とも「『あれは誰(た)そ、あらはなり』など、ものはしたなくいへば」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕二「あらはに、そら言(ごと)つきづきしく ...
46. あらわし‐い・ず[あらはしいづ]【顕出】
日本国語大辞典
〔他ダ下二〕秘めているものを表に出す。打ち明ける。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕五「『さはこれなりけり』と、もとの心をあらはしいづべきにも侍らざりしかば」 ...
47. あらわれ‐い・ず[あらはれいづ]【顕出】
日本国語大辞典
〔自ダ下二〕「あらわれでる(現出)」に同じ。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕四「さればよ。ひと夜もさばかりあらはれいでてののしるけしきを」*有明の別〔12C後〕二 ...
48. あらわれ‐ざま[あらはれ‥]【顕様】
日本国語大辞典
〔名〕はっきりしている様子。露骨な様子。*夜の寝覚〔1045〜68頃〕二「対の君の気色(けしき)も、あらはれざまにあれば、むすぼほれ、いとど心地もなぐさみ、あは ...
49. あり‐がた・い【有難】
日本国語大辞典
*宇津保物語〔970〜999頃〕吹上上「かんなびのくら人の腹なり。いとありがたき君と聞き奉るぞ」*夜の寝覚〔1045〜68頃〕一「さる我ままなる世とても、おごり ...
50. あり‐つ・く【有り付く】
デジタル大辞泉
」 2 住みつく。安住する。 「女(むすめ)は…さるかたに、したたかなるさまに―・きたり」〈夜の寝覚・一〉3 異性と一緒に住む。結婚する。 「三人はみなみな―・ ...
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